表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この太陽系で私達は  作者: えるふ
20/70

学園都市船2番艦ルナ

端末の音でティターニアは目を覚ました。朝と言うには遅く、昼と言うには早い時間だった。

「シャワー浴びてこよ……」

目をこすりながらシャワールームに入り、ティターニアの手が止まった。先客がいたためだ。

「あらティターニア、おはようございますわ。昨晩はお楽しみでしたわね」

もともと複数人で入ることを想定しているシャワールームなので、広さは問題なかった。

「聞いてたの…?」

「ばっちり見させて頂きましたわ」

ティターニアはぬるめに設定したお湯を頭から流す。お湯が肌を撫でる感触が気持ち良い。

「私もティターニアくらい胸があれば……誘惑も可能でしたのに」

サイスが自身の胸を持ち上げながら言う。

「Aくらい?」

ティターニアが聞く。サイスはため息混じりに

「いいえ、Aに一歩届いてませんわ」

ティターニアはそれを聞いて

「まぁ、でも体型通りだと思うけど……」

「ティターニアはおいくつ?」

「Cだけど……」

サイスはそれを聞いてティターニアの胸に手を触れる。

「でも思うんだけど」

ティターニアは話を切り出す。

「サイスをドンピシャで好きになる人って危なくない?」

サイスの身長、実に金星の平均身長より低い122センチ。

「別に私は構いませんわ。私を好きになってくれる、それだけで私は幸せですわ。私はティターニアを好きになる人の方が危ないと思うのだけど?」

サイスに言われ首をかしげるティターニア。

「アルビノで尖った耳。妖精と言う肩書き…」

そこまで言われたとき素直にティターニアは言う

「フーガ君じゃん」

「有名人と付き合うだなんて、下心が……」

サイスがそこまで言った時にシャワールームの扉が開く。

「随分、言いたい放題じゃないか」

フーガが扉を開けながら言う。

「あら、聞いてましたの?」

「聞こえてたんだよ」

「御免遊ばせ」

サイスはそう言うとシャワールームを出ていく。フーガはため息を吐きながらベッドの上に散らばってる物を片付け始める。

「随分お楽しみだったようで?」

ティターニアがシャワールームから出てくる。フーガの顔を見ると少し疲れてるように見える。

「別の部屋に移れば良かったよ……」

ティターニアが体の水気を取りながら言う。

「まぁ、オカズにでもしてくれ……」

フーガが諦めたように言う。3人は服を着てホテルを出る。

「ところで、このあとどこ行く?」

「あ、ゲームセンターへ行きたい」

ティターニアが言う。特に行く宛がなかった3人はゲームセンターへ移動する。


「このね、キーボードスタイルってゲーム、どの地域で遊んだか記録が残るの」

ティターニアが筐体に端末をかざしながら言う。画面には天王星、冥王星、木星、地球とかかれており、下の方の学園都市船1番艦ソルと書かれている。そして、端末の読み込みが終わると、学園都市船2番艦ルナが追加される。

『ルナよりジョイン!ユーガッタログインボーナス』

調子のいい音声が筐体から聞こえる。ティターニアは迷うことなく11段卒業試験曲を選ぶ。

「どういう曲ですの?」

サイスが首を傾げる。

「すごく難しい曲。でもティターニアにとって準備運動」

サイスが目を丸くしてゲーム画面を眺めている。すると、コンボ数が168のあたりで1に戻る。ティターニアのキーを叩く指が若干強くなった気がする。

「やっぱり、切れるとだめなんですの?」

「まぁ、あそこまで行くとフルコンボはしたいって思うと思うぞ」

フーガはサイスに言う。フーガは心の中で「ああ、絶対さっき舌打ちしただろうな」と思っていた。


『ランクA+!次の曲を選んでくれ!』

ティターニアは音声が流れ終わるよりも早く選曲をして、ロード画面に放り込む。

「お、怒ってる怒ってる」

フーガは少し楽しそうだったが、サイスは気が気じゃなかった。

「ゆ、指の動きが見えませんわ……」

サイスが言う。さっきも十分早かったが、今選んだ曲は先程よりも難易度が高いため、指の動きが大変な事になっている。

「正直、あそこまで行くと、凄い通り越して気持ち悪いレベルなんだよなぁ」

「あら、失礼な事を仰るのね。フーガだって、誰よりも秀でた才能を持ってると思うのだけど?」

サイスがフーガに言う。フーガは思い出す。

「そう言えばARMAやってる時にティターニアに同じこと言われたっけ」

フーガは首をひねりながら言う。サイスは

「人だかりができるほどですもの、さぞかし『気持ち悪い』のでしょうね」

フーガは周りを見渡す。凄い人の量だった。

「ソルのときより人が多い気がする……」



「あ、終わった。ガッツポーズしてるって事はうまく言ったんだな」

フーガが言うと、ティターニアはコンティニュー画面でNOを選び二人のもとに戻る。

「最初の曲で失敗続きだったから心配だったけど、なんとか得意曲でフルコンボできたよ」

嬉しそうにしているティターニアにフーガは

「気分良く帰れるようで良かった良かった」

フーガが端末を見せる。帰宅命令である。

「あれ、もう?」

「地球とのスイングバイがあるから、早めに帰れ、とお達しですわ」

端末で予定日を見る。

「無重力日が2日後に控えているからな」

フーガも言う。ティターニアは遊び足りない感じを残しながら港へ移動し、1番艦ソルに戻った


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ