14. ヨハネの先駆け 場所:ユダヤの荒野、ヨルダン川
•凡例•
( )囲み ──訳者または編集者によるより理解しやすくするための補助、本文と一緒に読んでかまわない
[ ]囲み ──訳者または編集者による語句の定義をより明確にする説明
『 』囲み ──旧約聖書または会話の中の引用
(ローマ帝国の)皇帝テベリオの治世の十五年目、ポンテオ・ピラトはユダヤの総督、ヘロデ・(アンテパス)はガリラヤの領主、その兄弟ピリポはイツリヤおよびテラコニテ地方の領主、ルサニヤはアビレネの領主、(そして)アンナスとカヤパとが大祭司であった時、天主の(お召しの)言葉が、(ユダヤの)荒野でザカリヤの子ヨハネに臨んだ。そこで、このヨハネはヨルダン川沿岸の地全体へ行って、罪[的外れ]の赦しへ導く心の方向転換のお水浸し[古い自己に死に、天主の備える新生へと向きを変える象徴]を説いて言われた、「心の向きを変えよ、天による統治は今まさにここにあり!」彼は駱駝の毛(の外套)を着、腰の回りに皮の帯をつけ、蝗と野蜜とを食べていた。預言者イザヤによってこう言われた人である。
『見よ、わたしはあなたの先に我が使者を遣わし、
あなたの道を準備させるであろう。
荒野に叫ぶ者の声は響く、
「ヤハウェ[天主]の道を用意し、
その道筋をまっすぐにせよ。
すべての谷は埋められ、
すべての山と丘とは低くされる。
曲った道はまっすぐに、
でこぼこ道は平らになるであろう。
かくして全人類一人残らずヤハウェ[天主]の救いを見るであろう。」』
そして、エルサレムとユダヤ全土、またヨルダン川沿岸の地全体の人々がヨハネの所に出て来て、自分の罪[的外れ]を認めながら、ヨルダン川で彼からお水に浸らせてもらった。しかし、大勢のパリサイ人とサドカイ人[パリサイ人とは、ユダヤ人の宗教指導者層の一派で、紀元前2世紀頃から紀元後1世紀にかけて活動していた宗教的・政治的グループ。モーセの律法を厳格に守り、口伝律法(後のタルムードの基となる伝統)も重視した /サドカイ人とは、ユダヤ人の宗教指導者層の一派で、主に祭司階級や貴族階級や富裕層などから構成され、紀元前2世紀頃から紀元後1世紀にかけて活動していた宗教的・政治的グループ。口伝律法を認めず、モーセの律法のみを重視、また復活・天使・霊魂の存在などを否定し、国家や体制の維持を重んじた]とが彼のお水浸し(の所)にやって来るのを見て、ヨハネは彼らに言った、「蝮の末どもよ、来るべき(天主の)怒りを免れるようにと、誰が教えたのか!(本当に心の向きを変えたのか?)それなら(水に浸らせてもらうだけでなく、)心の向きを変えることにふさわしい実を結べ。『我々の先祖はアブラハムである(から大丈夫だ)』などという考えを起してはならない!わたしは言う、天主はそこらの石ころからでも、アブラハムの子供を造ることがおできになるのだ。斧は今すでに木の根に置いてある。だから、良い実を結ばない木はどんな木でも、切られて火の中に投げ込まれる。」
すると、群衆は彼に尋ねて言った、「では、わたしたちはどうすればよいのでしょうか?」ヨハネが答えた、「下着を二枚持っている者は、持たない者に分けてやれ。食べる物を持っている者も、同じようにせよ。」また、税金取りもお水を浸らせてもらいに来たが、ヨハネに言った、「師よ、わたしたちはどうすればよいのでしょうか?」ヨハネは彼らに言った、「決まったもの以上、何も取り立てるな。」兵卒も、「このわたしたちは、どうすればよいのでしょうか?」と尋ねると、彼は言った、「誰からも(金などを)強請ったり、搾り取ったりするな。自分の給料で満足せよ。」
さて、民衆は(救世主を)待ち望んでいたので、皆が心の中で、もしかしたらこのヨハネが救世主ではあるまいかと考えていた。しかし、ヨハネがみんなに言った、「わたしよりも力のある方が、わたしの後から来られる。わたしは、かがんでその方の靴の紐を解く値打ちもない者だ。わたしはただ水の中に浸らせているだけだが、その方はあなたたちを天の尊い霊[聖霊]と(清い)火の中に浸らせ、要らないものを焼き尽くしてくださる。」
このようにヨハネは、そのほかにもなお多くのことを呼びかけながら、民衆に良きたよりを伝えた。




