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影魔法使いの冒険者  作者: 日没です
2章 水の国境都市の新人冒険者
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19話 指導3日目

3人で話しながら街まで戻り、ギルドで依頼達成の報酬を貰いに行く。湧水納品の報酬は言われた通り銅貨1枚だった、スライムの魔石納品の報酬も銅貨1枚だった。安い!ただラチナの実の納品は銅貨5枚だったので今日の報酬は合計銅貨7枚、半日で7千円と考えると、まあ稼ぎはいいんじゃないかな。


「銅貨1枚か。やっぱり割に合わないな」


ギースさんが報酬の銅貨1枚を見ながらぼやいている。新人依頼はどのランクの冒険者でも常時受け付けているらしく、金が無くなった冒険者の救済という名目となっている。実際は割に合わなくて依頼を受ける人は少ないが、報酬自体は欲しがるポーション職人が多いので、常時受け付けているそうだ。それなら報酬高くすればいいのにと思ったが、そうするとポーションの値段が上がって冒険者が困る事になるので、報酬は上げられないらしい。


「そうだな。やぱり銅貨1枚はきついな。飯代にしかならねえ。まあ今日は訓練してここで飯食って帰るか。」




師匠にそう言われて訓練場に向かい訓練を開始するのだが、今日は次の手をあらかじめ考えながら師匠に攻撃するようにした。最初は少し驚いた師匠だったが俺の攻撃パターンが同じなのかすぐに軽く躱されてしまい、結局今日も師匠に攻撃を当てられなかった。明日は更に3手目まで考えてから攻撃するように指導された。30分ぐらい訓練してからギルドに戻りギルド内の食堂で注文して食事をするが、報酬が割に合わないって言ってる癖に何故か二人ともビールを頼んでる。俺も付き合いで何となくビールを頼んだが、相変わらず苦くて美味しくない。ただ、美味しくなくても付き合いで飲んでるってのは大人になったみたいだ。


「よお、ガフ!グヘへ」


俺達が飯を食べていると師匠に下品な感じで話しかけてくる冒険者2人。片手にビールのジョッキを持っていて少し酔っぱらっているみたいだ。


「おう?何だ。お前ら北の村まで行ってたんじゃねえのか?」

「その依頼は昨日終わったよ。それよりもなあ?ガフ?昨日何か大金手にしたらしいじゃねえか?」


その一言に俺はドキリとする。


昨日のワインの事は俺は誰にも言ってないぞ。ギースさんか?この人酔うと口が軽くなるって言ってたし、見た感じだと表情変えてないから分かんねえな。しかしこいつらそれを師匠に言いに来て何がしたいんだ?カツアゲとかかな・・・いやどう見ても師匠とギースさんの方が強そうだけど。まあ実際はよく分かんねえけど、何かあったら影魔法使って助けよう。


「何だよ。もう知ってんのか?誰から聞いた?」


師匠からは知られてる事を特に気にした感じはしない。


「へへへ。そりゃあ秘密だよ。それよりいくら手に入れた?」

「ハッ!そんな事お前らに言う訳ねえだろ!まあ情報漏れたのは商業ギルドだろうな。あそこの情報管理どうなってんだ。商人は口が堅えってのは出鱈目だな。それより何だ?」

「へへへ。いやちょっと俺らにもガフの幸運を分けてくんねえかと思ってな。」

「はあ~。あんまり他で喋んなよ。お~い!こいつらにビール二つ!」


ただのタカリだった。師匠はビールを持ってきた給仕の人に代金を払うと、二人にジョッキを渡して、あっちに行くように言ったのだが、


「げへへ。わりいなガフ。それよりも『最長』には金渡さなかったのか?一緒に見つけたんだろ?」

「渡すわけねえだろ!俺が見つけたんだから俺のもんだ!まあ少し手伝ってもらったから昨日『猫宿』奢ったけどな。それで十分だろ、むしろ奢りすぎたと思ってるぜ」


師匠はメッチャ噓言ってるが、すぐに『念話』で話合わせるように指示されたので、取り合えず黙っている。


「ガハハハッ。ひでえな。『最長』、お前は少しぐらい怒ってもいいぜ。誰が見つけようがパーティ組んでるなら報酬は人数割が普通だからな?」

「ホントですか?師匠!どういうことですか?俺にも少しお金下さいよ!」


話を合わせる為に師匠に詰め寄る。実際は本当に半分こしたから当然演技だけど。


「ああ?明日また『猫宿』奢ってやろうと思ったけど、ギンがそう言うならやめるか」

「あっ、嘘です師匠。やっぱり分け前いらないです。『猫宿』がいいです」


ちょっと、・・・いやかなり本気で『猫宿』行きたい。一人で行け?まだそんな勇気はない。


「ほら、お前らさっさとどっか行け。これ以上ギンに余計な事吹き込むな」


俺達のやり取り見てゲラゲラ笑っている二人に手を振ると、二人は大人しく離れていった。


「はあ~。全くバレるの早すぎだろ。マジで商業ギルドに迂闊なもん売れねえな」

「やっぱり売るなら信用できる店だな」


二人が話している中俺はメッチャ後悔していた。


ヤベえあのクソムカつく国の兜売ったのマズかったかな?あれは本物だと思われてなかったから大丈夫か。それより初日に絡んできたあいつらの装備売った方がマズかったか。


(おい!ギン!お前やっぱり酒を金に換えるのは少し待て、金に困ったら俺が酒買い取ってやるから勝手に売るんじゃねえぞ!)


俺が後悔していると師匠から『念話』で注意される。


(それって師匠がお酒飲みたいだけなんじゃ・・・)

(いや、それもあるけどよ。俺らはそこそこ実力があるって認識されてるから絡んでくる奴はいねえけど、ギンはまだまだ新人だから絶対絡まれるからな)

(まあ、まだお金に困ってないですから、売るつもりは無いんですけど、売るとしたらどのくらいのランクになってからがいいですか?)

(そうだな。まあEランクになってからだな。それでもまとめて売るのはやめとけよ。)




「そんで明日はどうするか。ギン、依頼の板出せ。」


『念話』での話が終わると師匠から指示されたので、リュックに入っている依頼の板を机に並べると、師匠が終わった依頼の書かれた板を横にどけていく。


「はあ?マジか、まだ3日目だろ!」


ギースさんが驚くが何で驚いているのか分からない。


「まあギースが驚くのは分かるが、ギンは小さい頃から親の狩りに付いてったんだとよ。それで何となく森の事に関しては勘が鋭くてな。こいつ簡単に薬草とか見つけるんだよ。まあ戦闘は駄目駄目だけどな。それにそんなに驚かなくても新人依頼ならちょっと早いぐらいじゃねえか」

「まあ、言われてみればそうか。ガフも付いてるから少しぐらい早くても不思議じゃないか」


師匠の説明にギースさんは納得してくれたらしいので、本題の明日の依頼の話を始める。


「明日は蛙にするか、で、時間があれば蝙蝠だな。北の門に7の鐘集合な。ギースはどうする?」


「暇だから付いてくぞ。俺が討伐した奴はギンにやるから心配するな」


まあいつもの様に師匠に予定を決められる。ギースさんも付いてくるようだけど、討伐した奴俺にくれるのか、すごい助かる。明日はお酒でも奢ろう。そうして俺はギルドを出た所で二人と別れてから広場に向かい駄目になった靴の代わりを買った。値段は銀貨1枚、少し高かったが丈夫と言われたので購入を決めたけど完全に赤字だ。その後はいつもの安宿に泊まった。



◇◇◇

『自室』で布団に入り俺は考えていた。


二人とも今日は『猫宿』行ったのかな。行ってんなら誘って欲しかったけどまあ今更だな。明日は師匠本当に『猫宿』奢ってくれるんのかな、それともあれは演技だったのか。う~ん昨日の今日でこんなに『猫宿』行きたくなるとは、エレナの忠告守れそうにないな。困った。


モンモンとした気持ちを抑えながら我慢して寝た。


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