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影魔法使いの冒険者  作者: 日没です
7章 大森林のBランク冒険者
154/163

144話 大聖堂の戦い②

キリがいいと思って分割したら短すぎました。

「ズルルッ!」


俺に向かって歩いてくる金子が鼻をすする音がした。これは・・・来たのか?


「チッ!土屋と遊びすぎて体が冷えたか?鼻水が・・・う・・・う・・・うえええええ」


 風邪でも引いたと勘違いしてブツブツ言って歩いてくる金子が、いきなり口から液体を吐き出した。ただ、それは液体のように見えたが、地面に落ちても濡れて広がる事はなく、痕跡を何も残さず消えるだけだった。そして、これこそが俺がずっと待っていた状態だ。


「ペッ!ペッ!・・な、何だいきなり吐き気が?」


 戸惑っている金子に向けて更に俺は影で攻撃を加えると、金子は当然のように俺の影を吸収して無傷で立っているが、


「お・・・おえええええええ」


 すぐに口から同じ液体を吐き出した。


「土屋!てめえ一体何をした!!!」


 俺は最初の段階から仕込んでいた作戦が上手くいったので、顔のにやつきが止められない。それを見た金子は俺が何かしたと気付いて怒って文句を言ってくる。金子の怒った顔を見ると嬉しくなってくる俺も人の性格にケチ付けれないな。


「ようやくか、てめえの最大MPどんだけだよ」


 言いながら俺は眩暈を耐え倒れないようにゆっくりと金子に向かう。


「ま、まさかずっと影で無駄な攻撃してたのは・・・」

「ああ、それが理由の大半だ。まあ、影の攻撃が入ればラッキーぐらいは思ってたけどな」


 最初に影を吸収された時に金子の魔力切れは諦めた。その理由はこいつの闇魔法に対抗するには影を纏っていないといけないから、どうしてもどこかで吸収される可能性が高いと考えたからだ。そして逆に魔力が全快したらどうなるのかを考えたら、後は賭けに出るしかなかった。賭けに出る前に物理攻撃で殺せたら良かったんだけど、思いの他強くてヤバかった。まあ、金子は俺を舐めてたから何とかなったが、これで油断せずに来られてたら俺が殺されてただろう。しかも全快させるまでにこれだけ時間がかかったって事は教国の奴等の洗脳にかなり魔力使っていたみたいだ。結果論だけどもう2~3日して金子の魔力が全快してから来るべきだった。そしたらここまで苦戦しなかっただろう。


「ハハハハハ、だったら魔法を使いまくれば問題ねえ!」


 金子が闇を広げるが、


「俺がそれを許すと思ってるのか?」


 影で金子を攻撃すると、慌てて闇が金子に戻っていく。そして、


「う、うええええええ」


 三度目の嘔吐。ただ、金子の奴嘔吐しながらも闇で俺の影を吸収し続けてるとは何てヤローだ。このまま影でトドメと行きたい所だけど、このままじゃ無理そうだな。俺は影から短剣を取り出す。


「うぷッ!・・・ハァ・・・ハァ・・おえっ!ちょ、ちょっと待て!」


 口や鼻から液体を流しながら焦る金子。俺がずっと影で攻撃し続けてるから仕方ないけど。


「これで終わりだ。全く手間かけさやがって」


 先程から嘔吐してまともに武器も持てない有様の金子に短剣が届く距離まで近づく。




ザシュッ!


「クハハハ、馬鹿が油断・・・・うえええええ」


 見ると、俺の腹に剣が生えていた。金子の奴マジックボックスから取り出して刺したのか?血が足りない影響か頭が回っていないので、刺されてから気付くなんて何てマヌケだ。ただこれも最後の悪足掻きだが、すぐに嘔吐して剣から手を離したので俺は顎から脳に突き刺す様に短剣を突き上げる。首も心臓もすげえ固い防具で固められてるならここしか思い浮かばなかった。


「ひいいぃ!」


ドシュッ!


 俺の攻撃は金子の両手の甲を貫通した所で止められた。止められたが、俺は更に剣を持つ手に力を入れる。金子も手を押さえつけて懸命に抗う。


「くそ!くそ!ま、待て土屋!分かった!俺の負けだ!謝る!許してくれ!」


 口と鼻から液体を撒き散らしながら金子が負けを認めて、何故かあいつらと同じように俺に謝ってくる。


「だから俺に謝ってどうする?お前らが謝るのはドアールのみんなやノブ達だろ?」

「くそおおお!死ぬ!マジで死ぬ!!・・・土屋ああ!!!頼む!!嫌だ!助けてくれ!」


 これが火事場の馬鹿力って奴か。手の甲を貫かれているってのにすごい力で抵抗される。ただ、俺も口にした事でドアールのみんな、ノブ、エレナを思い浮かべ更に力が入る。





「ああ!!痛い!いひゃい!・・・が!!」


 ある程度短剣を突き刺した所で唐突に抵抗が無くなりそのまま短剣を突き入れると、金子はピクリとも動かなくなった。多分死んだと思うが、念の為、頭の中から影で貫いてみる。金子の顔がウニみたい黒い棘だらけになったけど、流石にここから回復はしてこないだろう。・・・復活が怖いので、金子を影で包み装備を回収、首を落とした途端、安心したのか体から力が抜けた。血を流し過ぎて少し無理し過ぎたのもあるが、よく見れば腹にまだ剣が刺さったままだった。ポーションを飲もうとするが、意識が遠のいていき、俺は気を失った。

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