6. イェシュアの誕生 場所:ガリラヤのナザレ、ユダヤのベツレヘム
•凡例•
( )囲み ──訳者または編集者によるより理解しやすくするための補助、本文と一緒に読んでかまわない
[ ]囲み ──訳者または編集者による語句の定義をより明確にする説明
『 』囲み ──旧約聖書または会話の中の引用
さて、イェシュア・ハ・メシヤ[救世主であるイェシュア]の誕生はこのようであった。──イェシュアの母ミリアムがヨセフと婚約の間柄で、まだ一緒にならないうちに、天の尊い霊[聖霊]によって身重となっていることが知れた。夫ヨセフは善良な人であったので、(これを公沙汰にして)彼女を晒し者にすることを好まず、内緒で別れようと決心した。しかし、(なおも)そのことを思案していると、主[天主]の使いが夢でヨセフに現われて言った、「ダビデの末なるヨセフよ、心配せずにあなたの妻ミリアムを(家に)迎えよ。胎内に宿っている者は、天の尊い霊[聖霊]によるのである。男の子が生まれる。その名をイェシュア(訳すると、ヤハウェ[天主]は救い)とつけよ。なぜなら、この方こそがその民を罪[的外れ]から解放して救うのだから。」
これはみな、主[天主]が預言者 (イザヤ) をもって言われた言葉が成就するために起こったのである。──
『見よ、乙女が身重になって男の子を産む。
人はその(子の)名をインマヌエルと呼ぶで
あろう。』
インマヌエルを訳すると『天主は我らと共なり』である。そこで、ヨセフは眠りから覚めると、主[天主]の使いに命じられたとおりにして、彼の妻を(家に)迎えた。しかし、子が生まれるまでは、一緒にならなかった。
その頃、全 (ローマ) 帝国の人口調査の勅令が皇帝アウグストから出た。これは(ローマ政府)第一回の人口調査で、クレニオがシリアの総督であった時に行われたものである。すべての人が登録をするために、それぞれ自分の(生まれた)町に帰った。ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上った。彼はダビデ家の出、またその血統であったからである。すでに身重であった妻ミリアムと共に、登録をするためであった。すると、彼らがそこにいる間に、ミリアムは月満ちて、男の初子を産み、産着にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には場所がなかったからである。