80. ヤイロの娘、長血の女 場所:カペルナウム
•凡例•
( )囲み ── 訳者または編集者によるより理解しやすくするための補助、本文と一緒に読んでかまわない
[ ]囲み ── 訳者または編集者による語句の定義をより明確にする説明
『 』囲み ── 旧約聖書または会話の中の引用
イェシュアが舟でまた向こう岸(のカペルナウム)に帰って来られると、大勢の群衆が彼のところに集まって喜んで迎えた。皆イェシュアを待っていたのである。彼が湖のほとりにおられると、ヤイロという一人の会堂監督がやって来た。イェシュアを見ると足もとにひれ伏し、家に来ていただきたいとしきりに願って言った、「わたしの十二歳の一人娘が死にかかっています。娘が助かって、生きられるように、どうか行って、手をのせてやってください!」そこで、イェシュアは立ち上がって弟子たちと一緒に彼について行かれた。しかし、(ヤイロの家に)行かれる途中、群衆はイェシュアを押しつぶしそうになった。
すると十二年も長血[出血病]を患い、大勢の医者からひどい目に遭わされて、財産をみな使い果たしてしまったが、何の甲斐もなく、かえってますます悪くなった女がイェシュアに近寄って来た。彼女はイェシュアのことを聞いたので、「あの方の着物に触るだけでも、治るに違いない」とひそかに思い、群衆に交じってついて来て、後ろから彼の上着の裾に触った。すると、たちどころに彼女の血の源がかれて、病気が治ったのを身に感じた。そしてすぐ、イェシュアは自分の中から力が出て行ったのに気が付いて、群衆の中で振り返って尋ねられた、「わたしに触ったのは誰か?」皆が知らないと答えると、ペテロと弟子たちが言った、「師匠、御覧のとおり群衆が(こんなに)あなたを取り巻いて、押しまくっているのに、触ったのは誰か、とおっしゃるのですか?」イェシュアが言われた、「(確かに)誰かがわたしに触った。わたしの中から力が出て行ったのを感じたのだ。」イェシュアはこのことをした者を見つけようとして、見回しておられた。彼女は隠しきれないのを見て、自分(の身)に起こったことも知っていたので、恐ろしくなって震えながら、進み出てイェシュアの前にひれ伏した。そこで、触った訳と、たちどころに治ったこととを皆の前でありのままに話した。イェシュアは言われた、「娘よ、あなたの信頼があなたを治したのだ。安心して往け。もう病気をせず、達者であれ。」
イェシュアがまだ話しておられるところに、会堂監督の家から一人の人が来て(監督に)言った、「お嬢さんはもう亡くなりました。これ以上、師にご迷惑をかけられることはないでしょう。」イェシュアはそう言っているのをそばで聞いて、「恐れるな!ただ信頼しておれ。そうすれば助かる」と監督に言葉をかけられた。さて、家に着かれると、イェシュアはペテロとヤコブとヤコブの兄弟ヨハネとのほかには、誰も一緒に中に入ることを許されなかった。笛吹き男と(集まった)人々がひどく泣き喚いて騒いでいるのを見ると、イェシュアが言われた、「何を泣いたり騒いだりするのか?泣くな!少女は死んではいない、眠っているのだ。」人々は少女が死んだことを知っていたので、あざ笑っていた。しかし、イェシュアは皆を外に出し、子供の父と母と、一緒に来た者(三人だけ)を連れて、(死んだ)子供のいる所に入ってゆかれた。そして、イェシュアは子供の手を取り、声を上げて言われた、「タリタ・クム!]訳すると「少女よ、あなたに言う、起きよ!」である。すると、その少女の霊が戻り、即座に彼女は立ち上がって、歩き回った。見るなり、両親は気が遠くなるほど驚いた。するとイェシュアは、誰にもこのことを知られるなと厳しく両親に言い付け、また、子供に(何か)食べさせるようにと言われた。その後、この評判がその土地全体に広まった。




