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この太陽系で私達は  作者: えるふ
18/70

ティターニアは有名人

ティターニアは朝メールの着信音で目が覚めた。

「……市長室に来いって事?」

メールを流し読みしてとりあえず、書いてあることを確認する。曜日を見る木曜日である。

「授業後で良いわよね?時間指定されてないんだし」

そのつぶやきが聞こえたかのように即座にメールが飛んでくる。

「ただちに市長室に来るように」

ティターニアは制服に身を包むとすぐに市長室へ向かった。



「ティターニア、出頭しました」

入り口の案内にそう告げるとすぐに部屋に案内された。

「急な呼び出しに恐縮する。早速本題だが、2番艦ルナの市長が会いたいと申し出ていてね、どうかね?」

市長の言葉に首を傾げるティターニア、

「その話、断ってもいいですか?私は自分が有名人のつもりはありません。たとえ有名だったとしても、私は普通が良いです。特別視は嫌いです」

そのティターニアの言葉を聞いて市長はため息混じりに応える。

「好きか嫌いかではないのだよ。君はもう少し自分の境遇を理解したほうが良い」

この市長面倒臭いな、とティターニアは思い、

「相手がこっちに来るなら構いません。どうせ今接近しているのですから。私から行くのは筋が違うかと」

そう答えておく。

「分かった、連絡をしよう。控室で待っていて欲しい」

ティターニアはメイドについていき、控室に入った。

「ところで、貴方、歳はおいくつ?すごく若く見えるけど」

ティターニアは付き添いのメイドに聞く。どうやら暫く一緒に居ることになりそうである。

「今年で16です」

メイドは頭を下げながら言う。

「若いと言うよりは幼いのね。いつからこの仕事を?」

ティターニアは出された珈琲を飲みながら聞く。

「3年ほど前からです」

「随分早くから働いてるわね。何か事情が?」

「いえ、そのようなことはありません。ただ、高校受験に失敗して、早期就労が必要だっただけです。最初のうちはバイトで、そのあとそのまま就職した形になります」

国によって働けれる歳が異なる。この学園都市船では12歳から働くことが可能になる。

「護身術は?」

「心得ております」

ティターニアはそれを聞いて少し試してみようと思い、歩み寄ってみる。

「腰に下げてる獲物を机の上に置いてもらえる?ちょっと試したいの」

「構いませんよ」

メイドは腰に下げていた銃を机に置く。それを確認してティターニアは拳を繰り出す。

「不意打ちとは……少々過ぎますね」

メイドはちゃんとその拳を払いのけるとティターニアに足をからめバランスを崩させる。ティターニアはそのまま足をからめ、メイドの動きを封じる。そのまま倒されればティターニアは無力化されてしまう。カウンターである。

メイドはティターニアに覆いかぶさるように倒れたので、腰に手を回しそのまま臀部に触れる。

「あ、あの……」

困惑するメイドはすぐさま手を払い除け立ち上がる。ティターニアはそれに続いて立ち上がる。ティターニアが立ち上がる頃、メイドは先程の銃を手にしていた。

「本物?」

「はい。本物です」

言いながらメイドは腰に銃を収める。

「何事ですか!?」

赤いメイド服を着たメイドが控室に飛び込んできた。どうやら先程の物音を聞きつけたようである。

「あ、メイド長……」

赤い服はリーダーの証らしい。

「ごめんなさい、少し可愛いかったからエッチなお誘いをしたら抵抗されちゃって」

ティターニアがそう言うと、そのメイドは何も言えずただ黙っていた。

「お戯れのなきようお願いします……ではこちらへどうぞ、間もなく到着するとの事です」

ティターニアは案内されたとおりに移動し、先程の市長室に入る。

「おお、お初にお目にかかります、ティターニア嬢。私は2番艦ルナの校長兼市長をしている者です」

髭面のおっさんが嬉しそうに声を掛ける。ティターニアはカーテシーしながら

「お初にお目にかかります、ティターニアと申します」

「雪のように白い髪、陶器のように白い肌。尖った耳、噂通りですな」

嬉しそうに2番艦の市長は言う。

「まさか会うためだけに私を呼んだわけではありませんよね?何か用ですか?」

ティターニアは少し不機嫌そうに言う。

「いや、一目みたいと思っただけですよ、ほっほっほ」

そう笑いながら髭面の市長は部屋から出ていった。呆気にとられたティターニアは市長に

「帰っても?」

「不愉快な思いをさせたお詫びにこちらをどうかな?」

クリッパーの絵の描かれたボトル。カティーサークだ。ティターニアはゆらぐ。

「ベイリーズとカルーアも貰えるなら」

「勿論だとも」

ティターニアは酒瓶を手に市長室を出る。授業を途中で受けるつもりはなく、そのまま帰宅した。

「なんか今日は疲れたなぁ」

ティターニアはベッドに転がっていたヤツメウナギのヌイグルミを抱くと、大きくため息を吐く。

「ティターニア、ちょっと良いかしら」

サイスの声が聞こえたので端末を見る。着信あり。

「どうしたの?」

「いえ、今日、学校に来られてないみたいでしたので気になって」

サイスの心配する声。ティターニアはため息混じりに応える

「校長先生によばれただけよ。しかも会いたいだけって言われてもう仕方ないからお酒貰ってきたわ」

サイスはそれを聞いて笑いをこらえながら言う。

「ふふっティターニアらしいですわね」

「これから自棄酒するけど、一緒にどうかしら」

ティターニアが言うとサイスは嬉しそうに

「ええ、構いませんわ」

そう言って通話が切れ、暫くすると呼び鈴が鳴る。

「今日はどんなお酒をご用意してくださるのかしら?」

ティターニアは少し考え、

「お酒弱いみたいだから、ゴッドファーザーのコーラ割りにしてあげる」

貰ったばかりのお酒を用意し、保存しておいたアマレットを注ぐ。

「割ってから言うのも何だけど、炭酸大丈夫?」

ティターニアはコーラを注ぎ終わってから言う。

「大丈夫ですわよ」

自分の分はコーラを注がずに飲む。それを見てサイスはグラスを傾ける。

「結構飲みにくいですわね」

「じゃあもう少しコーラ入れようか」

サイスの申し出にティターニアはコーラを追加で入れる。

「これならなんとか」

ティターニアはふと、思う。サイスに飲ませてるお酒、キワモノが多い気がする、と。

「これ、飲んでみる?」

グラスをもう一つ用意し、アマレットとカルーア、ベイリーズを注いで渡す。

「甘い、ですわね」

「このカクテル、ちゃんと名前あるんだよ」

ティターニアは言って気がついた。名前――――。

「あら、なんて名前ですの?」

「えーとその、オーガズム……」

それを聞いてサイスの目が輝く

「つまりそう言う事がしたいって事ですわね!?おまかせを!」

ティターニアは多少の抵抗をしたが、されるがままにしておいた。そしてティターニアは覚える。サイスをいい感じに酔わせると襲われる、と。


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