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3-E

“あーあ。もうちょっと怖がったり気狂いになったりしてくれると思ってたのに”

 不満そうな女の声が頭の中に響く。

 あの日以来、ナズナ ミズリは俺の脳内にずっと居て、そこから頻繁に語り掛けて来る。

“喧しい。悪いけど俺は非日常派なんだよ”

 脳内会話も大分慣れて来た。最初の方こそこいつの物言いに、口に出したり態度に出したりして、一般生徒に変人扱いされたり変な目で見られたりする事もあったけど、数週間経った今は極力表に出さないくらいには脳内整理が出来るようになった。

“まさかあっさり順応しちゃうだなんて。どれだけ日常に不満があったのよ”

“そこは自分が不幸だったか、相手が悪かったと諦めてくれ”

 変な事を考えたりした時に突っ込みを入れられる事もあるけど。時たま有益な助言とかしてくれたり、マイコン部の彰も知らないような謎知識を仕込まれてちょっとした注目を浴びたりと、なんだか一種の背後霊のように思えるようになって来ていた。だけど人に取り憑くような悪事を考えてた奴が、いざという時に俺を守ってくれるのかは怪しい所だけど。

“それよりもとっとと走って。今日もまた遅刻しそうじゃない”

「あーもう解ってるっての」

 かくして、こいつの目論見はある意味成功、ある意味失敗に終わり、変な共存生活が続いている。迷惑なような面白いような……でもまあ、いいか。マイコンは失ったけど、俺の望んだ非日常は、確かにここにあるんだから。

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