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邪神と猫  作者: 神白
8/12

閑話 〜精霊との契約〜

さて、蔓さん。とりあえず海方面に向かうとして、街道突っ走ったほうが早いから街道に戻るね。

シュル!( ̄^ ̄)ゞ



キャァァァーー


・・・え。この声って・・・


「誰かぁたすけてぇ」

「姫様!」

「ナナ!!」


目が尋常に赤い瞳の狼の群れがとあるクマのぬいぐるみを抱えた女の子を囲み騎士のような人1人、侍女さん1人がその子供の名前を叫ぶ。


ナナ?!何でここに!!

私は1匹の狼の頭を踏み台にして女の子と狼の間に立ちふさがる!


“フシャー!!”

風を操り周りの狼たちを切り刻む。空気中から水を作り出し、すぐに後片付け。ナナの視界に入らないようにしないと!

いや入るだろとか思うでしょ?大丈夫です。おそらく、私に釘付けなので。


「ね、ね、ねねねねねねねっ!」

「猫様?!」

「え、誰?」


騎士の人?は私のこと知らないみたい。まあ、猫だしなぁ。


お掃除完了。さてさて、後ろの子の相手ですねぇ。


「猫ちゃん!」

ぎゅーとぬいぐるみを放り出して私を抱っこ。

「猫様が現れてくれるとは流石勇者様!不出来な王子とは違います!」

「んなっ!ちょっ!こんな猫と比べるのか?!と言うかこいつが勇者!?」


「「こんな猫じゃないもん(です)!」」


「うっ。」


タジタジですな。

まあ、とりあえず話を聞かなくては。

タシタシとナナの膝を優しく叩き、こてんと首をかしげる。


「???なーに、猫ちゃん。」

「おそらく、何故ここにいるのか聞いてるのでは?」

「アレス王子がお散歩しようと声をかけてきて、お外にお出かけしにきたの。あ!護衛の人たちが怪我してるの!猫ちゃんお願いできる??」


怪我人いるのか。それは治してあげないと。

襲撃を受けたところから少し離れた所に馬車もあり、寄りかかるように5人ぐらいが倒れ込んでいた。

馬車から離れた場所にいたと言うことは、ナナが囮として駆け出したな。後でめっ!ってしとかないと。


“にゃ〜ん”

広範囲回復魔法を施して怪我を全快させる。


「おお、猫勇者殿!!ありがたき幸せ!」

「猫勇者様!あ、握手してください!」

「こら!迷惑だろうが!」

「猫勇者様に会えるなんて!!」

「猫勇者様だー!!騎士やっててよかった!」


「猫勇者様、猫勇者様って人気者すぎないか。」

王子はつまらなさそうだ。


「アレスは猫ちゃんのこと知らないの?わたしの国では結構有名な勇者様なんだ!わたしの命の恩人でもあるから。」


そうだねぇ。そんなこともあったねぇ。


「猫勇者様、先ほどのように森に危険な魔獣が現れてるのはご存知ですか?もし、よろしければ特徴や、弱点など教えていただきたいのですが。」


念話できませんって・・・どう伝えよう。

シュル!(・v・)ノ


ん?蔓さんが何やら蔓をしならせて文字のようなものを作り出す。


「むむ、クルガの蔓?コレは・・・猫、様、念話、ダメ・・・?つまり、猫勇者様は念話ができないのですか。それにしても、初めて見ました、意志を持つクルガの蔓は。」


おお!蔓さんすごい!人の使ってる文字知ってるんだね!!じゃあ、通訳さんお願いできる?


シュル!( ̄^ ̄)ゞ


「・・・?続きですかな?危険、魔獣、液体、弱点、火・・・!クルガの蔓と意思疎通ができるんですか!それで、猫勇者様の意志を文字にして表してると!素晴らしいです!流石猫勇者様。好かれてますね。先ほどの内容からして、スライムのような感じなのですか?弱点は雷ではなく火ですか。わかりました。スライムのようなものなら核はお持ちではないでしょうか?」


あるね!

異空間から小さい核を取り出す。スライムの核とは違い、丸ではなく、宝石の原石のようなゴツゴツしたものとなっている。色は紫色、黒いなにかが渦巻いているが、危険な感じがするので魔封じはすでにしてある。なので、人が触っても問題ないはずだ。大きいのも魔封じしてあるがこちらはわたしが保管しておいた方が良い気がする。後で光魔法で浄化できるか試してみよう。


核を渡された騎士のおじちゃんはすぐに部下に命令で厳重に保管しておくように命じていた。念には念をね。いい心がけだ。さて、ナナの国は確か海に面してたな。それに、精霊の泉とかなかったっけ?あそこで運が良ければ精霊に会えるし、水の精霊と契約でもするかな。蔓さん、わたしも護衛としてついていくこと伝えてくれる?


シュル!( ̄^ ̄)ゞ


「今度はなーに?猫、様、姫、守る、泉、行く、海、行く・・・???」

「つまり、猫勇者様は姫の護衛としてついてきてくれるのですね!それと、泉というと・・・精霊の泉ですか!そこに行きたいのですね。あと、海に行くということは海を渡るのですか?船とか手段ありますか?なければご用意しますが。」


船はいいや、海竜と契約できなくても、空飛べるし。水の上も歩こうと思えば歩ける。船は必要ないと首を振っておく。

蔓さんも、船、無しとつたえてくれたようだ。


「猫勇者殿にも、国際会議に参加して欲しいけど、流石にダメだよね。」

駄目元で聞いてきてるけど、国際会議?って何?

何話すの?ってか、猫だよ?参加できるの?

わからないことがたくさんありずっと首傾げる。


「姫様、猫勇者様は国際会議についてわからないと思います。国際会議とはですね、今や、先ほどのように魔物が凶暴化した状態で出てくるのはここ付近だけではないのですよ。それについての対策や、その他の見たことのない危険な魔獣の容姿と弱点の情報交換などを行う予定なのです。討伐に成功したのは猫勇者様がまだ初めてだとは思いますが。」


やっぱり、おかしなことになっているのか。魔物の生態系が崩れる兆候かなにかだね。管理するものが必要だ。急がないと!でも、スライム状以外も発見されているのなら知っておきたい。

勇者であれば参加できるのだろうか?

蔓さん聞いてみて!


シュル!(・v・)ノ


「猫、様、参加、希望!!本当!?やったぁ!勇者であれば参加できるの!国の代表者と勇者一名が参加できるからお父様にお願いする!わたしも出る予定なんだよ!」


じゃあ、ナナの膝の上でのんびり聞くかな。


「では、話も纏まったところでまずは泉に行きましょう。」


騎士のおじちゃんの一声で、私はナナに抱っこされたまま馬車の中に入る。寝心地の良い場所は私のものだ!邪魔されないように、馬車を中心とした半径5メートルの結界でも張っとくか。


そんな感じで、ゆったりと目的地まで過ごしているとすぐについてしまう。


「猫勇者様!精霊の泉の近くに着きました。」


はやくないですか。流石、猫の足とは比べ物になりませんな。さて、会えるかなー?


私はナナの膝から降りて、馬車も降りる。

精霊の泉は場所が固定されてないのでこの付近にあるとしかわからないものなのだ。精霊と契約しとけばすぐに見つかるそうだが・・・。

じゃ、サッサと探して・・・・・・


{やっときたぁぁぁ!!!}


・・・へ?

キョロキョロと見渡すがなにもいない。


「猫勇者様?どうされました?」


え、何も聞こえなかった?今、え?あれえ?

蔓さんは聞こえたよね!

シュル(・・?)


あれぇ?気のせい?


{バカッ!気づかれちゃうでしょ!静かになさい!}

{だってだって〜一番契約して欲しい勇者が今!目の前にいるのに!!}

{かわいいー!ナデナデしたーい。}

{抱っこ!}

{・・・にゃんにゃん}

{・・・・・・いや、もう気づかれてるから。}

{不可視にしてるから見えてはないけど。}

{声は丸聞こえ。}


うん、丸聞こえ。泉についてないのに、いるのか。まあ、近くにあるだろう。とりあえず、泉に向かおう。


{あ、スルーしてくれてる、優しい子。}


そこは突っ込まないでもらいたかった。

まあ、無視するけど。


街道から森に入り、すぐに泉がある。

早っ!


「なんと!こんな人通りの多いところに出てきているのは大変珍しいですよ!?」


だろうね。でそろそろ姿見せようか?精霊さん?


{ふふふっ、よく来たわね。勇者!}


「あ、アレは!水の精霊王?!他にも?!ちょ!え?!」


王様なのかい。えらいの来たなぁ。きょどりすぎじゃないか?王子さん。


{我らと契約したければ相当の対価をよこしなさい!}

・・・上から目線だぁー。おそらく全員王様クラスだよね。はあ、勇者の特権とかよくあるよね。んんー?対価?何かいいものあるかなー?

・・・・・・・・・あ。

蔓さん、私の魔力って美味しいんだよね?

シュルル〜♪( ´▽`)


じゃ、これでいいか。

魔力を押し固め、それを宝珠状にする。


{・・・??それは何?}

{猫、様、魔力、塊・・・?!魔力の塊ですって?!な、なんて美味しそうなジュル。}


これあげるから契約しない?

{{{{{{{{する!!!}}}}}}}}


全員ついて来た。水の精霊だけでよかったんだけど。まあ、いいか。

全員分の魔力珠を作り出して、重力魔法を使ってそれぞれの目の前に移動させる。


{重力魔法使えるの?!凄!}

{じゃあ、いっただっきまーす!!!}


・・・・・・。

ピンポーンパーンポーン!

只今精霊(全員女の人)が淫らな姿なので、お花畑の映像でも見て少々お待ちください。


ナナ達には馬車で待つように言いました。

騎士と王子は顔を赤らめて移動。ナナは侍女さんに目隠しされて移動。うん、ナナにはまだ早い。


おーい、そろそろ正気になれ?契約してやんないぞ?あ、そうか。もうあの一個でこれからは必要ないんだね?じゃあ、私はもう帰・・・


{待ってぇ!契約してあげるわ!いや、させてください〜!!!}

{俺もうちょっと濃いのがいい!}

{私は薄くていいでしゅ。酔っちゃいましゅた。}


んー。わかったわかった。えっとー?名前つければいいの?


{えぇ、そうよ。名前をくださいな!}


んー。ま、分かりやすく行くよ?火の精霊はフレイ、水の精霊はディーネ、風はフィーナ、氷はヒョウカ、土はアース、雷はボルト、光はシャイン、闇はグレイン。でどう?


{これからよろしくね!姫様!!}


・・・なぜ、姫様?勇者なんだけど。


{あら、人からは勇者と呼ばれているのでしょう?だから、同じ呼び方はあまり好きじゃないの!だ・か・ら!姫様って呼ぶわ!}


人と同じ呼び方は嫌なんだね、まあ、呼び方はどうでもいいや。よろしく。さてと、早速だけど近況報告だけしてもらっていい?変わった魔物はなんなのか正体知ってる子いる?


{あの気持ち悪い奴らね。あれは闇を生み出すものよ。闇といってもグレインが操るような闇じゃなくてそれ以上に混沌としたものになるわ。}


浄化は可能?


{可能だけど、巫女とか、光に特化した勇者では力不足よ。今この世界にいる浄化ができるものはおそらく1人ね。}


へー?誰?


{姫様だけね。}


えー?私?マジ?ふむ、めんどくさい。シャインは浄化できるんでしょ?


{はい!できますよ!簡単です!!}

むむ、そうだなぁ。それについての対策は後々考えるとして、浄化に使う魔力多いから一気にしたいんだよね。湧いてくる場所を潰せば気持ち悪いのは現れなくなるよね?何処かわかる?


{一応、わかる。でも、そこは瘴気が充満してる場所になる。だから、普通の人間が近づけば呑まれて暗黒化する。}


暗黒化?なにそれ?どんな感じになるの?


{真っ黒になる。石みたいに固くなる。動けなくなって、心臓まで暗黒化したら死ぬ。}


それは、厄介な。解除可能?


{可能だけど初期段階じゃないと無理よ。全身が暗黒化していたら、なにかしら後遺症が残るわ。下半身麻痺とか、目が見えないとか。}


そういうことも、国際会議でお話ししないとね。国際会議での通訳はシャインお願いできる?蔓さんは今回は休んで?いい?


シュ!(・v・)ノ


じゃ、みんなのところ帰るか。普段は不可視状態でうろちょろするの?それともどっか帰るの?


{気分によるわね。今は一緒に行くわ。姫様のそばにいたいし。}

{ディーネとフレイ、フィーナ、シャインは残るのか。じゃ、私たちは帰るわ。帰る所ってのは精霊界ってのがあって、そこで普段は生活してるの。用があったらいつでも呼んでくださいな我らの姫様。では、失礼します。}


他の四大精霊は帰っていった。謎のゲートをくぐって。あれがゲートか。今度、術式見せてもらおう。私の魔法に組み込めば便利になりそうだ。


さてさて?馬車に戻りました。みんなには私しかいないように見えているはず。なのに羨望の眼差しで私を見る。


「流石、猫ちゃん!精霊王様と契約しちゃうなんて!この世界にいる勇者で初めてのことじゃないのかな?」


え?なにそれ。バンバン契約してるもんじゃないの?勇者っていうのは。


{あら、そんなことないわよ?姫様が特別なだけで、契約なんて滅多にできないものなの。まず、見えたり、感じたりできないと無理だし、王様クラスなんて、気分だからねぇ。}


ふーん?じゃあ、四獣とか八竜と契約してる勇者なんかいないわけだ。


{・・・まさか、契約できてるなんて言わないわよね?}


ん?八竜にはまだ出会ってないから、できるかわからないけど。四獣のうち、炎獣と雷獣は契約したよ?それにこれから、海竜とも契約したいと思ってる。まあ、四獣はコンプリート目指してるなぁ。


{なんでそんなに、契約したいと思ってるの?}


ん?まあ、今起こってることってさ、それぞれの地域で生態系が崩れてるからじゃないかと思うんだ。だから、みんなに世界中の生態系のバランス取るために力を貸してもらいたくてね。各地の管理をしてもらいたいんだ。人手は多いほうがいいから、八龍の契約も考えないとねぇ。


{・・・それ、神様の仕事よ?担当してる神がサボってるからじゃないかしら。誰だったかしらねぇ。魔物の管理って。そこらへんはわからないけど、姫様がするようなことじゃないと思うわ?}


神の仕事か・・・女神に聞いて見るか。

女神ー?今いい?


【あら、猫勇者?なにかしら。】


あのさ?魔物の管理って神の仕事って聞いたんだけど何神がやってるの?


【・・・・・・知らないわ。】


・・・知らないの?本当に?んー。なら、しょうがないか。質問はそれだけだから。じゃ!


【ちょっと!もう少しお話し・・・ブツッ!】


{容赦ないわね。それで?どうするの?}


ん?やることは変わらないよ。仕事やってないなら代わりにするだけ。魔王討伐までどうせまだまだ先長そうだし気長に行くよ。手伝ってくれる?


{もちろん手伝うのは構わないわ!八竜とは契約しなくていいわよ?あんな奴らいらないもの!姫様は我らが守るから。}


あー、八竜とは仲良くないのね。うん、まあ、することになったら仲良くね?


{しないでくれたら一番なのだけど?}


人手は多いほうがいいと言ったでしょ?試みるのはやめないよ?断られたら諦めるけど。


{・・・・・・絶対契約するわね。コレは。}

{ですねぇ。}


わからないぞ?断るかもしれないし。まあ、行き当たりばったりが私のモットー。そんなことを話しているとまた、あっという間に・・・


「着きましたよ!ようこそいらっしゃいました。猫勇者殿、我が国ノワール共和国へ!できれば、馬車の上に上がってきてもらえますか?皆も喜びます。」


あいよー。ナナ、ちょっと挨拶してくるねー。


馬車の小窓からヒョイっと出て屋根部分に上がる。そして、ひと鳴き。


“ニャァ〜ン♪”


召喚魔法を使い、この国には無い太陽の花や、月の花、空の涙と言われる花などを舞い散らせる。これ、いろんなところで結構反応がいいんだよね。


「え、花びら?・・・ッ猫勇者様?!きゃー!!」

「猫勇者様じゃあー!」

「ようこそいらっしゃいました!!」

「歓迎しますぞー」


キャーと女の子の黄色い悲鳴が響き渡る。それが伝染して、歓声へと変わる。

大騒ぎだねぇ。

そんなこんなで、歓声の中馬車はゆっくり進み、王城に着く。



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