閑話 〜炎獣・雷獣〜①
〜炎獣・雷獣〜
・・・あー。足疲れたー。少しお昼寝しよう。
私は木の上に登り、ふかふかの葉っぱを集め寝床を作る。
完成した後その上に乗りいつも通り丸くなって寝る。
数時間後・・・
ドガン!キン!!ギィーン!ガァァーン!!!
・・・うるさーい!
なんだ!私が健やかな眠りについている時に!
『ガウ!ガウ!』
「クッソ!流石、炎獣!強すぎだろ!」
『オォーン!!』
「雷獣の方も強すぎです!コンビネーション良すぎ!」
『『オォーン!!!』』
「大技のコンビネーション来るぞ!」
「避けろ!!」
「避けられない!?」
「ヤバっ前にですぎた!」
そんな大技出したら私まで食らうだろ。周りのこと考えろこのバカ犬共!
私は人と2匹の間に割り込み、2匹の周りに結界を張る。
自分の技で自滅しろ!!
『ギャウ?!』
『キャウン!』
「・・・・・・え?」
「な、何が。」
「ね、こ?」
「あんな上級魔法を猫が?!」
はあ、魔力使った。魔獣狩りしに行こう。お腹減ったー。
何事もなかったように、森の中に戻ろうとする私に結界の中の2匹が吠えてきた。
『ガウガウ!!!』
『ガルルルル!!!』
うっさい。私の寝床を壊そうとした罰だ。結界は解除してやるからどっか別のとこでやれ。
解放される獣達。標的を人に戻さず私に突っ込んで来る。めんどくさいなー、もう。
猫に大きな鋭い爪が振り返る!!
「危ない!」
めんどくさい時は、魔気発動。
『『?!キャウン!?』』
おぉー、思いっきり後ろに下がった。でも、逃がしてやったのに向かって来るとか、覚悟・・・出来てるよね?
ま、とりあえず魔気は収めて、後退した2匹に一瞬で近づく。
驚いて動けない2匹をそれぞれの弱点属性の牢獄に閉じ込める。
炎獣は水。雷獣は氷。
『ガボッガボッ!?』
『ッ?!?!』
炎獣はもがき、雷獣はガタガタと震える。雷獣の方は寒いだけでなく、触れたところが痛いからキツそうだね。
「・・・・・・ね、ねえ?そろそろやめてあげて?」
人の言葉はわかるが、意思疎通はできない。だから、首を振る横に。もう少しやらないと気が済まない。
「・・・お、おい!よ、弱いものいじめはダメなんだぞ!!」
「ちょっ、やめとけ。殺されるぞ!」
弱いものいじめ?・・・・・・はあ、しょうがない。解除。
『ゲボガボッ』
『キューンキューン』
解放された2匹に伝える。
私はご飯を食べに行くから、邪魔しないでね。次は殺すよ?じゃ。
今度こそ、私は森の中に帰る。はあ、弱いものいじめかぁ。私と同等の力を持った魔獣とか・・・いるのかなー。はあ。お腹減ったけど、ふて寝しよう。はあ。
「なんだったんだ。あの猫。」
「でも、私達の試練は失敗ですね。まだまだ実力が甘かったということを痛感しました。」
「くっそー、勇者初の四獣との契約をしたかったのに!」
「我々は帰ります。が、この2匹は大丈夫なんでしょうか?」
『キューンキューン。』
『クォーンクォーン。』
「さっきの威圧もなくなって、互いに慰めあってるな。」
「相当怖かったんでしょう。」
「こいつらって、住みか帰れんの?」
「送ってあげたほうがいいのかな?」
『『・・・・・・。』』
2匹は無造作に立ち上がり、森に入っていった。
「え?!猫の方に行っちゃったけど。大丈夫な訳!?」
「我々にはどうすることもできません。無事を祈りましょう。」
「・・・頑張れ。」
「・・・・・・なあ?思ったんだけど。あいつらをひれ伏させたあの猫と契約する・・・なんて起きないよな?」
「「「あ。」」」
『ガウガウ!』
『ガウ?ガウ!』
2匹は少し話し合い?をして、先ほどの猫を探すことにしました。
それを上から見る猫。
なんでこいつらまだいるの?帰れよ。
はあ。お前らのせいで勇者の私は悪者扱いされたんだぞー。あいつらも勇者だったなー。後輩に悪者扱いされたー。
『!!ガウ!!!』
あ、見つかった。
もう、何の用〜?
『ガウガウガウキューン』
『クォーン』
ん?お腹だして降参状態?・・・なに?契約したいの?私と?
『『キューン』』
・・・。
私は無言で木から降りる。ちょうど、手足となる配下欲しかったんだよね。それに、フカフカしてるよね。見た目が。寝床兼運び屋兼、ある区画の守護獣してもらおうかな。
契約してあげるよ。お前達の真名は・・・炎獣がエン。雷獣がジンで。
『『ッ!オォーーーーン!!』』
2匹が吠えることで、魔法陣が私と2匹の下に浮き上がり、炎のエンブレムと雷のエンブレムが現れ、
私の中へと消える。
はい、契約完了。さて、早速エンの背中に乗りお昼寝を開始する。
とりあえず、彼ら2匹が住んでいる領域に向かってもらう。
私は寝てるから、着いたら起こしてね。じゃ、おやすみ〜。うわぁー、フカフカ!これは爆睡できる〜。
次の日。
んんー。久々によく寝た。ん?光?朝?・・・あらら、そんなに寝ちゃったのか。さて、ここは〜???あれ?森だよね?あいつらはどこ行ったんだ?
「おいおい、あんま刈り過ぎんなよ。貴重で丈夫で再生能力をもつクルガの蔓だ。それに、刈り過ぎたらここを住処としてる四獣2匹が暴れるからな。」
なんだこいつらは?クルガの蔓?クルガの蔓といえば私がここにきて初めて出会った生命体で、命の恩人じゃないか!それを刈るだと?いい度胸だ!
“にゃーー!!!”
「な、なんだ?!猫?!」
「くそ!殺せ!」
“フシャー!!!”
私は剣を振りかぶる男を風で吹き飛ばす。
その他の男は、クルガの蔓が巻きついて拘束した。
すごいすごい!
「ぎゃー?!なんだこれ!!た、たすけてくれー!」
「ガハッま、魔法使ったぞこの猫!!魔獣か!く、くそ。お前ら!ここは逃げるぞ!」
「逃げれねえんだよ!助けてくれ!!」
「んな?!なにして・・・」
『『グルルルル!!グルガァアァ!!!』』
「や、やばっ!わ、悪い。自分で逃げてくれ!!!」
「おまっ!ふざけんな!!ちょっ!締まってる締まってる!!!」
蔓が他の男を締め上げる。
怒ってますなー。
人殺しはいけないから離して、私がこいつらを牢獄に閉じ込めて来るから。
シュル、シュルシュル。
んん?なに?
クルガの蔓の小さいのが私の首に巻きついた。
???一緒に行くの?
シュル!(* ̄0 ̄)/
ん、じゃあ、一緒に行こう。えっと、拘束してー。
エンとジンは逃げたやつを捕まえてきて、一緒に転送するから。
『『オォーン!!!』』
うん、いい返事。それまでは、狩してこいつらの目の前で食ってよう。ある意味拷問だよね。人を食べる趣味はないけどね。
蔓さんはお腹空かないの?
シュルシュル
少し伸びて光に当たる。
あー。光合成かー。んー。でも、イメージ的には美味しくなさそう。・・・あ。私の魔力食べてみる?
シュル?(・・。)?
私の手に巻きついてごらん。
シュルシュル
いくよ?
シュルルルル?!!
シュルヽ(。>▽<。)ノ
美味しい?
蔓さんが終わったら狩に行くかなー。
・・・シュル!(`^´ゝ
あ、終わった?じゃ、首輪状態になってしっかり巻きついとくんだよ?
・・・数十分後・・・
大量大量!
「お、おい。ま、まさか。ここでそれ食べねぇよな?」
「待て!グロすぎるだろ!吐くから!やめて!」
「グロいのダメなんです。もうここには2度とかないから許して!!」
許さないよ?罰だもの。それにお腹空いてるからお預けなんてできないよ?
気を取り直して!いっただっきまーす!!!
「「「ヒッ?!」」」
[ピーンポーンパーンポーン♪ただいまグロい映像が流れているため。しばらくお花畑をご想像し、お待ちください。]
「「「タスケテタスケテタスケテ。」」」
はい、3名様鬱状態にごあんなーい!!
さて、まだ来ないのかな?2匹は。遅いな?
様子見てこようか。




