87. 5000人のパン 場所:おそらくカペルナウム、ガリラヤ湖の北東(人里離れた所)
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(さて、旅から帰って来た十二人の)使者たちはイェシュアの所に集まって来て、自分たちがしたこと、教えたことを残らず報告した。すると、イェシュアは彼らに言われた、「さあ、あなたたちだけどこか静かな所へ行って、しばらく休んだがよかろう。」人の出入りが多く、食事する暇もなかったからである。そこで、イェシュアは彼らを連れて、舟でガリラヤ湖の向こう岸にあるベツサイダという町の近くの人里離れた所へ行って引っ込まれた。しかし、多くの人は彼らが出かけるのを見て、それと感付き、方々の町から陸を走ってそこへ集まり、彼らよりも先に着いた。病人に行なわれた数々の徴[奇跡]を見たからである。イェシュアは(舟から)上がられると、山に登り、弟子たちとそこにお座りになった。時に、ユダヤ人の祭りである過越の祭り[ユダヤ人の三大祝祭の一つで、春の時期に八日間行われ、天主によって古代エジプトでの奴隷生活から解放されたことを記念する祭り]が間近であった。
さて、イェシュアは目を上げて、集まって来る多くの群衆が羊飼いのいない羊のようにしているのを見ると、内臓が痛むほどの強い思いに駆られた。そして、彼らを迎えて天主による統治のことや多くのことを語り、また癒しを要する人々を治された。そのうち、もう時間も遅くなったので、弟子たちはイェシュアのそばに来て言った、「ここは人里離れた所、それにもう時間も遅いので、人々を解散させ、周りの部落や村に行って宿を取らせ、自分で何か食べるものを買わせてください。」すると、イェシュアはピリポに言われた、「どこからパンを買ってきて、この人たちに食べさせようか?」こう言われるのはピリポを試すためで、自分ではどうするか、わかっておられた。ピリポが答えた、「二百デナリ[古代ローマの主要銀貨、一デナリ=労働者の一日分の労賃]のパンでも、みんなに少しずつも行き渡らないでしょう。」イェシュアは答えて言われた、「買いに行くには及ばない。あなたたちが自分で食べさせてやったらよかろう。」彼らが言った、「わたしたちが行って二百デナリのパンを買ってきて、食べさせるというのでしょうか!」そして彼らに言われた、「手元にいくつパンがあるか、見て来るがよい。」弟子たちは確かめて来た後、シモン・ペテロの兄弟のアンデレがイェシュアに言った、「ここに大麦パン五つと魚二匹持っている青年がいますが、こんな大勢の人に何の役に立ちましょう?わたしたちが行って、このみんなの食べる物を買って来ないことには。」イェシュアは言われた、「それをここに持って来て、皆を五十人ぐらいずつ組にして座らせよ。」その場所には草がたくさんあった。弟子たちはそのとおりにして、皆を一組一組、あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、一列一列になって青い草の上に座らせた。
するとイェシュアは(いつも家長がするように、)その五つのパンと二匹の魚を(手に)取り、天を仰いで(天主に)感謝して讃美した後、パンを裂いて、座っている人々に分け、群衆に配るように弟子たちに渡された。魚も同じようにして、欲しいだけ分けておやりになった。人々が腹いっぱい食べると、弟子たちに言われた、「余ったパンの屑を集めよ、少しも無駄にならないように。」そこで集めてみると、人々が食べ残した五つの大麦パンの屑で、十二の籠がいっぱいになった。また魚の残りも拾った。食べた者は、女、子供を除いて、男五千人ばかりであった。人々はイェシュアが行われた徴[奇跡]を見て、「確かにこの人こそ、世に来るはずあの預言者だ!」と言った。




