80話 久しぶりの『念話』
(土屋君!良かった!繋がった!お願い助けて!)
『念話』してきた相手はクラスメイトの大野だった。エレナかと思って少しドキドキして、久しぶりの会話を楽しみにしていた自分のテンションが急激に落ちていくのが分かる。
(何だ?ノブの事で何か分かったのか?)
テンションだだ下がりで言い方が投げやりで不機嫌になるのは仕方ない。ただノブの事で何か分かったら連絡しろって言ったのは俺なので我慢して話を聞く。
(土屋君!お願い、助けて!私、金子君達に捕まったの!このままじゃ殺されちゃう!)
・・・こいつ、人の話聞いてねえな。でもまあ、金子達に捕まったって事は火の国の戦争にこいつも参加してたって事か。他の国なのに聖女様は頑張るねえ、まあ捕まってちゃ駄目だけど。
(土屋君!早く助けて!水の国の人達みんな金子君達にやられちゃったの!・・・ま、前原君も金子君に・・・私も・・・捕まって・・・・酷い事された。だから助けて・・・・このままじゃ私殺されちゃうよ!)
大野の悲痛な声が頭に響く。可哀想だとは思うが、戦争に参加したんだ自業自得だと思う自分もいる。更に今の大野の情報から水の国は戦争に負けた事が分かった。信じられないが言い方からして金子達が大活躍したみたいだ。こっちはAランクとそのクランが3つも参加したはずだけど・・・そうするとあいつら相当強くなってるな。その金子達に捕まった大野を助けられる可能性はかなり低いだろう。向こうはまだ兵士・・・オッサンもいるのかな・・・が一杯いるだろうし無理だな。そもそも俺を見捨てた大野を助けてやる義理はない。
(最初に言った通りだ。俺から接触する気はない、ノブの情報が分かったら連絡しろ。それ以外で連絡してくるな)
大野を見捨てる事に決めて言葉で冷たく突き放す。
(え?ちょっと!土屋君!助けてよ!!見捨てないで!お願い!殺されちゃう、私殺されちゃうよ!死にたくないよ!だからお願い・・します。助けて。・・・あの時の事もちゃんと謝ります。ごめんなさい。許してください・・・助けて)
『念話』を切った。大野の声が頭に響かなくなる。その後も何度も『念話』で呼び出されたが俺は繋がなかった。大野は今、あの時見捨てられた俺と同じ絶望した気持ちでいるんだろう。日本にいた時はいつか俺と同じ目に遭えばいいと思っていたが、今、こうして俺の望んだ状況になってみると、何とも言えない後味の悪さを感じる。少なくとも全く気分が晴れる事はなかった。
◇◇◇
「それで平民に落とされたアクアフォース家の3人は闇の国にいるっていう自分で追放した弟を頼って『水都』から出て行ったんだとよ、まあ出ていく前に金も無いのに闇の国行きの馬車に乗せろって騒いでいたが、結局乗れずに歩いて行ったらしい。まあ多分どこかで野垂れ死ぬだろう」
昼間だというのにもう酒を飲んでいる駄目集団を周りは白い目でみている。そんな事お構いなくみんな俺の奢りだからか遠慮なく飲み食いしている。飯は奢るって言ったからいいけど、人が少ないのを良い事にセシルとティナも兜を取って普通に飲み食いしているから、いくらかかるんだろう。
その後のデブ貴族の話を聞くと、平民に落ちるとすぐに弟を頼って出て行ったらしいが、自分から追放した癖に助けてもらえるんだろうか?で、アクアフォース家に雇われていた人達も当主が平民落ちしてアクアフォース家が取り潰されたから全員解雇となった。それから10日間程で全員身の振り方を考えて各自都を出て行ったそうだ。
執事長を含む先代から雇われていた人の大半は闇の国に向かったそうなので、弟の方はホントに慕われていたらしい。都では、馬鹿な当主のせいでいきなり仕事が無くなって可哀そうだと言われていたが、執事長が「あるお方より各自半年は暮らしていけるお金を頂いたので少しばかりのんびりできそうです」なんてある貴族に言ったもんだから、一時期『あるお方』は誰かなんて噂が色々飛び交っていたらしい。爺さんも言われた通り平等に金を分けてくれたみたいで良かった、そしてその時俺が都にいなくて良かった。
「それでお前は何で教国に慌てて行ったんだ?あのデブが『首渡し』が全部持って行ったなんて大騒ぎしていたぞ。大半がそんな訳ないって信じてなかったが、俺達は誤魔化せねえ、お前今回いくら稼いだ?」
あの貴族は絶対大騒ぎすると思ったからその日の内に都を出発して正解だったな。残っていたら捕まって色々面倒くさい事になっていたかもしれないし、捕まらなくても絶対目立ってしまう所だった。
「・・・・白金貨12枚、経費外すと6枚ぐらいの稼ぎかな?」
別に稼ぐつもりは無かった、執事の爺さんに渡した白金貨6枚分返ってくればいいかなぐらいの感じだったんだ。信じて欲しい。
「じ、12!!!」
「「「「6枚!」」」」
「「「!!!」」」
「この野郎!てめえ、そんなに稼いだんなら1ヶ月飯奢れ」
「ヤベえッス。アニキまじヤベえッス」
「あんた、それAランクでも簡単に稼げないわよ」
周囲から驚きの声が上がる。都に来てから野盗団で白金貨を稼いでいる俺はいつもより少し稼いだかなってぐらいの気でいたが、Dランクの報酬が金貨1~10枚ぐらいだから大分感覚がマヒしていたようだ。
俺の稼ぎについて散々言われた後、各自の近況を聞きながら今はまったりして各自話している。ガーネットが妙にリコルに絡んでいるのが気にはなっているけど、まあそれはいい。もうそろそろ終わりにして依頼の掲示板でも確認しようかなんて思っていると、
「アニキ、何か心配ごとですか?」
唐突にトマスから質問される。
「・・・・まあ、心配ってよりはちょっと気になる事があってな」
さっきから話を振られても聞き返したりする事が多くて集中できてなかったもんな。トマスにバレても仕方ない。見捨てるとは決めたが気にはなってるから、つい大野の事を考えてしまう。他の連中ならどう考えるんだろ。
「なあ、ガーネット、リー。お前らもし、『深海』が泣きながら助けを求めてきたらどうする?」
「見捨てる」
「助ける訳ない」
即答だよ。分かってはいたけど、少しは悩めとか思ってしまう。
「お前らはどうだ?お前らがもしガーネットとリーだとしたら助ける奴っているか?」
・・・・・誰も手を挙げない。全員首を横に振っている。この世界の冒険者なら当たり前の選択だろう。どんなトラブルに巻き込まれるか分からないから仲が良い奴以外は特別な事が無い限り助けないのが普通だ。俺も無理だと判断したから見捨てる事にした。したのだが、やっぱり気にはなる、あの悲痛な声が今でも頭で繰り返されている。
「普通は助けねえよ」
「だね。助けても絶対後で後悔するだろうしね」
「むしろ私は指差して笑ってやるわ」
「お姉は性格悪すぎ」
「一度こっちを見捨てたんなら、見捨てられても文句は言えねえだろ」
「むしろこっちに助けを求めてくるのが間違ってるわね」
「まあ、普通はそうですけど、でも、アニキなら多分助けるでしょ?」
・・・・・
みんな俺の質問に「助けない」一択で話がまとまっていたがトマスの一言でみんな固まって止まってしまった。
「ウッス。アニキなら絶対助けるッス」
「そうッス。俺達を助けてくれたアニキなら絶対助けに行くッス」
「そうだね。私達をあの貴族から助けてくれたギンなら助けるかなあ」
「だな、ギンだしな」
何故か俺は助けに行くで意見が一致してしまった。
「アニキの心配事ってそれなんですか?」
「ああ、ちょっとムカつく奴に助けを求められてな。断ったけど気には、なってる」
「気になるぐらいなら助けに行って来いよ」
「そうそう、ギンならパッと行ってサッっと助けてこれるでしょ」
そんなに簡単にいかないと思うんだけど、まあ、様子だけ見に行って駄目そうなら本当に諦めるか。
「そうですよ。アニキなら簡単に出来るんですから、取り合えず助けてみて、それでもムカつく奴ならぶっ殺せばいいんですよ」
ええ~。何その考え、怖いんだけど。トマスの言葉にドン引きする。こいつらスラム出身のせいか偶に俺がドン引きするような事言い出すんだよな。・・・・でもまあ、それぐらい割り切ってみるといいのかもしれない。・・・殺しはしないけど。
「そうだな、お前らの言う通りだ。取り合えず助けに行ってみるか」
そう言って俺は席を立つ。時計は無いが薄暗くなっているのでだいたい夕方ぐらいだろう。今ならまだ門も空いているから今日中に出発できるから急ぐかと思っていると、タイミングよく『念話』の呼び出しが入った。
(・・・・なんだ?用も無いのに連絡するなって言っただろ)
助けるかどうかは別にして行動を開始しようとした、このタイミングで連絡してくるとは、勘の良い奴だ。でもまだ助けられるかは分からないから、しばらくは突き放した言い方をしておこう。
(・・・・・・・・・ギン)
大野だと思っていたが、連絡してきたのはさっきと逆の人物だった。その声に驚いて心臓の動きが早くなる、何でこのタイミングでエレナから連絡がある?驚き過ぎて頭が真っ白になり何も返事を返せないでいると、
(・・・ごめんね。用も無いのに連絡して)
(い、いや、エレナなら大歓迎、いつでも連絡してきても大丈夫だ。そ、それよりどうした?)
(・・・いえ、少し声を聞きたくなってね・・・もう切るわ。元気でね)
(へ?何で?・・・エレナ!何かあったのか?おい!)
・・・何だ今の?何で今このタイミングでエレナから連絡が来た?声を聞きたいって言っときながら何ですぐに『念話』を終わらせた?そしてさっきから呼びかけているが何も返事が返ってこないこの状況は何だ?
・・・・
体が震える。この状況は一度だけ経験した。あの時おかしな態度だった師匠。呼びかけても師匠もターニャも返事してくれなかった。二度と経験したくはないと思った。大丈夫、俺の考えすぎだ、冒険者の師匠達と違ってエレナは街にいる、危険はほとんどないはずだ。悪い考えを必死で振り払う。だが、
・・・国境・・・火の国・・・戦争・・・大野・・・金子達
このキーワードで俺は最悪を想像してしまった。
・・・まさか、あいつらドアールに攻め込んだのか?いや、自分たちの領地になるから馬鹿なあいつらでもそれはしないはずだ。
必死で否定するが、一度考えてしまえば頭から消す事は出来ない。
「ギン?」
「アニキ?」
席を立ちあがったまま固まっていた俺を心配してトアとトマスが声を掛けてきたので、顔を上げると、みんな心配そうに俺を見ている。
考えたくはないが、最悪を想像してしまえば、後はそれにどう対応するかを考えてしまうのが冒険者だ。金子達がこのまま都に攻めてくる事を想定して、こいつらとリマとクオン、ダルクさんだけでも早めに避難させたい。
「俺からここにいる全員に依頼を出す。頼むから受けてくれ」
そう考えると、冒険者のこいつらに依頼を出せば何とかなると思い言葉を口にした。
「おい、いきなりどうした?」
「アニキ、大丈夫ッスか顔真っ青ッスよ」
「頼む。間に合わなくなるかもしれない」
ホントなら今すぐにでもドアールに行きたいが、先にこいつらに話をつけてからだ。
「みんな、待て。まずは依頼の内容を聞いてからだ」
ゴドルが俺の顔を真っすぐ見つめながら、みんなを抑えてくれる。正直説明している時間もないからすごい助かる。
「すまん。グダグダ説明している余裕はないから簡単に言うと、リマとクオン、ダルクさんを護衛しながら、しばらく・・・闇の国に行って10日間程待機して欲しい、報酬は一人大金貨5枚だ」
「だ!大金貨!!」
「「5枚!!」」
「どんだけ危険なんだその依頼!」
「内容だけだとそんなに危険はなさそうだけどね」
「待てって、お前ら。ギン、その依頼の危険さは?」
「出発が遅れれば遅れる程高くなるから明日の開門と同時に出発して欲しい。リマとクオン、ダルクさんには俺が今日中に話をつけておく。明日開門時間に来なかったらそのまま出発してくれ」
「分かった。でも何でそんな急ぐんだ?遅れる程、危ないって都にいてもって事だよな」
「ああ、この国は戦争に負けた。これからこの都が攻められるから都にいると危険だ」
「なっ!」
「ホントか!」
「嘘よ!」
俺の言葉に驚いてみんな固まってしまう。俺の話は信じられないだろう。
「何で負けたって知ってる。・・・・いやそれはいいが、何で都に攻めてくるんだ?『建国王』様達が決めた国同士のルールなら水の国が負けた場合、ドアールが火の国の所属になって終わりのはずだろ?」
ゴドルの言う通りだ。この世界では戦争に負けたらその時の国境の街を一つだけ奪われるルールになっていると俺も聞いた。『建国王』達の時代は国を滅ぼし領地の奪い合いをしていたから、自分達で国を興した時にそういうルールを決めたらしい。そしてそれを破った国に対して各国は協力してその国に攻め込むとなっている。それが現在のこの世界での戦争という物だそうだ。ただ、今回はこの世界の人間じゃないあいつらが、金子達がいる。しかも前原や大野同様かなり偉い立場にいる事が想像できる。そんな奴等の命令なら火の国の奴等は従うかもしれない。
「・・・多分、ドアールの街が攻められている。この後も水都まで攻めてくるだろう。そうなるとここも戦場になる」
さっきから否定してきた考えを口にする。口にすると不思議とその予想が正しいと思えるようになってきた。ただそれは最悪の展開だ。
「マジかよ!いや、信じられねえ!ルールはどうなったんだよ。そんな事すればサイ国含めて全部の国を敵に回すんだぞ」
その覚悟があるんだろう。スキル確認の時に物騒な事言ってた奴らがいたから、あの国は最初から戦争する気満々だった。最初からどこまでやるつもりだったかは分からないがドアールを攻めてルールを破った時点で各国を敵に回す覚悟は出来ているんだろう。・・・って事はこの国以外も攻める可能性が高い。
「いや、それでもねえ。ちょっと信じられないわね」
トア達『戦乙女』が疑念に満ちた目で俺を見てくる・
「時間が無いって言ったろ?俺の言う事を信じるか信じないかじゃねえ。依頼を受けるか受けないかだ!今すぐ決めてくれ!」
「俺達は当然受けますよ。アニキの依頼ですからね。別に依頼じゃなくても俺たちはアニキからの命令ってだけでも従いますよ」
真っ先に引き受けてくれたのはトマス達だった。あの時こいつらを助けておいてホントに良かった。こいつらが護衛についてくれるだけでも道中はかなり安心だ。
「ったく、仕方ねえな。俺らも受けるぞ。闇の国のグレンツェまでの護衛とそこで10日間ゆっくりするだけで一人大金貨5枚だ。依頼人はギンっていう信頼できる奴だから破格すぎんだろ」
『ウェイブ』も受けてくれたので『戦乙女』とガーネットとリーもこれで頷いてくれた。本当にありがたい。
「みんなありがとう。これが依頼の報酬だ。細かくなくて悪いが各パーティ毎で後で分けてくれ」
みんなに先に報酬を渡していく。最後のトマス達にはワイン発見報酬をまだ預かっていたので今回のと併せて白金貨1枚ずつ渡す。
「・・・ん?アニキ、これ多すぎですよ?」
トマスが今回の報酬以上に多く貰っている事に気付いて疑問をぶつけてくる。
「お前らにはワインを見つけた時の報酬ずっと俺が預かっていただろ。丁度いい機会だから今返しておく」
「・・・・アニキは一緒に行かないんですか?」
「ああ、俺は今からドアールに向かう」
「ちゃんと帰ってきますよね」
これが女なら映画のワンシーンなんだが、言っているのはトマスだしディーとベースも潤んだ目で俺を見ているから気持ち悪い。こういう所が俺らしくもあるけど。
「ああ、大丈夫だ。ヤバそうなら逃げてくるさ。みんな、リマとクオン、ダルクさんを頼むぞ」
「ああ、任せとけ」
「あんたも気を付けなよ」
皆の声を聞きながら冒険者が少なくて仕事もなく暇そうにしている受付のリマの所に向かった。
「リマ、クオンとギルマスを呼んできてくれ個室で話がしたい。」
「分かった」
俺の顔を見ると、何か察したのか質問する事なく了承して席を離れていった。俺は先に個室に入り3人が来るのを待つ。
「何だい、全く」
「ギン戻って来たんだ。久しぶり~」
「・・・・」
婆さんとクオンが普段と変わらない様子で個室に入ってくるが、リマだけは強張った表情をしている。
「その話、ホントかい?ちょっと信じらないねえ」
ゴドル達同様婆さんは俺の話を疑っているが、信じてもらうしかない。
「分かった、今は信じなくてもいい。ただ、ドアールの街が攻められたって情報が入ってきたら、その時は俺の話を信じてくれ。それで住人に避難するように呼び掛けてくれ」
「まあ、それなら別に構わないよ」
よし、ギルマスと話はついた。次はリマとクオンだ。
「リマとクオン。お前らには悪いが、明日には闇の国に避難してくれ。明日開門の時間に北の門でゴドル達が待ってるはずだ」
「え?何で?私達も噂が入ってきてから避難でも間に合うけど」
明日には避難しろって言われても困るよな。だけど、クオンの言うように噂が入ってきてからでは遅いかもしれない。
「いや、その噂が入った時点でギルマスが避難を呼びかけるんだ、住人の大半が避難を始めると道中混雑して逃げ遅れるかもしれない。だから頼む、お前等だけでも先に避難しておいてくれ。それで俺が安心できるから」
「・・・分かったわ」
しばらく目を瞑って考えていたクオンだが、納得したのか了解してくれた。
「クオン?」
リマは何故クオンが納得したか分かってないのか不思議そうに名前を呼ぶ。
「ギンには命を助けて貰ったからね。その恩人の言葉だもん、訳分かんなくて、納得もできてないけど行くよ」
「・・・・分かった。私も明日避難する」
クオンの言葉に納得したのかリマも頷いてくれた。
「悪いな。これで俺の予想が外れたら10日間は仕事サボりで確実にクビになると思うから、これは当面の生活費だ、遠慮なく使ってくれ」
「し、白金貨!」
「う、嘘!初めて見た」
驚く二人に白金貨を1枚渡す。
「全く、私の前で仕事サボる相談かい?・・・はあ~。リマとクオンは明日から1ヶ月休みをやるよ。今は冒険者も少なくて仕事も暇だしね」
「いいのか?」
「この子達は男嫌いって欠点を除けば、これで中々優秀だからね。それにその男嫌いもギンのおかげで大分解消してるようだから手離すのは惜しいさ」
そう言えばリマもゴドル達と一言ぐらいなら会話してるな。クオンはトマスやゴドル達とは普通に話をしている。
「婆さん、悪いな。出来れば俺の想像が外れてくれるといいんだけどな」
「私もそう願ってるよ。ただこういう悪い想像ってのは経験上よく当たるもんだからね。気を付けな」
話もまとまったので俺はギルドを後にしてダルクさんの店に向かう。ダルクさんも俺の話を信じなかったが、指示には従うって事で明日から避難する事になった。もし俺の話が嘘だった時はその期間の売り上げを白金貨1枚として弁償するって事で納得してくれた。




