久しぶりの声
「あっ、夜分にすみません。ヒトミ先生でしょうか?昔、◯◯小学校で、お世話になった、ヨシヒロです・・・。覚えておられますでしょうか?」
ヨシヒロは話し始めた。自分でも、何を言っているのかよくわからなかった。しかし、電話口の向こうから柔らかい声で返事が返ってきた。
「はい、覚えていますよ。」
嬉しさが込み上げてきた。
「あ、ありがとうございます。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。」
「お元気ですか?」
「はい、元気ですよ。ヨシヒロくんは?」
「あ、僕も元気にやってます。」
「そう。よかったです。」
以前とは違い、やけに丁寧なやり取りだった。まあ、無理もない。小学校を卒業してから10年近くが経っていた。何度か言葉を交わしたことはあるが、本格的に喋る機会はなかった。
その後はお互いに近況を語り合った。ヨシヒロは公認会計士を目指して勉強中と言った。先生は公認会計士については知らなかったが、「がんばってね。」と言ってくれた。
先生は近くに住んでいるお母さんの具合がよくないと言っていた。色々世話をすることが増えて大変そうだった。
先生は以前に比べて元気がなかった。落ち着いているとも思った。だが、優しさというか、包み込むような感覚は変わらなかった。
「今日はお話できてよかったです。またね。」
そう言って先生は電話を切った。ヨシヒロは話ができてよかったと思った。でも、先生との繋がりは今後も続くのだろうか?




