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影魔法使いの冒険者  作者: 日没です
2章 水の国境都市の新人冒険者
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21話 ガフとギースと新人

「かあ~。やっぱ、貴族と絡むと疲れんな~」


しばらく歩いて洞窟からある程度離れると師匠が伸びをしながらぼやきだす。


「今日は仕方なかったが、やっぱり貴族とは関わらない方がいい。」


エドワードは貴族にしては大分マシだと思ったけどやっぱり貴族って関わらない方がいいみたいだ。俺も今後は出来るだけ関わらないようにしよう。


「でも、金貨1枚貰えたから、あいつは貴族にしては中々話の分かる奴かもしれねえな」

「そう言えば何で領主の息子なんて偉い人連れてきたんですか?」


貴族が面倒ならわざわざ連れてくなくても良かったのに。


「俺が兵士に説明していたらどこからか現れて勝手に付いてきたんだよ。まったく、こっちは飯も食ってねえから腹も減ったし大変だったんだぜ。お前らもう食べたんだろ?街に着いたら飯食ってくるわ。ギース、ギルドで依頼達成の報告してから訓練してればいいからギンの事少し頼む」


師匠はそう言うと街に着くなりどこかに行ってしまったので、ギースさんとギルドに向かい毒森蛙と巨大蝙蝠の羽を納品すると、またまたミーサさんが驚いた顔をする。


「普通は毒森蛙だけでも運が良くても1日はかかるんですけど、蝙蝠の羽まで終わらせるってやっぱり早くないですか?」


『探索』で見つけたけどスキルの事は言えないので、どうしよう。


「今日は俺も手伝ったからな、3人なら普通だろ?まあ、ギンは少し運が良すぎる気がするけどな。」


俺が答えに迷っているとギースさんが答えてくれた。


「ああ、それなら納得です。ちょっと待ってて下さいね。達成報酬持ってきます」


ギースさんの答えに納得すると、依頼達成の処理をして報酬を持ってきてくれた。どちらの依頼も報酬は銅貨5枚で合わせて銀貨1枚になった。師匠もギースさんもいなかったら、蝙蝠は絶対終わって無かったな。


「ミーサ、そう言えばエドワード様が今日行った洞窟しばらく封鎖するから冒険者に広めておけだってよ」

「は?何でですか?聞いてませんけど?」


ギースさんの言葉にミーサさんはキョトンとした顔で聞き返す。


「そりゃあ、さっき決まったからな。ガフが隠し通路見つけて、そん中に白骨死体があった。恐らく領主様の血縁者って事で、他に隠し通路がないか調べるから封鎖するってさ」

「ホントですかあ?あんな調べ尽くされた洞窟で隠し通路とか」

「まあ、信じなくてもいいさ。今日か明日には領主様からも正式な報告が来るだろ。一応俺は伝えたからな。」


ギルドで用事を済ませたので、ギースさんに稽古をつけてもらう為に訓練場に移動する。今日の訓練は盾を持ったギースさんの体に一撃を加えるルールだったが、これが当たらない。全て盾でガードされる。後ろに回り込もうと動いても最小限の動きで俺の動きに合わせて盾がついてきてガードされる。こんなに重い盾を軽々持って俺の動きに余裕でついて来られるのは流石ベテランのDランク冒険者だ。


「ガハハハッ。ギン苦戦してんな。まだまだ早く回り込まねえとギースに一撃入れられねえぞ」


飯を食べて戻ってきた師匠が俺にアドバイスしてくれるが、これ以上は早く動けないのでアドバイスになっていない。そうしているといつものように俺の体力に限界が訪れ、倒れこむ。


「ギンは動きが素直すぎるな。少しはフェイントを入れたりしないと駄目だぞ」


倒れこんでいる俺にギースさんからアドバイスをもらうが、疲れて返事が出来ない。フェイントか~、考えた事無かったけど今度は少し意識してみるか。


「よし、今日はこの辺にしとくか?ギースこれからどうする?」


ニヤニヤしながらギースさんに話しかける師匠を見て、何か怪しさを感じる。


「どうって、そりゃあ、金貨1枚稼いだんだ。グヘへへ」


ギースさんもだらしなく笑いだす。二人で悪巧みを考えているようにしか見えないけど俺は二人の様子からすぐに何か気づく。


「ああ!今日『猫宿』行くつもりでしょ!俺も行きます!ついてきます!」


疲れて倒れこんでいる体が急に元気になり体を起こしながら師匠達に答える。


「ああ?ギン、お前は駄目だ。まだ新人のうちからハマったら金が足りなくなるからな」


エレナと同じような注意されるが師匠の命令でもここは引き下がれない。俺は昨日から『猫宿』に行きたくて行きたくて仕方なかったのだ。


「大丈夫です。金ならあります。だから絶対ついて来ますよ」

「ガフ、まあいいんじゃないか?今日はギンも金貨1枚稼いだんだし。この間はガフの奢りだったけど、今日は自分で支払いさせたら簡単に『猫宿』行けるなんて考えないだろ」


ギースさんが横から助け船を出してくれる。・・・助け船じゃないな、俺に勉強させようとしているだけか。


「全くギースは甘えな。んじゃあ、今日は自分の分は自分で出せよ。酒はどうすっかな」

「ああ、酒や飯代は俺が持ちますよ。ギースさんは指導してもらいましたし、師匠が隠し通路見つけて領主連れて来たから、俺も金貨1枚もらえましたし」


昨日ギースさんに依頼手伝って貰っているからお酒奢ろうと思っていたので丁度いい。師匠は日頃の感謝だ。


「おい、ギン、そんな簡単に言っていいのか?奢るって口にしちまったらもう取り消しはできねえぞ」

「そうだぞ、俺とガフだから今なら取り消しても怒らないぞ」

「いえいえ、世話になっていますから構いませんよ。この前の感じだと俺は銀貨3枚ぐらい出す事になりそうですが、それでもまだ銀貨7枚残るんなら大丈夫です」

「そうか、なら遠慮なく飲み食いするぞ」

「ヒャッハー!タダ酒だぜ。ガハハハッ!悪いなギン」


途端にご機嫌になっていく二人、俺も今から『猫宿』って事でテンション上がるぜ。


3人テンション高いまま『猫宿』に足を運び店に入るとこの前と同じで開店直後みたいで店に客はいなかった。案内してくれた給仕の子に銀貨1枚渡してビールを3つ頼む。この辺は前回の師匠の真似だけど。そうして3人でしばらく酒を飲み飯を食べながら、どの子にしようか考えていると、いきなり耳を引っ張られた。


「私の伝言聞いてないの?ハマるなって言わなかった?」


軽く呆れた感じのエレナが俺の耳を引っ張っていた。


「いててて、やあ、エレナ。伝言はちゃんと聞いたって。まあ今日は少し稼いだから大丈夫だって」

「ギンは新人でしょ?稼いだって言ってもせいぜい銀貨1枚ぐらい、うちの支払いに全然足りないじゃない」


新人なんて依頼の達成報酬が少ないからな。エレナが心配する理由も分かる。


「よお、エレナ!ギンの言ってる事は本当だぜ。俺ら今日金貨1枚ずつ稼いだからよ」


師匠の言葉に驚くエレナに今日の事を説明すると、お金がある事には納得した様子だが俺が来ている事は納得できていない様子だ。


「今日はギンに『猫宿』がどんだけ贅沢か分からせる為に来たから、ギンの今日の支払いは自腹だ。勉強よ。勉強。これで少しは落ち着くだろ」

「はあ~。そう言う事なら許してあげるけど、それでもあんまりハマったら駄目よ。」


むしろ店員としてはハマってお金を落としていった方がいいんじゃないか?とも思ったが、エレナの考えがよく分からないので、地雷は踏まないように黙っていた。


「それでどうする?ギース決まったか?」

「う~ん。エレナ「ごめんね」だよな~。じゃあエレナのおススメで」


エレナに即断られても落ち込む事はなく、ギースさんは本当に軽い感じでにエレナに女の子を選んでくれるようにお願いする。


「そうね、だったらこの間ガフが誘った子はどう?あの子達まだ慣れて無くて。って言ってもあれからまだ2日だから仕方ないんだけど」

「って事は俺はギースがこの前誘った子か、まあいいぜ」


おお、なんか手慣れた感じで女の子を決めていく二人はすげえ大人に見える。


「ギンはどうするの?」


本当はエレナと言いたいがお店のルールで連続指名は駄目らしい。どうするか。


「悩むなら私が決めていいかしら?」


中々決められない俺にエレナから提案されたので、特に断る理由も無いというより、俺では決められないので了承する。




「ああ、ガフにギースじゃない。久しぶり!一昨日久しぶりに来て新人教育してくれたんだって、ありがと!あたしそん時休みだったから後から聞いたよ」


エレナが離れるとすぐにブロンドの明るいお姉さんが親しげに師匠達に話しかけてきた。


「おお、スーティン。久しぶりだな。それより聞いたぞ。おめでとう」

「久しぶりじゃねえか。そうだな、やったな、良かったじゃねえか」


スーティンと呼ばれたブロンドのお姉さんに師匠達が「おめでとう」とか言っているが、俺には何の事か分からない。


「えへへ。二人ともありがと。それで?どっちが私の相手なの?」

「いや、今日は俺らはま~た新人教育だよ。客に新人教育させるってこの店大丈夫か?」

「そう言って文句言ってもやってくれるのがあんた達じゃん。他の客はお願いしてもあんまりやってくれないから、ベテラン勢はあんた達に感謝してるよ。別に強制じゃないんだからあんた達も嫌なら断ればいいじゃん。」

「いやあ、脅し以外でギースのこの怖え顔が役立つと思うとな。ガハハハッ」

「てめえも人の顔の事言えねえぐらい極悪人顔じゃねえか。まだ俺の方がイケメンだよな。ブハハハハ」


いやあ、どっちもどっちだと思うけどなあ、それ言うと思いっきりどつかれそうだから言わないでおこう。


「どっちもどっちだよ、それであんた達じゃないなら私の相手は・・・この子?」

「ああ、ギンって言って俺の弟子だ。お前らには『最長』って言った方が分かるか」

「へえ~。あんたが噂の『最長』ねえ。思ってたより若いね。しかもあのエレナが誘いに乗ったらしいじゃない。へえ~」


値踏みされるようにジロジロ見られる。特に下半身を。ちょっと恥ずかしいんであんまり見ないで下さい。取り合えず代金の銀貨1枚を手渡す。


「こいつエレナで童貞捨てたばっかりだから、優しくリードしてやってくれ。ガハハハッ」


師匠は何でも無い事のように、とんでもない事を暴露する。


「ああ、エレナで童貞捨てるって『最長』はタダモンじゃないわねって聞いた時は思ったけど、今から実際に体験してみるから期待してるよ」


しかしその暴露はスーティンは知っていたみたいで特に驚く事はなかった。それよりも俺がエレナで童貞捨てたって広まってんの?しかも今日でまだ2回目だから期待されても困る。


「そう言えば昨日は童貞どもがエレナ目当てで店に大量に来て、少し機嫌が悪いんだよねえ、ギンって言ったよね、次回はエレナ誘って、機嫌直してあげてね」


そう言って俺の腕をとり階段を上がっていこうとするので俺は前回エレナに注意されたように腰に手を回す。師匠達もそれぞれ女の子の腰に手を回して階段を上がっていく。


「ふう~。」


部屋に案内されるなりベッドに腰かける。前回よりは緊張していないがそれでも『前回よりは』だ。メッチャ緊張している事には変わりない。


「アハハ!何でそんなに緊張してんのさ」

「スーティンさんみたいなキレイな人とくっ付いてたら緊張しますよ」

「アハハ!本当に面白いねキミ。ただし敬語は禁止、名前も呼び捨てね。こういうお店ではそれが普通だから」

「分かった。スーティン」

「宜しい!じゃあ体洗うから服脱いで」


そう言ってエレナの時と同じようにスーティンはさっさと全裸になる。すごいな。エレナもだけどこの人達裸になるのに躊躇いがないな。そうして、また服を脱がされて風呂で体を洗われた後、2回目を経験した。





「ええ?スーティン結婚するの?」


スーティンとベッドの上で休憩しながらスーティンの身の上話を聞くというか聞かされている。俺から聞いた訳ではない。


「そうだよ。常連の騎士様に見初められてね。えへへへ。まあ玉の輿って奴。だからお店やめるまでの残り約1ヶ月死ぬ気で働いてお金貯めるんだ」


結婚するのにまだこの店で働いててもいいのか?旦那になる人は何も言わないのか?色々疑問が浮かぶが、当人同士が納得してそうなので部外者は何も言わないでおこう。


「そうか、おめでとう。って事は結婚したら貴族様になるの?」


騎士様って事は騎士爵を持っているはずだから一番爵位が低くても貴族のはずだ。その貴族に平民から嫁ぐなんてこっちの世界では玉の輿なんだな。


「そうだけど、騎士爵の嫁だからねえ、平民みたいなもんだね。旦那がどえらいヘマしてクビになったり、贅沢しない限り金に困らないのが良い事だけどね」

「だからさっき師匠達がお祝いしてたんだ。そうか」


さっきの師匠達のやり取りを思い出す。


「そうだね、あいつらぐらいだよ心からお祝いしてくれたの。やっぱり良い奴過ぎるよね。あれで顔が普通ぐらいだったらモテモテなのにもったいない」

「へえ~師匠達人気あるんだ?」

「まあ、顔さえよければなあ~って残念がってる子は多いね。君も良い師匠に当たったね」


師匠を褒めてくれるスーティンの言葉に思わず嬉しくなってしまう。


「そうなんだよ。1日で金貨1枚の価値があるぐらい指導して貰っているんだよ。師匠とギースさんには感謝してもしきれないって」

「へえ~。ギンは分かっているね。あんな顔しているから新人は怖くて誰も近寄らないのに・・・実際あいつらが気にかけようとした新人はみんなあいつら避けてたけどね」


スーティンから意外な事実が明らかになった。マジか?確かに二人とも顔怖いけど、指導はしっかりしているし、かなりタメになる話も教えてくれるぞ。そんな師匠達を避ける新人って大丈夫か。


「そういう奴等の大半死んじゃったけどね。それで悲しさを紛らわす為か、あの二人はよくこの店に来て常連になったんだ」


避けてた奴が死んで何で師匠達が悲しむんだよ。師匠達ホントに優しすぎだろ。


「でも一昨日からギンと3人でこの店に来ているってのが見れただけでも、『猫宿』のベテラン勢は嬉しくなるね。あの二人が新人と楽しそうに飲んでいるなんて今まで見た事無かったからさ」


そう言われると少し嬉しくて泣きそうだ。俺と出会ってから二人はいつも楽しそうだったけどそういう理由もあったのか。ますます二人に感謝だな。そしてそんな嬉しくなるような話を聞かせてくれたスーティンにはお礼がしたい。


俺はベッドから出てカバンからワインを取り出す。


「スーティンこれやるよ。まあ結婚のお祝いってやつ。味は師匠とギースさんの保証付きだから安心していいよ」

「へえ~。あの二人っていうかガフの保証なら美味しんだろうな。明日でも旦那と二人で飲むよ。ありがと。・・・・・それでまだ時間あるけど、どうする?」


俺をベッドに引き込みながらスーティンは聞いてくるので、答えは勿論。


「する」


本日2回目。


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