まずは、お試しで
「まずは、お試しってことでいい?」
ヒトミ先生は、明るく笑って言った。
そう来たか、と思った。予想外の答えだった。ただ、これを断ることはできなさそうだ。「お試し」か「お断り」、この2択を逆に突きつけられた。しかし、ここは明るくいく必要がある。
「ありがとうございます!お試し、お願いします!」
これを聞いて、ヒトミ先生は笑った。
「わかってる~?OKじゃないよぉ(笑)」
それでもヨシヒロは嬉しかった。完璧な形ではないが、念願が叶った。
「よろしくお願いします!」
ヨシヒロは大きな声で言った。
「ちょっと!声、大きい(笑)こちらこそ、よろしくお願いします。」
ヒトミ先生も答えた。そして、
「もう、先生ってつけなくていいよ。」
と言ってくれた。
「でも、正式な彼女じゃないからな~。とりあえず、ヒトミさんって呼んでもらおっか。」
とリクエストされた。
「わかりました、ヒトミさん。慣れないっすね~(笑)」
「大丈夫よ、そのうち慣れるから(笑)ヨシヒロくんは、そのままでいいね。」
またも一方的に決まった。ヨシヒロと名前で呼んでほしいけど、今はとりあえず、これでいくしかない。お互いに呼び方が決まったところで、お会計を済ませてレストランを後にした。
お店を出てから並んで駅まで歩いた。途中、ヨシヒロがすっと左手を出すと、ヒトミさんの柔らかい右手が、その手を包んだ。




