結
飲会王になるべく最後の実践編へと駒を進めようとする男。
「たった4つのテクニックだけで…俺もリアル飲会王になれるんだ…」
今まさに最後のボタンが押されようとしている。
「このゲームに出会えてよかった…もう俺はコミュ障じゃないんだ…」
ついに押されたボタンの、カチッという小さな音。
が、見る見るうちに男の顔は青ざめる。
残念ながら我々の視点からはそのテレビ画面に何が映っているのやらさっぱり分からない。
薄暗い部屋で男の顔に照射されるテレビの微光がざわめき揺れる。
それがただ見えるだけ。
そしてかすかに震える男の唇。
何かを呟いているようだ。
「俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺は飲会王俺はNOMIKAIO」
**************************************
「俺はあらゆる会話パターンを学習し、コミュ力抜群、向かうところ敵無しの飲会王だ!妖精さんありがとう!」
「よかったね飲会王になれて!約束のご褒美は一生私と一緒に居られることだよ!そのコミュニケーション能力でずっと楽しくおしゃべりしましょうね☆」
**************************************
家族が手続きを行って、その男は現在、会社を休職中。
全国の病院近辺では、今でも昼夜を問わずに、以下のような囁きがどこからか聞こえてくることがあるという。
彼と同様の状態に陥った者たちの部屋からは、みな一様にNAMEKO社製の例のゲームが見つかっているだけ。
誰も知らない、それらの事実がいったい何を意味するのかを。
「俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO俺はNAMEKO」