第一話:子供は素直にして残酷なもの
舞って一緒にいると楽しいんだけど、少しうざいところもあるんだよね…。
だから少し一緒にいるのを避けてたんだ。
だって、疲れちゃうんだもの。
あのテンションについていくのも結構大変なんだから。
そんなとき、こんな話題になったの。
「舞のことが嫌い?好き?」
普通とか、少し好きとか、そういう細かいことはなしで、とにかく嫌いか好きかとかしか答えられなかった。
少し前なら、すぐ「好き」って言ってた。
でも、私はそういうのをためらった。
そのころは丁度少し前に喧嘩したのと、少しうざいと思ったのが重なって、私は「嫌い」と答えた。
「子供は素直にして残酷なもの」
「え?咲喜も嫌いなんだ?」
不思議そうに聞く友達。
「今、喧嘩してたし…実はちょっとうざいなぁって思っているのもあるんだよね…。」
「ふーん。」
そしてその会話は終わり、丁度教室に舞が戻ってきた。
「咲喜!」
嬉しそうに、楽しそうに私の方へ来る舞の姿が、懐かしいもののように感じた。
たぶん、さっきの会話で私の舞に対する友情が冷めてしまったのだろう。
「何?舞。」
そう言う私の声は、冷め切っていて。そして馴れ馴れしく舞を呼ぶ自分に、違和感を感じた。
そして私と舞を見るクラスメートの視線が、私に突き刺さるようで。
そんな視線を無視して、私は舞と話し続けた。
放課後、私は美奈たちに一緒に帰らないかと誘われた。
たまにはいいか、と思って舞には「ごめんね、一緒に帰れなくなっちゃった」と言った。
「なんで帰れないの?一緒に帰ろうよ!」
「私、美奈達と帰るから。」
「じゃあ、その中に私も入れてよ!」
「嫌。私、舞じゃなくて、美奈たちと帰りたいの。」
「私も居たって変わらないでしょ?」
「でも、いいじゃん。明日は一緒に帰ってあげるから。」
「…どうして、入れてくれないの?」
「私は美奈たちと帰りたいの。たまには私が舞以外の人と帰ったってかまわないでしょ。」
そしてうつむいた舞を放っておいて、私はその子たちと帰った。