発端
初投稿作品で人物描写、建物描写等、説明不足な部分が目立つとは思いますが、よろしくお願いします。
拝啓。友人の様子がおかしい今日この頃です。
「なあおい」
「えっ? な、なに? なんか言った?」
夕日が眩しい中、普段通り友人と二人で肩を並べている。
が、ここ最近、隣を歩く友人が挙動不審過ぎて、嫌な予感を確信するまでに発展している。
向こうから何か言い出さないかと期待していたが…限界だ。
「なあフラン。お前最近何かあっただろ?」
「いいぃっ? な、ななにもなななないよ!」
「……」
すいません、俺はどうしたら何もないと安心できるのでしょうか。
慌てて首を振るフランを観察。その顔が真っ赤に染まっていくではないか…ははあ、なるほど。
嫌な予感か。笑わせる。思わずニヤリとしてしまう。
そんな俺の顔を見てだろう、友人は思い切り視線を虚空へ向ける。
「ど、どうしたの、ケープ?」
「いんや。一体ダレを探してるのかなあって」
「いひっ? なん、何のことっ?」
奇声を上げる友人。ほほう、まさか自覚がおありでない。これは……重傷ですな。
調子に乗って手ひさしを作り、ぐるりと町を見渡してみる。当然、フリだ。
だが、純情な友人ならば……
「ケープっ? だ、ダレもいないよ! いないんだから!」
「ほっほう。さて青年。お相手はどちらかな?」
「お相手っ?」
ぽんぽん、と華奢な肩を叩く。
やれやれ。全力で首を振っても顔を赤くしてたら、説得力が……
ん?
「なんだ?」
肩を叩いた拍子にか、友人から匂いが漂ってくる。かなり強い匂い……これは花の匂い、か?
俺がその匂について悩んでる間にもフランは顔を引きつらせたり、赤くしたりと表情を変えていた。
「分かった!」
「へっ? な、何が分かったの?」
なるほど。もう、両手を握り合いっこするぐらい、いや、腕を絡ませあうほど密接な関係ということか。
純情な青年にしては、中々いい調子じゃねえか。思えば、今嗅いだ匂いも香水だろう。
ははん、面白くなってきたじゃないか。ぐいぐい、とわき腹に肘を食らわせる。
「ケープ……何が分かったの?」
「なあ、相手誰なんだよ」
「だ、だから! 相手って何? 僕は知らないよ」
「親友の俺に言わないのか? 俺の遍歴は全部聞いてるのに?」
「何の話だよ! ケープの場合は自分から喋るし、迷子の女の子とかもカウントしてるでしょ!」
そうかもしれない。だが、心外だと肩をすくめてみせる。
「そりゃないぜ。青年、俺が悩みに乗ってやる。
お相手様の元カレを探ったり、弱み、知られざる家族構成を探すなら任せな!」
「そ、それは駄目っ! 絶対駄目っ!」
「おっ」
意外だった。この純情モヤシっ子の友人が、声を荒げるほど入れ込んでいるとは。
本気なのか。
目まで潤ませる友人の肩を、悪かったと叩いてやる。
「分かってるって。俺もそこまではしねえよ」
「本当、だよね?」
「マジマジ。お前がソコまで惚れてるなら、黙って見届けてやんよ」
「ほっ? 違う! 僕は惚れてない! 好きでもないから!」
ムキになるなよ。
それに…もうそこまで言ったらさ。
「付き合ってるってのは認めたな」
「ち、ちがっ」
「若いねえ」
「違うんだからっ!」
ははは、フレン君の大親友である俺には分かっておりますとも!
その後は、俺がからかい、友人がその度に言葉を詰まらせる様子を見守る、平和的な一日となったのだった。
……てなことにはならなかった。
序章扱いなので、盛り上がりもくそもありません。
話自体は最後まで書いてありますので、途中で失踪することは……。