表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影魔法使いの冒険者  作者: 日没です
1章 火の国の逃亡者
4/163

4話 盗賊?

方に目を覚ました所でマップの常時ONと警報付けるの忘れていたので起きた段階で設定しておく。マップには変わらず敵が多く、しばらく様子を見ていたが今日の移動は無理そうだと判断して、家でゴロゴロ過ごした。翌日もかなり警戒が強かったので、『自室』から出られなかった。更に翌日の夜に目覚めるとようやく警戒が収まったのか、外に出れるようになった。


外に出られたから取り合えず鎧を奪いに行くぞー。おおー!


なんて考えながら俺は一人の兵士に忍び寄って行く。マップを確認しながら近くまで行くとその姿を目でも捉える事ができた。・・・・何か最近暗くても良く見えるんだよな?向こうは松明持ってる事を考えても見えすぎなんだよな。夜行動してたから夜目が効くようになったのかな・・・少し夜目が効く事に疑問を感じつつも兵士の近くまで行き、影を伸ばす。今回は捕まえた瞬間に体全体に影を纏わりつかせる。


よし、『収納』・・・出来た気がする。


頭で思い浮かべて捕まえた兵士から全てを奪えた気がする。そこで少し疑問が浮かぶ。


・・・・?なんかこいつ動かねえな?死んでんのか?


「おい!どうし・・・黒!おい!大丈夫か!しっかりしろ!・・・・・・・我に輝きを『光』」


近くの兵士が何か異変を感じたのか寄ってきて俺が影を纏わりつかせて真っ黒になった奴を見つけると驚いて慌てだす。しかしすぐに冷静になると『光』を使いやがった。俺は前と同じように軽く押されるような感覚がして、尻もちをつくけど、毎回こうなうなるのかよ。その時やっぱり影魔法が外れてそこには全裸の若い兄ちゃんが立っていた。


「おお!助かった!いきなり目の前が真っ暗になって全く体が動かなくなったんだけど、・・・・あれ、何で俺裸なんだ?鎧は?」

「お前、何か黒い物に包まれ・・・・・・影魔法か!おい!この辺にいるぞ!探せえええ!」


ピーーーーーーーーーーーーー


笛が鳴らされたのでまた敵が集まってくる。ヤバいと思って立ち上がり、逃げ出そうとした所で、全裸の兄ちゃんと目があった。汚ねえもんまで丸見えだ。こっち向くな、見せんな、まあ全裸になった原因は100%俺なんだけど。


走って逃げる背中に兄ちゃんから悲痛な声がする。


「頼む!せめて服とパンツは返してくれええ!」


心優しい俺はその声に応えて服とパンツと靴下は収納から放り出してやった。まあ持ってても使わないし、着たくもないし。


「やっぱり!てめえか!馬鹿野郎!俺から盗った物全部返しやがれ!」


折角返してやったのに後ろから罵声を浴びせられる。こんなんなら返さなきゃ・・・いや、やっぱり持ってても使わないからいらんな。それよりもあの悲痛な声は演技か、俺が本当に鎧とか盗ったのかあの一瞬で判断して確認したのか。なかなか頭が回る兄ちゃんだ。


のんきに考えながらも足は動かしてマップを見ながら逃げている。幸い兵士はそんなに足は速くないみたいだ。ハンターが来たらすぐに『自室』に逃げ込もうと考えて、しばらく走っていると、


来た!ハンター来やがった。やっぱり足はええ。


すぐに『自室』に逃げようとしたが、一人しかハンターが追ってきていない事と兵士達からもかなり距離がある事に気付いて、ひとつ試してみよう思い近くの草むらに隠れる。しばらくマップを確認して待つと、すごい速さで人影が駆け抜けていったと思ったら、すぐに立ち止まって、こっちにゆっくり戻ってきた。


「また、痕跡が消えた。どこに隠れたんだ?俺たちがここまでコケにされるとは・・・」


なんかブツブツ言いながらゆっくりこっちに戻ってくる。鎧を着ていないのでハンターだろう。顔は布を巻いて目と鼻しか出ていないので、年齢は良く分からないが、声からは男だと分かる。


さーてそれじゃあ、影ちゃん出番だよ~。・・・よし!捕らえた!パンツと服と靴下はいらないからそれ以外『収納』。それで『自室』。


ハンターから装備品をほぼ奪い取ってから『自室』に戻る。さっきの兄ちゃんの様子から影を纏わせた状態だと身動きできないみたいだから、その状態で俺が『自室』に戻るとどうなるかハンターで実験してみた。すると、俺が扉を閉めるとすぐにハンターが動き出す。俺が『自室』に戻ると影は消えるみたいだ。


さ~て今日はこれ以上移動は無理そうだし、今日の戦利品の確認でもしてからのんびりするか。


収納の一覧を見ると、兵士の方は盾が背中についた鎧と長剣とナイフ、非常食クソマズい、水が入っていた革袋(水筒の代わり?)、松明あと財布ぐらいだった。本来の目的の鎧を着たら、ものすごく重かった。これ全部で20㎏ぐらいあるんじゃないか?しかも剣を装備したら更に重いし、兜を被ると視界も悪いしで、こんなんで良く俺を追っかけてこれたなと感心してしまう。松明は取り出すと火が消えていた、煙も出ていないので、完全に消火されるみたいだ。最後に財布には銀貨3枚と、銅貨1枚、鉄銭7枚入っていた。こっちのお金だからこれが多いのか少ないのか良く分からない。

次にハンターの方は革の胸当て、マント、片手剣、ナイフ2本、投げナイフ5本、非常食クソマズい、水が入った竹筒(水筒?)、鍵開けセット、下級ポーション3本、中級ポーション1本、財布とタグと鞄だった。胸当ては俺にはきつくて入らなかった。マントはどうなんだろ?付けた事ないし、付けてるやつ見た事ないからサイズが合ってるか分からない。とりあえず王様とかが肩に付けてるやつじゃなくて、首に巻いて止めて、前もしっかり隠れるタイプのマントだった。鍵開けセットは使い方分からない。財布には銀貨1枚と数枚の鉄銭とが入っていた。最後のタグなんだけど、これは戦争映画で見た事ある!ドッグタグって奴だ、ご丁寧に2枚付いている。タグには見た事無い文字が書かれているが何故か読める!タグには2枚とも「ラバー」と書かれてバーコードみたいな物が書かれているがバーコードは何て書いてあるか読めない。そういえばハンターの方に罠入ってなかったな?俺が解除しすぎて罠無くなったのかな?

回収した物の確認も終わったので、さっきから気になっていた武器を取り出す。まずは長剣から手に持って剣道っぽい構えを取ってみる・・・・腕がプルプルする。これ重い!これは俺には使えないな、鍛えても多分無理だなこれ。次は片手剣。これは何とか振れそうだ。重さはバットより軽いぐらいか。次にナイフ!3本あるけど、どれも重さは似たようなものだ。但し2本はシンプルな作りで多分日常の作業とかに使ってたっぽい。逆にハンターの持っていた1本は作りが複雑で、背中がギザギザしているこれは短剣って言った方がしっくりくるな。投げナイフはシンプルなデザインで特筆する事はないが、副団長のオッサンから投げつけられた1本と合わせて6本になった。


よし、とりあえずこんなもんか。最後にポーション、RPGの定番だ。下級と中級があるって事は上級もありそうだな。中級は1本しかないから下級ポーションを投げナイフで傷ついた肩にでもかけてみるか。・・・おお、まだ少し残っていた痛みが消えた。鏡は・・おお、少し傷が残っているけど、ほとんど分からないぐらいまで治ってる。やった!


ポーションの効果に喜びながらもマップを見ているがまた警戒レベルが上がってるから鎧着て外に出るのは明日以降になりそうだ。・・・明日以降も嫌がらせでどんどん装備盗っていけば、いずれ諦めてくれるかもしれない。まあ、向こうは俺の命狙ってんだから、それぐらいしても良いよな。


そんな事を考えながら翌日を迎えたが、やっぱり警戒レベルが変わっていない。更にその翌日もその翌日も。流石にこのままではいけないので、今日は隙を見つけたら鎧姿で外に出てみる事にする。そうしてマップを睨めていると、


キタ!チャンス!今のうちに外に出て兵士の群れに紛れ込もう。


交代の時間なのか兵士が一時俺から離れていくので、俺も兵士の格好をして外に出る。


慣れないと重いし動きにくいな。視界も悪いし。


なんて思いながら、俺も兵士の向かう方に歩いて行く。途中で多分交代要員の兵士とすれ違った。すれ違う時に向こうが敬礼してきたので、俺も慌てて返礼すると、向こうが話しかけてきた。


「どうした、他の奴等より遅れてるぞ、急げ」

「ちょっと小便してたんだよ。わりい、急ぐわ」


向こうの質問に俺は平気で嘘をついて何事も無かったように脇を通り過ぎようとした所で、頭に警報が鳴り響いた。咄嗟にその場から飛びのく。飛びのくと同時に俺がさっきまでいた場所に白刃がきらめく。


あっぶねえええ。今の当たってたら鎧着ててもヤバい感じだったぞ。マップ全く見てなかったから警報が鳴らなかったらマジでヤバかった。


「お前、誰だ?敬礼がうちの部隊のやり方じゃねえから、うちのやつじゃねえよな?しかもその言葉使い、平隊員が班長に使う言葉使いじゃねえぞ。」


斬りかかってきた奴が、俺を警戒しながらも長剣を構えて不信に思った所を教えてくれた。そうか敬礼に違いがあるのか、俺には違いが分かんねえから兵士に紛れて逃げ出す作戦は無理っぽいな。っていうかその長剣振れるんだね、すげえよ、筋肉ゴリラ並みだよ。


なんて考えているが、影はすでにそいつの足元まで伸ばしている。


ほい、捕縛。で『収納』、ついでに俺も着替えるか。鎧着たままだと重すぎて逃げるのきついからな。


そう考えると、俺も影を使って早着替えをする。こういう所は便利だよなあ、『影魔法』弱点バレてるってのがマイナスポイントだけど・・・

影で捕縛したまま、その場を離れる。影で捕縛したままなのは、どこまで影が伸びるか検証する為だったが、すぐに他の兵士に見つかり『光』を使われて捕縛が解かれて失敗してしまった。その代わり、


「おお!動けた!・・・・クソおおおおおおおッ!やられた!俺の装備いいいいいいい!あいつどこ行きやがった!ぶっ殺してやる!」


捕縛から解放された班長さんが激おこ状態だ。ハハハハハ。ざまあ。嫌がらせ成功。さて、人が集まってきたから避難しようかな・・・・おっ!ハンターさん来てるな。こいつからも盗るか・・・・なんかこの発想盗賊みたいだな。スク水窃盗は冤罪だったけど、これは言い訳できないぐらい窃盗?強盗?してるよな・・・いや、こいつらが俺を殺しに来てるのが悪い。俺は諦めてくれるように嫌がらせしてるだけだ。


頭の中で自分を正当化しながらも藪に隠れてハンターが近づいてくるのを待ってから捕縛、『収納』流れるような動き、手慣れたもんだ。そうして少しハンターから距離を取った所で『自室』に戻った。今日の戦利品は昨日とほとんど変わらなかったがハンターのドッグタグには『クロウ』と書かれていたので今日のハンターは昨日と別の奴だったみたいだ。


・・・あれ?ハンターって3人いたよな?そのうち2人は俺のマキビシで足ケガしてたはず・・・昨日の『ラバー』って奴がケガしてない奴だと思ったけど、まだ他にもハンターいるのかな。・・・まあいいか、追ってきたらまた盗ればいいだけだ。・・・・やっぱりこの発想盗賊だなあ。




◇◇◇

5日後

ほい!捕縛。収納。ガハハハッ。今日は大量だあああああ。


そんな事を考えながら俺は本日5人目の兵士から装備を奪っている。


「『光』。こっちだあ!急げ!」

「・・・ああ、くそおおおおお!やられた!俺もう2回目だぞ!あいつマジで殺してやる!」

「どこだ?絶対逃がすな!殺せ!」

「俺の金、返せえええええええ!」


おお、殺気立ってるな、怖い怖い。ここ最近は嫌がらせするのも簡単になってきたので結構余裕がある。ハンターさんもあのあともう一人「アイン」って奴の装備を奪ってからは近づいて来てくれなくなった。ただ兵士の方は学習能力がないのか懲りずに俺から装備を奪われている。『収納』に入っている鎧は50個を超えているが兵士は相変わらず装備を着た奴等ばっかりだ。どうも予備の鎧を持ってきているっぽいので、あまり効果はないように思われるがたまに遠くから「予算が~」とか悲痛な叫びが聞こえてくるので、ボディーブローのようにじわじわ効いているらしい。そうして本日6人目のターゲットは久しぶりのあの人だった。


ほい。捕縛で『収納』はい、これで今日6人目。さらば、アハハハハハハハ。

そこから少し離れた所で捕縛を解除してやると、背後から聞いた事のある声がする。


「動け!・・・動けた。・・・はあ、はあ、あいつはどこ行った?おい!小僧!いい加減大人しく捕まれ!今なら苦しませずにあの世に送ってやるぞ!」


森に響き渡るその声が懐かしくてついつい立ち止まって振り向くと、やっぱり副団長のオッサンだった。マップで見る限りまだ安全そうなので、少し話をすることにする。


「よお!オッサン!久しぶりだな?元気してたか?俺は元気にしてたぞ。」


軽い嫌味を言いながら声を掛けると、俺に気付いたオッサンは顔を真っ赤にして俺に走って向かってくる。


「はあ、久しぶりなんだから少し話そうぜ、オッサン。」


こちらに走ってくるが、靴を奪われて靴下だけのオッサンは、当然石や枝を直に踏みつけて走り方がおかしくなる。


「ぐお、いた、いたたた。くそおおおおお!貴様いい加減にしろ。第1騎士団を馬鹿にしてるのか?そうやって遊んでいられるのも今のうちだけだからな!地の果てまでも絶対に追い詰めてやるからな。覚悟しておけよ。」


足の裏の痛みで地面に倒れこみながらも必死で俺に怒鳴り散らすオッサン。少し可哀そうだけど、俺を殺しに来てるから容赦はしない。


「なあ、いい加減諦めろよ。最初の頃ならいざ知らず、今の俺って余裕でオッサン達から装備奪えるぐらいには成長したぞ、これでもまだ諦めてくれないなら明日からは容赦しねえから。」


自分でもオッサンに軽く自慢できるぐらい最近は『探索』、『影魔法』をうまく使って装備を簡単に奪っている。


「くそおおおおお!くそ!我が栄誉ある第1騎士団がこんな小僧にいいいいい!」


俺の言う事ちゃんと聞いてるか分からないがオッサンは泣きながら地面をドンドン叩いている。良い歳して泣くなよ、オッサン。


「泣くなよ、オッサン!泣きたいのはこっちなんだよ、異世界召喚されてその日の内に殺されそうになって、そこから今日まで捕まれば殺される鬼ごっこしてんだぞ」


思わず愚痴ってしまったけど、聞いてないみたいだしもういいや、オッサンと話してても異世界召喚されてからの事を思い出してムカついてくるだけだ。


「じゃあな、オッサン。明日からは容赦しないからな。いい加減諦めて帰れよ。」


そう言い残して森の中に走っていきながらマップで安全を確認して追っ手がこっちに来るまでは森の中を軽く流す感じで走る。ちなみに一応マップを縮小して街道を確認しながら移動をしているので、いずれ街か国境までは辿り着くはずだが、それがどれぐらいかかるか分からないし、ずっと森の中で、移動は夜中しかしていないので、かなり時間がかかる事は覚悟している。そうして1時間程走った所で『自室』に戻り今日の戦利品を確認すると何と金貨1枚と上級ポーション1個を手に入れていた。今までの兵士やハンターは金貨や上級ポーションは持ってなかったので多分副団長の奴だと思う。価値はわからないが今まで手に入れた事無かったので多分貴重だと思う。ありがとう、オッサン。お礼に明日からはパンツだけは残しておいてやる。そんな事を考えながら就寝。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 頭の悪い主人公は流行りなのか? でも見ただけで初級と中級のポーションだってわかっちゃうんだから凄い 確か鑑定は無かったと思うけど。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ