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白粉の記憶  作者: キャロット艦長
第五章

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フォルクスワーゲンのゴルフ

ヨシヒロはヒトミに告白する前から、ほしい車があった。フォルクスワーゲンのゴルフだ。なんとなく、輸入車に乗ってみたかった。若手の社会人が購入するにはちょうどいいとも思った。


ヒトミにはそのことも話していた。どちらかと言うと、ヒトミの方が車に関心があって、「おお~、いいやん。」と言ってくれた。「ゴルフ買ったら、どこに連れてってくれるのかなあ。」と楽しみにしてくれた。


ディーラーで契約して、頭金も振込んだ。100万円もの金額を動かしたのは、生まれて初めてだ。駐車場の契約も実印の登録も行った。1か月先の納車が待ち遠しい。


水族館に行ってからは、2~3回ご飯に行った。やがて、2人でドライブに行きたくなった。ヒトミの車で行こうとも話したが、レンタカーを借りることにした。「運転することで、彼氏としてリードしたい。」ヨシヒロは思った。


ヨシヒロとヒトミの最初のドライブデートは淡路島に決まった。レンタカーは対岸の明石で借りることにした。


「ヨシヒロくん、運転できるの?」


「できますよ。就職決まってから実際に働くまで、実家の車で練習してました。」


「そうなんや。じゃあ、最初から運転する?」


「いえ、最初はお願いします(笑)」


「えーっ!なんでよ~(笑)」


実際、ヒトミは普段から車で通勤しているうえに、「推し」のライブのために神戸市内まで車で行くこともあった(10年くらい前も「推し」という言葉はあったが、現在ほど流行ってなかった)。ヨシヒロは少し様子をうかがいたくなった。


「じゃあ、行くね!」


「お願いします!」


「何が、「お願いします!」よ(笑)」


結局、ヒトミがハンドルを握った。大橋を渡ると淡路島の入口にあるサービスエリアに入った。


「いやあ、運転ありがとうございます!写真めっちゃ撮れましたわ(笑)i-phone、いいっすね~。」


ヨシヒロはなんとかごまかそうとした。


「全く、結局ワタシが全部運転したじゃない。。」


ヒトミは仕方ないなあという苦笑いを浮かべた。


淡路島のサービスエリアで休憩した後、今度はヨシヒロが運転することになった。車は高速を降りてから道なりに走って、海のそばの公園に着いた。


「めっちゃ、緊張してたね(笑)」


助手席からヒトミが覗き込んだ。


「そりゃ、そうですよ。大切な彼女ですから。」


「え、何?もう1回言って(笑)」


「えーっ(笑)」


ヨシヒロが目をそらすと、ヒトミはヨシヒロの腕をつねった。


「いたっ!」


「ヘヘ~(笑)」


夏の日差しが照りつける中、ヨシヒロはヒトミとともに海辺の公園を歩いた。ヒトミは黒い日傘を差していた。


「やっぱり海はいいなあ。」


「いいですね~。せっかくなら、2人で入りたかったなあ(笑)」


ヨシヒロが茶化して言ったら、ヒトミは


「また、来年ね。」 


と微笑んだ。ヨシヒロは「え?来年?」と思った。「来年も付き合っているかな。その頃はもうお試しじゃなくて、本当の彼氏・彼女になってれば。」と思った。だが、それを聞くのは野暮な気がした。


ヒトミは意味深な微笑みを浮かべたまま、日傘を差して、ひとり歩いていった。ヨシヒロはその場に取り残されていたが、ヒトミが振り向いて


「アイス、食べよっか。」


と言ったので、小走りをしてヒトミに追いついた。

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