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プロローグ #2
ここはスラムの街の中でも端の方に位置する。
“H”が住むセントラルと大きな川を挟んで反対側。橋を渡るには“H”の偉いお役人さんの許可がいる。大きな川はまるで“H”と“F”立場の違い、もっと言えば差別の象徴のようなものにみえてくる。
スラムの夜は眠らない。
ろうそくの光と人々の声がセントラルとは違った喧騒を創り出している。
喧嘩や事件は日常茶飯事。男女の喧嘩なんて可愛いもので“F”同士の喧嘩なんてまるでびっくり人間ショーで、銃を使ったマフィアたちの抗争だってよくある話だ。
そう、スラムは世界から追いやられた“F”、住処と財産を失ったホームレス、表では生きていけないようなニンゲンが住む場所であり…
そしてこの物語の主人たちが住む場所でもある。
お気づきいただけただろうか?
この物語の主人公たちはニンゲン。ただし、普通のニンゲンではなく運悪くも突然変異して“F”となったニンゲンだ。
さてそろそろこの子達の波瀾万丈な日常の物語を見てみよう…