500年間未討伐の「喰帝」?──剣が壊れるので素手で行きます。
俺たちは山道を歩いていた。
────最強の剣を作るために。
「なんでこんな山に来たのぉ〜……」
クリアが息を切らしている。
魔法はトップクラスだが、どうやら体力はからっきしらしい。
「この山、最強の剣と何か関係があるんですか?」
ルナが不思議そうに聞いてくる。
「関係はない。ただ────」
俺は足を止めた。
「鍛冶場として、ちょうどいいだけだ」
山の中腹、周囲が大きく開けた場所に出る。
「ここだな」
俺は軽く手を振った。
“鍛冶場展開”
次の瞬間、地面が震え、炉、金床、巨大なハンマー、魔力制御装置まで────
鍛刀に必要な設備が一式、出現した。
「……え、展開系まであるんですか?」
「まさか鍛冶師のスキルも?」
「まぁな」
俺は小さく笑う。
“完璧な生成”
空中に、ミスリルとアダマンタイトが生成された。
「それ……国家級素材ですよ……」
「よし、やるか」
俺は黙々と金属を打ち始める。
俺には、前世────最強の鍛冶師だった頃の記憶と、スキル“作業短縮”がある。
数分後。
「できたな」
ミスリルとアダマンタイトの剣。
見た目は完璧だ。
とりあえずひと振り。
ダァァァァァァァンッ!
凄まじい轟音と共に空にある雲が全て消し飛んだ。
「……壊れた」
「壊れましたね……じゃなくて!威力どうなってるんですか!?」
「ま……まぁそれはご愛嬌ってことで」
「無理があるでしょ」
「じゃあ、これを足してみるか」
生成したオリハルコンを合成する。
────ひと振り。
再び衝撃波が走る。
今度は一瞬耐えたが、刃が砕け散った。
「……まだ弱いか。俺基準だけど」
「もはや災害ですね……」
次は死神の結晶を合成してみる。
────ひと振り。
剣は壊れない。
だが、刃全体がボロボロに崩れていく。
「ダメか……」
俺は剣を見下ろした。
「素材が弱いわけじゃない」
ポツリと呟く。
「────俺が、強すぎるんだ」
その日は結局、壊れない剣を作ることはできなかった。
翌日。
ダンジョンで得たアイテムを色々合成してみた。
結果は────
合成しすぎて、モンスターの手足が生えた気色悪い剣が完成しただけだった。
「なんでこうなった……」
「うわぁ……」
「なにこれキショッ」
「と……とりあえず気分転換に、ギルド行ってみません?」
「あぁ……そうするか」
ルナの提案で、俺たちはギルドへ向かった。
ギルドに入ると、すぐに声がかかる。
「おぉ、待ってたぞ無宗!」
現れたのはギルドマスターだった。
「早速だが、Sランクパーティー《イレギュラー》に依頼だ」
「どんな依頼だ?」
ギルマスは一瞬、表情を引き締める。
「────過去500年間、
どのSランクパーティーもクリアできなかったクエストだ」
「500年……?」
「そうだ」
ギルマスは低く告げる。
「Sランクの定義は、パーティー内にSランク冒険者が一人以上いることだ。
だが────」
ギルマスは俺たちを見た。
「世界に五つあるSランクパーティーのほとんどは、Sランク冒険者が“一人だけ”だ」
「なるほど」
「だが《イレギュラー》は違う。
Sランク冒険者が“複数”いる唯一のパーティーだ」
ギルマスは断言する。
「つまり────
世界で一番、戦力が狂ってるのがお前たちだ」
なるほど。だから俺たちに依頼したわけか。
「で、依頼内容は?」
ギルマスはゆっくりと口を開いた。
「万物を喰らい尽くす、帰らずの森の支配者……」
「────『喰帝』の討伐だ」
……ほう。
俺は、自然と笑っていた。
「面白い」
剣はないが────
俺の遊び相手ぐらいにはなりそうだな。
「ちょうどいい」
俺は拳を握る。
帰らずの森は、全てを喰らい尽くされ、枯れきっていた。
喰帝は、満たされることのない飢えを抱え、森を彷徨っていた。
そして────
その“飢え”は、俺たちに向けられることになる。
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