79. 悪鬼につかれたガダラの男 場所:ガリラヤ湖、ガダラ地方
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『 』囲み ── 旧約聖書または会話の中の引用
やがて一行はガリラヤ(湖)の向い側にガダラ人の地に着いた。イェシュアが舟から陸に上がられると、すぐ、その町の者で、悪鬼につかれた一人の男が墓場から出てきて、彼を迎えた。この男は長い間、着物を着ず、また家に住まずに墓場に住んでいた。彼は非常に狂暴で、誰もその道を通ることができなかった。穢れた霊は何度も何度もその人をつかんで、もはや誰も鎖ですらつないでおくことができなかった。幾たびか足枷と鎖でつないで監視したが、鎖を引きちぎり、足枷を打ち壊して、悪鬼に追われて荒野に行った。誰の手にも負えなかったのである。どなったり、体を石で殴ったりしながら、夜も昼も、いつも墓場や山にいた。
遠くの方でイェシュアを見ると、叫びながら駆けて来てひざまずき、大声で言った、「放っておいてくれ、いと高き天主の子イェシュアよ!まだ時でもないのに、俺を苦しめるためにここに来たのか?お願いだから、俺を苦しめないでくれ!」これはイェシュアが「穢れた霊、その人から出てゆけ!」と言われたからである。そしてイェシュアが彼に、「お前の名は何というか?」と尋ねられると、「俺の名はレギオン[軍団]、大勢だから」と答えた。悪鬼が大勢、(一軍団も)彼の中に入り込んでいたからである。そして彼らはイェシュアに、自分たちをこの土地から追い出さないようにとしきりに願った。
ところで、そこの山の中腹で多くの豚の群れが草を食っていた。悪鬼どもは、「俺たちを追い出すなら、あの豚の中に遣ってくれ」と願った。イェシュアが「行け!」と言われると、悪鬼どもは(その人から)出て行って豚に乗り移った。すると二千匹ばかりの群れは(気が違ったように)けわしい坂をどっと湖へなだれ込み、溺れて死んだ。豚飼たちはこの出来事を見て逃げ出して、町や部落に知らせたので、何事が起こったのかと人々が見に来た。彼らはイェシュアの所に来て、前に一軍団の悪鬼につかれていた者が着物を着、正気に返って、イェシュアの足もとにじっと座っているのを見ると、恐ろしくなった。また(現場を)見ていた人たちは、豚のことや悪鬼につかれていた者がどんな風に解放されたかを、その人々に話して聞かせた。
すると、ガダラ地方の住民は皆すっかりおびえ切って、イェシュアに自分たち(の所)から出て行ってもらいたいと頼んだ。そこでイェシュアが舟に乗られると、悪鬼を追い出された男が、お供をしたいと乞い願った。しかし、イェシュアがそれを許さずにこう言ってお帰しになった、「家に帰ってうちの者に、天主があなたを憐れんで、どれほど大きなことをしてくださったかを、(みんなに)知らせてやれ。」すると彼は出て行って、イェシュアがどれほど大きなことを自分にされたかを、町中やデカポリス地方に言いふらし始めた。人々は皆驚いた。




