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邪神と猫  作者: 神白
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1話

私は猫です。

転生し、猫になりました。そして、勇者でもあります。とある女神様に邪神をこの世界から消してくれと頼まれまして、邪神のところまで行き、邪神を自分の身体に封じ込めました。女神様にはそのまま冒険し、魔王も殺してくれと頼まれました。今、魔王を倒すためもっと強くなるため魔物の肉を食う毎日です。魔王は、人々の絶望を餌に生きています。あらゆる手を使い、絶望を食べ、その絶望を生み出す人間や魔物に乗り移ることで生き長らえています。


乗り換えながら移動しているのでなかなか出会えないです。だから、これは地道にやっていこうと思ってました。最初は魔物の肉を食べなくても生きていけたのですが。私の中に封じ込められた邪神が私の魔力を吸収しだしたせいで、魔力を宿す魔物を食べ、魔力を新たに作り出していかないと間に合わなくなったので、食べてます。ちなみに魔力が間に合わなかったら意識乗っ取られて、邪神が出てきてしまいます。邪神がもし出てきたら、私は強制的に契約を交わされ、2度と自分の身体に封印ができなくなってしまいます。それは、断固阻止しなくては!ということで、魔物を食べながら、魔王を探してる最中です。さっき、大きな魔物を食べたのでとりあえず魔力が夜になるまでは持つでしょう。少しお昼寝をしましょう。こんな日向ぼっこに最適な日差しの中、寝ないなんて手はないです。そういうことで、おやすみなさい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ルアート!やっぱり私たちにはまだ早いよ!」

「大丈夫だって、俺が守ってやるよフィール姫!」

「あらあら、守れなかったら絶望して、魔王様になったりして。」

「エマ様、その時はすぐに殺せる程度の強さの魔王ということですね!」


騎士、姫、貴族の女騎士、新人執事。なんか、微妙なパーティである。この4人も女神に遣わされた勇者なのだろうが。弱い。魔気も感じることもできない雑魚。姫と呼ばれているのはどこの姫だ?邪神を身に宿してから不老不死だから、姫なんて何回見たことか。もう誰がどの国の姫だとかもう、わからないが。姫だということが本当なら、一応守ってやらねばならないが・・・あの若い騎士は何なんだ?黒髪黒目。珍しい。ということは召喚者か。異界人も呼んで人手不足なのか?女神も大変だなー。私がのんびりやってるからとか言い訳されそうだが、まあ、情報がないのにどうしろと。

その勇者?は姫のことを少し構いながらずんずん進んでいく。あ、この先には確か、私が食い散らかした魔物の死体が・・・


「キャー!!」

「っ!なんだこれ!?」

「姫!こちらに!」

「姫様!エマ様!お下がりください!」


あーごめんよー。いつも、水を流すんだけど、眠くってね。放置してたよ。


「ケロベロスを食べる魔物がこの付近に?!ルアート!!今すぐ引き返しますよ!!反論は認めません!ギルドにも伝えないと!」


あー、確かに首が3つあった。そのせいで、3回喉咬みちぎらないと死ななかったんだよね。しぶとかった。なかなか。


「っ!わ、わかった。」

「姫、良い判断です。近くにまだいるかもしれません。すぐに離れましょう!」

「姫様、顔色が悪いです。離れたら少し休憩しましょう。」


「・・・すみません。流石にコレは・・・ぇ?」


ん?今、一瞬目があった気がした。

・・・気のせいだろう。関わると面倒だ、早く私も離れるか。


「姫様?どうされました?」


「猫です!何でこんなところに猫が!!保護して街に連れ帰りましょう!!!」


うわぁ。逃げろー。


「姫!!待ってください!もしかしたら魔獣化しているかもしれません!不用意に近づいてはダメです!!!」

「そうだ!フィール!!不用意に近づくな!攻撃されるぞ!」


魔物を食らう獣。それが魔獣。私は魔獣猫。でも、魔獣猫のくせに魔獣であるという特徴の赤い目ではない。よって・・・


「大丈夫です!だって、赤目じゃないですもの!」


と、いうことになる。

はあ、めんどくさい。絶好の日向ぼっこ日和なのに。絡まれるとは。魔物をけしかけて離れよう。


“にゃ〜ん”


・・・・・・ドドドド。


「「「「・・・?」」」」


・・・ドドドドドドドド!!!


「う、嘘!!」

「姫!!」

「フィール!!逃げるぞ!」

「逃げますよ!」


うわー。いっぱい連れてきちゃったな。まあ、大丈夫だろ。私には関係ない。さて、日向ぼっこの続きを・・・


「猫さん!こっちへ!!!」


うわっ!びっくりした。私は今木の上にいる。なんか、よじ登って私をおろしに来ちゃったよ?!私に向かって手を伸ばす。

・・・いや、行きませんよ?今動いたら私も標的にされるじゃないですか。

早くどっかいってくれません?


「猫さん!!!」


「フィール!!・・・っくそ!」


勇者?が駆け出してきた。そうそう、早く回収して行ってくれ。


ドシャッ!


・・・何してくれてんのォ!?私の・・・私のお昼寝場所ォォォ!!

この勇者が!剣で私が乗っていた枝を切り落として、私を地面に落としやがった!

許すまじ!勇者!!爪で切り裂いてやろうか?!


「猫さん!」

パァッと笑顔になった姫さんが私を捕まえるため手を伸ばしてくる。

捕まってたまるか!ったく!もういい!あの魔物共に八つ当たりしてやる!!

まずは、姫さんの手を止めるため、


フシャー!!!

「っ!!」


と威嚇しといて!そして、魔物に突っ込む。


「あ!そっちはダメ!」

「フィール!猫はほっとけ!行くぞ!」


「あ!猫さっ・・・?!」


切り裂く、切り裂く、爪を伸ばして切り裂く!!!次は!牙を強化し、噛みつき、噛みつき、噛みちぎる!!!そして、向かってきた魔物を全て叩きのめした。興奮が冷めやまぬままで、フーッフーッと毛を立たせ怒りの根源である奴らを睨みつける。


呆然とこちらを見る姫さん。

警戒を私に向ける3人。


その4人を見て、苛立ちが出てきたので噛みちぎった一匹の魔物を咥えて森の奥に走り出す。これで、姫さんも懲りだだろう。他の奴らも学んだはずだ。見かけで判断してはならないと。あいつらのせいで余計な魔力を使った。もう少し狩りをして食べてから寝よう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・魔獣かしら、アレは。もっと異形なものに見えたわ。」

「・・・あれが魔王だったりしてな。」

「無理ですね。アレには勝てません。今の実力では。」

「・・・・・・。」


「フィール?大丈夫か?」


「あの猫・・・怒ってました。」

「あ?いや、猫じゃねえって、魔獣!」

「でも!怒ってました!何で・・・?」


「もしかして、アレはあのまま木の上に居たら襲われてなかったからかもしれません。それを、姫様が下ろそうとしたり、ルアートが剣で枝を切って落としたから怒ってたのでは?」

「・・・ぁ。そっか。私が、余計なことを・・・」


「え、エマ様!!」

「っ!し、失礼しました!」

「フィールに怒ってたんじゃなくて、俺に怒ってたに決まってる!だから、落ち込むな!な?ほら、女神様にアレについて聞いてみればいいじゃないか!何かわかるかもしれないぞ!」


「・・・そう、そうね。神殿に帰って聞いてみましょう。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【それで、その変わった魔獣猫について聞きたいと。】


「はい、女神様。あの猫は何なのでしょう。」


【あの猫は簡単に言うとあなた達の先輩ですね。私の願いを聞き入れ、魔王討伐を任された勇者です。】


「え?!呪いか何かで姿を変えさせられた人間だということですか?!」


【いえ、違います。彼女は猫の姿を望んでいたので、私が変えてあげました。それと、あの子に会ったら近づかないでください。彼女は魔王討伐を任される前に邪神の封印を任されていまして、その封印があなた達のせいで壊れてしまったら、大変なことになるので。】


「じゃ、邪神の封印を?!・・・わかりました。手を出しませんし近づきません。しかし、謝罪したいのですが。何か方法はありませんでしょうか。」


【ふむ、ちょっと待っててください。】


【・・・・・・・・・あ、ちょっとだけいいですか?ほんのちょっとですから!ね?ダメ?お昼寝する?変な奴らのせいで邪魔されたからイラついている?その原因の姫が謝罪したいらしいですよ?・・・え?それだけですか?ちょっと他に何か・・・あ、切れちゃった。】


「あ、あのー。やはり怒ってましたか?」


【かなりブチ切れでした。なんか、お昼寝場所を壊されたとか何とか言ってましたね。それで、あなたの謝罪の意思を伝えたところ。】


「と、ところ?」


【“あっそ”だそうで。】


「・・・・・・それだけですか。」


【ええ。それだけでした。あんまり気にしなくていいですからね?ちょっと邪神の封印のせいで魔力の調整しながらなのでイラついている部分もあると思いますし。】


「私、どうすれば・・・」


【まさか、仲良くなろうとか考えてないですよね?!やめてくださいよあの子が何かの拍子で絶望したらこの世の終わりですから!彼女も1人で生きていくことを望んでるんですから!結構魔獣楽しいわとか言ってたんですからね!】


「はい、わかりました。彼女のことは忘れることとします。」


【・・・本当に忘れなさいよ?】


「・・・・・・・・・はい。」


【(間が長い!絶対忘れない気ね!)はあ、まあ、これからは独り言です。あの子は昼寝の邪魔と食事の邪魔がされなければ機嫌はいいはずです。当分時間を空けてから話しかけなさい。それと見かけたのがガゼルの森ならまだあなた達は力不足です。特に異界勇者が!!まあ、あなた達もですが。】


「独り言・・・はい!!わかりました!強くなってまたお話ししてきます!!失礼します!!」


【・・・・・・忘れるのではなかったの。はあ。私が怒られるのに。】




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