エプロン姿の後ろから
ヒトミは自分のショルダーバッグから何かを取り出した。それは、ダークグレーのエプロンだった。
「どうしたんですか?それ。」
ヨシヒロは驚いた。
「ん?さっきショッピングモールに寄ったどしょ?その時に買ってきたの。似合う?」
「似合います。すごく。」
「本当~?(笑)」
ヒトミは嬉しそうだった。
「キッチン、借りるね。」
ヒトミはヨシヒロの返事も聞かずに、手際よくビニール袋からサツマイモを取り出してキッチンへと持っていった。蛇口のところで栓をひねろうとしたが、いったんその手を止めて、
「料理するんやね。意外。」
と言って振り向いた。キッチンの油汚れが気になったようだ。
「週末だけですけどね。」
ヨシヒロは答えた。
「包丁とかまな板とか、出していい?」
ヒトミは聞いた。自分でやる気まんまんだったが、一応確認といったところだ。
「あ、はい。てか、僕もやりますよ。」
ヨシヒロは慌てた。
「じゃあ、一緒にやろっか。」
ヨシヒロも自分のビニール袋からサツマイモを取り出した。キッチンの前に立つエプロン姿のヒトミを見て、後ろからそっと抱きつきたかった。だが、やめた。まだ、「お試し」なのだ。
その後、ヒトミは鼻歌を歌いながら調理して大学いもをつくり上げた。ヨシヒロも手伝ったが、ほとんどがヒトミの手によるものとなった。
2人でテーブルに座って、大学いもを頬張った。初めての共同作業は甘い味となった。




