表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白粉の記憶  作者: キャロット艦長
第一章
2/41

嫌われ者の先生

「あのセンコー、今日も化粧濃いよな。」


「ホンマそれ~、マジでキモいねんけど。」


「ワタシなんか、さっき手ぇ触れられたで。」


「うわぁ、サイアク~。」


ヨシヒロのクラスでは、毎日このような会話で盛り上がっていた。盛り上がっていた、というのは適切ではないかもしれないが、男子も女子も同じ話題について、日々かしましく話していた。


ここは兵庫県内の小学校。6年生のクラスを受け持つのは若手のヒトミ先生だった。小柄で丸顔、ポニーテールが可愛らしい女性教師だった。太っているわけではなかったが、ほんの少しふくよかな雰囲気があった。小学校6年生ともなると、男子では先生より背の高い子も1人、2人はいた。厚化粧かどうかはともかく、色白であった。


通常、若い先生は教え子との年齢が近く、人気者になりやすかった。だが、大人の醜い部分だけを吸収したかのような小さな悪魔たちに、そのようなことは関係なかった。この後、小さな悪魔たちの毒牙は少しずつ先生を蝕んでいくのである。


「なあなあ、あのババァに手紙書かへん?悪口いーっぱい書いた手紙。」


「ええなあ、面白そうやん。」


「書こ、書こ!めっちゃ悪口書いたろう!」


「そうやな!まずは何書く?やっぱり化粧濃いってのは外せんよな!」


新年度が始まって2ヶ月くらい経った頃、ヒトミ先生のクラスで、このような会話が聞こえてくるようになった。はじめは、ヒソヒソ話だったが、子どもたちは段々と隠す気もなくなってきたようだった。今思うと20代そこそこのヒトミ先生にババァとは、それだけでも失礼な話だ。


手紙を書く話をしていたのは、40人くらいのクラスの中のおそらく数人。一部だけの悪だくみだったが、この件はいわば公然の秘密となっていた。もちろん、ヒトミ先生だけは知らない。


いつ・どのようにして手紙を渡したのか、そして本当に先生が手に取ったのか、詳細はわからない。放課後、机の上に置くとか言っていたような気もするが、詳しくは知らない。だが、ある日を境にこんなヒソヒソ話が広まっていった。


「あのババァ、泣いとった。」


「化粧の上を涙が垂れとったなあ。」


「厚化粧、グチャグチャになったかな。」


「そこまではわからんかったな。」


「これで先生辞めへんかな?」


「ホンマや。てか、もう辞めたらええのに。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ