第四話:人を裏切り自分は人を信じなくなる
詩織も、単純だった。
所詮、こんなものなのだ。
みんなは簡単にだまされてくれる。
笑顔になって、本心を隠すだけなのに。
どうして、みんなは騙されるの?
わからない。
理解、不能。
「人を裏切り自分は人を信じなくなる」
人を裏切るようになってから、人を見る目が変わった。
前まで、純粋に人を信じていられたのに今はもう人を信じられない。
人と話せば、私を騙そうとしているようにしか受け取れなくて、
人といれば、私は安心することもできない。
美奈たちに対してもそれは同じ。
むしろあの4人はいじめのプロだったからいつ矛先が向くかわからない恐怖におびえていた。
舞は、相変わらず騙されている。
私はただ昔通りの自分を演じているだけなのに。
単純だな、と罵りたくなる。
でも、少しうらやましかった。
人を純粋に信じられることの幸せを私は失って初めて知ったから。
昔は、それが当然と信じていた。
けれども、今は当然と思えるようなことができない。
詩織は、派手にいじめられている。
美奈たちからも実は恨みを買っていたらしい。
夕樹曰く、「八方美人でいい子ぶってる子は嫌い」らしい。
私も確かにそういう子は嫌いだった。
でも今回ははじめの方はなかなか手出しできなかったから日奈子が大活躍した。
日奈子は私、夕樹、美奈を紹介した。
そして詩織は、私のことを忘れていた。
私は、その事実を知るとほんの少しの容赦する気持ちは消えた。
だから遠慮なく自分の得意分野の行動をした。
そして私は、裏切りの必要がなくなったとき、去り際に詩織へ花を贈った。
その花は黄色いカーネーション。
「あなたなら、この花の意味はわかるよね。」
詩織は、驚いたような顔をした。
「まさか、あんたは私がいじめた…。」
「そうよ。私は、昔あなたがいじめた子。」
そして、私は夕樹に聞かれた。
「あの花言葉は?」
「軽蔑。」
その言葉を聞いて、夕樹は笑みを浮かべた。
「咲喜、最高。」
そう言って夕樹とハイタッチを交わした。