飲会王になろう!
「おっ、なんだこれは…」
会社の帰りに行きつけのゲームショップで思わず手にとった飲み会シミュレーションゲーム。
大手ゲーム会社NAMEKOによって作られた新作だ。
「どれどれ…設定は…」
パッケージにはすんごい小さな写真と文字で、ゲームの設定を説明するいくつかのシーン。
疲れ目にドライアイでさっぱり読めない。
でも出てくる女の子キャラは結構かわいいみたい。
ちょっとクソゲー臭いけど真新しいから、
「まあ面白そうじゃん…」
NAMEKOのお手並み拝見といったところで、男はそれを持ってレジで会計を済ますと、電灯もまばらな暗い家路をぶらぶら歩いてゆく。
「今日も仕事忙しかった…ゲームやって早く寝るか…」
疲れたサラリーマンにしてゲーマー歴20年の独身男、その男がこの話の主人公、三十路ヶ原 である。
名字だけで下の名前は伏せよう。
これから飲み会ゲームに手を染めようとする彼だが、実はこの日会社の飲み会をサボっていた。
その理由は
(だって三次元の女の子と話すの苦手だし…時間外で会社の奴と会いたくねぇ…)
だけど飲み会の幹事にした言い訳は
「母の介護があるので…」
母とは同居していないし、介護を受ける歳でもないので、真っ赤な嘘だ。
でも便利な言い訳だから、この男はいつもこう言って飲み会を休んでいた。
*
この物語では、そんな怠惰な彼が飲み会ゲームで修行を積み、リアル飲会王を目指して、次々と現れる強敵を倒してゆく…!そんな話になるとかならないとか…