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白粉の記憶  作者: キャロット艦長
第二章

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校長先生のお話

集団カンニング事件は学校全体の問題となり、ある日突然校長先生の授業というのが行われた。校長先生が1コマの授業中、ずっとお話されていた。ヒトミ先生も途中まで立っていたが、空き机に座って聞いていた。


「素直で、真っ直ぐ、粘り強く。この言葉を大切にしながら、私は今日まで生きてきました。ヒトミ先生にも、皆さんにも、この言葉が届けばいいなと思っています。」


校長先生は誰かを責めるという感じはなかった。ヒトミ先生にも優しい言葉をかけていた。おそらく、職員室でもヒトミ先生のフォローをしていたのだと思う。


この事件以後、大きな事件は起きなかった。エリやマユコは相変わらず陰口を叩いていたし、ヤスヒロやユウキも不貞腐れた態度は変わらなかった。だが、誰かを傷つけるような事件、言葉によるものも暴力によるものも起きなかった。


クラスの雰囲気も少しずつよくなっていった。


「ヨシヒロ!先生手伝おうぜ!」


「オッケー!」


「タツヤもアキノリもいいか?」


「おう!今行くぜ、シンジ!」


「まあ!みんな、ありがとう~!!」


こうやって、先生の手伝いをする児童が増えた。だが、他の同級生が親切心からヒトミ先生の手伝いをしていたのに対し、ヨシヒロは少し違った。先生への特別な感情、それが異性に向けての特別な感情ということにヨシヒロはまだ気付いていなかった。


多くの同級生と同じように「性欲」という言葉をヨシヒロは知っていた。小学校6年生の男子ともなると、友達どうしでHな本をお宝のようにして盛り上がることもあった。いや、もっと早くからそういうことで盛り上がっていた。


実際、ヨシヒロも好きな子はいた。幼稚園の時は近所のアユミちゃんが好きだった。小学校4年生の時は、同じクラスのマキちゃんが好きだった。


だが、ヒトミ先生への感情は今まで経験した「好き」という気持ちとは違っていた。顔が好きという気持ちもあったが、それ以上に先生の身体に対して大きく意識をした。


ヒトミ先生に抱きつきたい。


何カ月前からそういう気持ちはあった。自分がヘンなのだと思っていた。もう、ワケがわからなかった。


保健体育で「性」についての授業はたしかにあった。たいがいの男子と同じようにヨシヒロも先生や同級生を茶化していた。ただ、保健体育の教科書に書いてある内容と、自分の今の感情は全くもって結びつかなかった。いや、薄々気付いていたけど、結びつけようとしなかった。これが正確な言い方だった。

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