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白粉の記憶  作者: キャロット艦長
第三章

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卒業生への年賀状

それから何回かヒトミ先生と出会うことがあった。朝の登校時間、特に何時何分と決まっていたわけではないが、たまたまタイミングが重なればヒトミ先生と出会うことがあった。ただ、仮に同じタイミングで例の交差点にいても、ヒトミ先生の白い車が先頭にいない時もあったと思われた。先生と顔を合わせるのは、偶然に偶然が重なった時だろう。


バレーボール部では週に2回、朝練があった。他の部活との兼ね合いで曜日は決まっていなかったが、おそらく朝練の日もヒトミ先生と出会うことは出来ないと思われた。もっとも、この頃は小学生の時のように先生に強い想いを抱いていたわけではない。中学生としての多忙な毎日で、徐々に先生への気持ちも薄れていった。


中学生活は、小学校とは比べものにならないほど時間が早く過ぎ去っていった。一学期が終わり、夏休みもあっという間で、二学期も終わろうとしていた。冬休みに入り、今年も年賀状の季節が来た。ヨシヒロはヒトミ先生からの年賀状に一瞬期待した。


「いや、まさか卒業生には年賀状は出さへんやろ。」


ヨシヒロは思った。来てほしいけど、来るわけないと思った。


やがて年が明け、郵便受けに大量の年賀状が入っていた。ヨシヒロは今年も仕分けをしていた。その中に見覚えのある、しっかりした字を見つけた。ヒトミ先生の字だった。


ヒトミ先生からの年賀状。ヨシヒロは本当に来るとは思っていなかった。結局、去年の正月と同じように、先生からの年賀状を胸に抱え、自分の部屋に置いてから家族のもとへ年賀状を届けた。あらためて、先生からの年賀状を読んで、じっくりと返事を書いた。


冬休みがあけて、他の元クラスメイトはどうだったのか気になった。その中の一人に「ヒトミ先生から年賀状が来た。」と言った。


「えーっ、キモい!」


即座にこんな反応が返ってきた。その後で「オレのウチには来てへんなあ。」と言われた。彼は、よかった~という表情だった。この日以降、この話をすることはなかった。また、たしかに年賀状は嬉しかったが、やっぱりヒトミ先生のことを思い出す機会も減っていった。

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