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この太陽系で私達は  作者: えるふ
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ティターニア、拉致られる

「地球は荒廃し、数千人が残るだけなのはご存知と思う。この度、月面基地が改装され、大型の都市計画が進む事と相成った。規模は地球の地表に住んでいる人々とほぼ同じだけの人口収容数を予定している。月はかつて神秘的な存在だと考えられ……」

ティターニアは欠伸を噛み殺しながら授業を聞いていた。神話とかそのあたりはティターニアは興味が薄く、話半分に聞いていた。

「ティターニア君」

「はひっ」

欠伸をしている最中だったのでティターニアは変な声で応えるはめになった。数名が笑いを堪えている。

「初めて人類が月面着陸したのはいつ、どの船だったかね?」

「アームストロング、オルドリンの2名で、サターンVロケットです。地球暦1969年だったと思います」

ティターニアは半ばドキドキしながら応える。歴史は好きだが、得意ではない。

「よろしい、その時の台詞は知っているかね?」

「これは個人にとって小さな1歩であるが、人類にとって偉大なる一歩である」

ティターニアは記憶を手繰り寄せる。3000年以上過去の話なぞ、興味半分でしか聞いてない。

「その1歩が現在の宇宙時代に役立っている事を忘れないように」

教員がそう言うと電子黒板の画面を切り替える。

「これが現在の月面基地。1000人規模の都市だが……これが未来予想図。5000人ほどまで収容可能になる。次のスイングバイの時に見れるなら、工事中の月面基地が確認できるはずだ。そうなれば諸君たちの活躍できる場が増えることを意味する。諸君たちの活躍に期待する」

そう言って授業は終わった。ティターニアは端末を切断し、腕に装着する。

「ティターニア、一緒に帰りましょう?」

そう声をかけてきたのはサイスだった。

「いいわよ、ねぇねぇ、神話とかって好き?」

「ええ、好きですわ。かつて人類が何をよりしろにしてたか分かりますもの」

サイスと話しながら校門をくぐると、突然口元を覆われ車のトランクに押し込まれてしまった。見るとサイスも同じように押し込まれている。ティターニアは慌てず騒がず、端末のSOS釦を押し、すぐにサイレントモードに切り替える。

「どこにつれてかれるのかしら」

ティターニアが周りを見る。視界に入るサイスが目を輝かせていた。

「なんで…嬉しそうなの…?」

「風変わりな体験に興味がありますの!」

「しっそんなでかい声出しちゃだめ……!」

車両が止まる。そんなに離れていない。これならすぐに助けが来るだろう。

「おら、出てこい」

乱暴に二人は車から降ろされ、床に放り投げられる。

「ああ、私、これから乱暴にされるのね」

台詞とは裏腹にサイスは嬉しそうである。

「なんでコイツは嬉しそうなんだよ……」

誘拐犯の一人が呆れて言う。

「あ、そうゆう事するために誘拐したの?じゃあ早くしましょ?したら帰してくれる?」

ティターニアは言うが早いかスカートの中に手を入れパンツを脱ぎにかかる。

「何でお前は乗り気なんだよ、おかしいだろ……」

犯人は目を点にしていた。

「私を満足させれなかったら……警察呼ぶからね?」

「ま、まて、どっちが誘拐犯かわからない台詞いうのやめよう?」

犯人がティターニアの台詞を聞いて言う。おかしい、主導権を握っているのはティターニアの方だ。

「あら、私を忘れてもらっては困りますわ。是非、私と」

「サイス、貴方じゃ手に余るわ私に任せて」

「いえいえ、私が」

「いやいや、私が」

二人が言い争いを始めた頃、犯人たちは顔を見合わせる。

「なんで、この2人を誘拐したんだろうな、俺たち」

「なんでって、偶々目の前にいたからだろ、美人だし……」

犯人たちは困惑していた。

「相手は2人。私たちも2人」

ティターニアが犯人たちを見る。つられてサイスも犯人を見る。

「ま、まて!」

犯人は思わず逃げ出した。しかし回り込まれてしまった!



「あーっ!」



「私は満足したかな」

ティターニアが乱れた制服を正しながら言う。

「そうね、十分ですわね」

サイスも同じように制服をただす。犯人の2人はぐったりとしている。

「警察だ、手を上げろ!……お、遅かったかっ!すぐ病院の手配をします、どうぞこちらへ!」

二人は顔を見合わせ警察の指示に従いパトカーに乗り込む。

「ねえサイスちょっと口直ししない?」

パトカーの後部座席に座らされた二人は顔を見合わせる。

「口直し?大歓迎ですわ、ぜひぜひ」

そう言われたのでティターニアはサイス飛び込むように抱きつき、口付けを交わす。

「どうして、サイスは乗り気だったの?」

口付けを交わしながらティターニアは聞く。

「言ったでしょう?風変わりな体験ができる、と」

サイスはティターニアの首元にキスをすると、やや強く吸う。

「あ、まって、そんな所に……もうっ」

ティターニアはそう言うとサイスに同じ場所にキスマークをつける。

「ふふっ、嫌な事を聞いたバツでしたのに、仕返しされてしまいましたわ」

サイスがティターニアのスカートの中に手を滑り込ませると、ある事に気がついた。

「あら、下着はどうしましたの?」

「あの犯人のポケットにねじ込んでおいたの。その方が良いかなって思って」

それを聞いてサイスは吹き出した。

「ふふっ、さすがですわ」


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