28. サマリアの女 場所:サマリアのスカル付近のヤコブの井戸
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しかし、(ガリラヤへ行くのに)サマリアを通らねばならなかった。そして、(昔、先祖)ヤコブがその子ヨセフに与えた地所の近くで、サマリアのスカルという町のそばまで来られた。そこには(有名な)ヤコブの井戸があった。旅に疲れたイェシュアは、昼の十二時ごろ、いきなり井戸の脇に腰をおろされた。昼の十二時ごろであった。
そこへ一人のサマリアの女が水を汲みに来たので、「飲ませてくれないか?」とイェシュアが彼女に言われた。弟子たちは食べ物を買いに、町に行っていたのである。すると、サマリアの女がイェシュアに言った、「ユダヤ人のあなたが、どうしてサマリアの女のわたしに、飲み物をお求めになるのですか?ユダヤ人はサマリア人と関わらないのではないでしょうか?」[サマリア人の起源は紀元前8世紀に遡り、北イスラエル王国がアッシリア帝国に征服された後、多くのイスラエル人が捕囚として連れ去られ、代わりにアッシリアから異邦人が移住させられた。この異邦人と残されたイスラエル人との混血がサマリア人と呼ばれた。モーセの律法を受け入れた民族集団であったが、独自の伝統や習慣を持った。ユダヤ人はサマリア人を「混血」または「異邦人の影響を受けた者」と見なし、彼らを軽蔑し、互いに強い対立や差別があった。]
イェシュアは答えられた、「あなたが、もし、天主の賜物が何であるか、『飲ませてくれ』と(今)言っている者が誰であるかをわかっていたら、あなたの方からその人に頼み、その人があなたに生きている水を与えたであろうに。」女が言った、「ご主人よ、あなたは釣瓶も持たれず、(この辺は)井戸も深いのに、どこからその生きている水を汲んで来られるのですか?あなたはわたしたちの先祖ヤコブよりも偉いのでしょうか?(まさかそうではありますまい!)彼のおかげで、わたしたちのこの井戸はあるのです。彼も、その子たちも、家畜も、この井戸から飲みました。」イェシュアは答えられた、「この(井戸の)水を飲む者は誰でもまた渇くが、わたしが与える水を飲む者は永遠に渇かない。そればかりでなく、わたしが与える水は、その人の中で(絶えず)湧き出る水の泉となって、輝き続ける命に至らせるであろう。」
女が言った、「ご主人よ、その水をください!(二度と)渇くことがないように、またここに汲みに来なくてもいいように。」イェシュアは彼女に言われた、「行って、あなたの夫をここに呼んでいらっしゃい。」女が答えた、「わたしには夫はありません。」イェシュアが言われた、「『夫がない』と言うのは、もっともだ。五人の夫とは別れ、今あるのは、あなたの夫ではないのだから。あなたの言ったことは本当だ。」
女が(びっくりして)言った、「ご主人よ!お見受けしたところ、あなたは預言者です!(それでお尋ねしたいのですが、)わたしたちの先祖はこの(ゲリジム)山で(天主を)祀ったのに、あなたたち(ユダヤの人)は、祀るべき場所はエルサレムだと言われます。(どういう訳でしょうか?)」イェシュアが言われた、「女よ、わたし(の言うこと)を信ぜよ。(間もなく)あなたたちが、この山でもエルサレムでもなく(どこででも、)父上を(直接に心を向けて)祀る時が来る。ただ(同じ天主を、)あなたたちは知らずに祀り、わたしたちは(彼[天主]を)知って祀っている。救い[解放]はユダヤ人の中から出るからである。しかし、(ユダヤ人もサマリア人もなく、)本当に(心を向けて)祀る人が霊と真理とをもって父上を(直接に)祀る時が来る。いや、今もう来ている。父上はそのように祀る人を求めておられるのである。天主は霊である。だから(天主を)祀る人も霊と真理とをもって祀らねばならない。」
女が言った、「メシヤと言われる救世主が来ることは知っています。救世主が来れば、わたしたちに何もかも知らせてくださるでしょう。」イェシュアは言われた、「あなたと話しているわたしが、それだ。」
(ちょうど)その時、弟子たちが帰って来て、イェシュアが女の人と、(しかもサマリアの女と)話しておられるのを(見て、)不審に思った。それでも「何かご用で?」とか、「何を話しておられるのですか?」と尋ねる者はなかった。すると、女は水瓶を置いたまま町に行って、人々に言った、「さあ、来て見て御覧なさい!わたしのしたことを何もかも言い当てた人がいる!もしかしたら、この人は救世主ではないでしょうか?」そこで、人々が町から出て、イェシュアの所にやって来た。
その間に、弟子たちが「師匠、どうぞお食事を」と勧めると、イェシュアは、「わたしにはあなたたちの知らない食べ物がある」と言われた。すると、弟子たちが互いに言った、「誰も食べる物を持って来たはずはないのに。」イェシュアが言われた、「わたしの食べ物は、わたしを遣わされた方[天の父上]の意志を行い、(彼から与えられた)仕事を成し遂げることだ。あなたたちの間では『刈り入れ時が来るまでまだ四月ある』と言うのではないか?しかし、わたしは言う、目を上げて畑を見てごらん。(麦畑の間を押し寄せて来るあのスカルの人たちを!)畑は黄ばんで刈り入れを待っている。すでに、刈る人は報酬を受けつつあり、輝き続ける命に至る実を集めている。蒔く人も刈る人も、一緒に喜ぶためである。このように、『蒔く人と刈る人は別の人』という諺は、そのままここに当てはまる。(すなわち)わたしは、あなたたちが自分で苦労しなかったものを刈り取らせるために、あなたたちを遣ったのだ。他の人々が苦労し、あなたたちはその苦労(の実)を取り入れるのである。(あなたたちはわたしが蒔いたものを、ただ取り入れるだけでよいのだ。)」
さて、この町の大勢のサマリア人は、「あの人はわたしのしたことを何もかも言い当てた」と証言するこの女の言葉によって、イェシュアを信じた。そこで、サマリア人は彼の所に来て、自分たちのところに(しばらく)泊まって欲しいと頼んだ。そして、イェシュアはそこに二日ほど泊まられた。すると、さらに多くの人がイェシュアの言葉を聞いて信じた。彼らはその女に言った、「我々はもうあなたが言ったから信ずるのではない。自分たちで(直接)聞いて、この方こそ確かに世の救い主だとわかったからだ。」




