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影魔法使いの冒険者  作者: 日没です
7章 大森林のBランク冒険者
152/163

142話 最後の火の国の悪魔

「おかしいな?『聖地』のど真ん中『大神殿』にこれだけ目立って飛んできたってのに、誰も出て来ないな」

「う~ん。確かにおかしいわね。私がいた時はそこら中に神殿騎士や神官がいたのに、今は全く見えないわね」


 『聖地』の『大神殿』、他の国で言えばいきなり王城に空から降り立ったのだから、すぐに兵に囲まれると思っていたのだが、予想に反して誰も出てこない。この国に召喚されたレイも不思議がっているから普段から人が少ないって理由でもないみたいだ。


「まあ、無駄な殺生はしないで済んでよいじゃろう。それよりもお前達はこれからどうするのじゃ?」


 フェイの奴囲まれてたら容赦なく殺すつもりだったな。火の国と違ってこの国の兵士や神官は何も悪い事してないから、簡単に殺そうとするなよ。


「俺達は金子を探すぞ。フェイ達は白塔に行って溝口を起こすのか?」


 俺の問いにフェイは大きく首を振る。


「いや、先に教皇を捕まえる。あやつが今回の勇者召喚で色々暗躍しておったんじゃろう。もしかしたらアンナが眠っておる装置に何か悪さしておるかもしれんし、アンナを起こしている時に襲い掛かって来られても面倒じゃからな。後は大森林に攻め込んできた罰を与えておかんとな」


 そう言って意地悪そうに笑うフェイ。これは相当教皇に頭に来ているな、教皇と言ってもアレスでさえパシリに使うフェイにはそんな地位は関係ないだろう。教皇の悲惨な未来に合掌しておく。


「じゃあ、教皇の居場所が分かるまでは一緒でいいな、レイ、教皇や金子の居場所を知っていそうな人がいる場所に案内してくれ」



 そうして移動を開始すると、すぐにレイが知り合いを見つけた。しかしすぐに見つけたと言っても人いなさすぎじゃないか?今まで見たのってレイの知り合いのこの人だけだから少しおかしいぞ。


「クラルギさん。お久しぶりです。」

「・・・ああ、レイ様お久しぶりですね。亡くなられたと聞いていたのですが、ご無事で何よりです」


 こちらに歩いてきた神官にレイが声を掛けると、普通に挨拶してきたけど、おかしくないか?


「え?ええ・・・えっと今っておじい・・・じゃなくて教皇様はどちらに?」


 あまりにも普通の対応にレイも戸惑っている。普通死んだと思っていた聖女がいきなり帰ってきたらもう少し驚かないのか?それともレイが生きていたって知れ渡っている?それなら教国から何かしらの接触があってもいいんだけど・・・よく分からんな。


「教皇様は自室か政務室か恐らく白塔のどこかだと思います」

「そう、ありがとう。そう言えば勇者カネコってここにいる?」


 レイの質問に全く不審な態度を見せずに答えるクラルギとかいう神官、別に何か企んでいる様子でもなさそうだ。そしてレイの次の質問の答えに俺達は固まる。


「ええ、いらしてますよ。今は恐らく『大聖堂』にいらっしゃると思います」

「な!!い、いるの?」

「ええ、数日前からこちらに滞在していますよ」


 思わず大声で詰め寄るレイだが、俺達もかなりあっさり居場所が分かった事に驚いている。結構隈なく探す覚悟もしていたのだが、まさかこんなに簡単に見つかるとは・・・もしかして罠か?


「仕事がありますので」と言って離れていった神官を見てから俺達はこれからについて話し合いを始める。


「ねえ、今の人おかしいんじゃないかな?死んだと思っていたレイちゃんが帰ってきたっていうのに全然驚いてなかったよ」

「確かに死んだと思われてた聖女が生きてたら大騒ぎになっても可笑しくないのに、どう言う事かしら?」


 俺も感じた違和感をヒトミと水谷も感じたようだ。レイもさっきの会話で可笑しい事には気付いている。


「恐らく洗脳されておるな。ここに来て全く騒ぎが起きていない事を考えると、少なくとも『大神殿』にいる連中は全員洗脳されていると思っておいた方がいいだろう」


 俺も金子がここにいると聞いた時点でその可能性も考えていたが、フェイもそう思うなら正しいと判断していいだろう。


「た、大変じゃない!それなら解除しないと」

「レイ、待て。今解除したらここにいる奴等が襲ってくるかもしれないから金子を殺すまでこのままでいい」


 洗脳を解除しようとしたレイを慌てて止める。洗脳された連中がどこかで罠を張っている可能性もあるが、少なくてもさっきの神官みたいに敵対してこない奴もいるので、しばらくこのままにしておくのがいいだろう。下手に解除した奴等が混乱してそのドサクサで金子が襲ってきても面倒だ。


「教皇は『白塔』のどこかにいるらしいから、フェイ達はそっちに向かうだろ?」

「当然じゃ。あの地下にアンナが眠っておるから丁度いい。最上階から下に降りながら追い詰めていく事にするわい」


 ミラかフェイの風魔法でも使って最上階から攻めるのか。教皇もまさか最上階から攻められるとは思ってないだろう。もしかしたら突入したら目の前にいるかもしれないな。


「レイはどうする?教皇に用があるんだろ?フェイ達と行くか?」


 俺の質問にレイが首を振る。教皇に色々文句を言いたいって言っていたけど、もういいのかな。


「ギンジ達は『大聖堂』の場所知らないでしょ。私が案内するから、教皇は殺さずに生かしたままにしておいて、待木君、お願いね」

「わ、分かった」


 いきなり話を振られたからなのか、レイの圧に押されたのか待木が約束してくれた。これでフェイとミラが教皇を殺そうとしても待木が止めてくれるだろう。『白塔』の方はここからでも見えているので案内しなくても辿り着けるだろう。


「それでは、儂等は教皇を懲らしめた後、白塔の地下でアンナを起こしておるからな、終わったら来るがいい」


 そう言ってフェイは待木の腕を掴むと風を纏わせて白塔の頂上に飛んでいった。便利だな風魔法。ミラも背中から黒い羽だけ生やした状態で後をついて飛んでいった。


「こっちも行くか。レイ、案内頼む」


 こうしてフェイ達を見送った後、俺達もレイの後について行き大聖堂に向かった。向かっている最中にも相変わらず人とほとんどすれ違う事は無かった。すれ違っても特に怪しまれる事もなく会釈されるだけだった。


「ここよ。ここが大聖堂だけどここに人が全くいないなんておかしいわね。普段は神官とか関係者が入りきれずに溢れるぐらいいるんだけど」


 大聖堂まで案内してくれたレイが困惑した顔で疑問を口にする。ここまで人がいないのはおかしいが、その理由について俺は最悪な答えを考えている。それが合っているかはこの先にいるだろう金子に聞いて答え合わせをするつもりだ。



 そして扉を開けて中に入ると大聖堂だから何となく教会にあるような机やイスが並べられていると思っていたが何も無かった。いや、正面に立派なイスがあり、そこに教国の神官服を身につけた金子が1人偉そうに座って本を読んでいた。っていうかこいつは1人で何してんだ?もしかして強者感を出そうとして俺達を待っていたんだったら、こいつも相当な厨二病だぞ。


ブワッ!!


 そうは思っても正面にいる金子の姿を見つけると、事前の作戦通りガルラ以外は魔法を体に纏う。これで金子の闇魔法の影響は受けないはずだ。ガルラは話をしないように命令してあるから問題ない。


「よお、遅かったな。それで火の国は滅ぼせたか?」


 金子は読んでいた本を閉じると、いつものように人を馬鹿にしたような笑いを浮かべ俺に聞いてくる。ガルラにあれだけやられていたのに、何故こいつはこんなに余裕そうなんだと疑問が浮かぶ。


「ああ、後はお前を殺せば俺の復讐は終わりだ」

「ククク、それじゃあ絶対終わんねえじゃねえか」


 俺の言葉に面白そうに笑いながら答える金子に嫌な予感を感じる。冒険者としてなら、師匠の教えならこういう予感は間違っていてもいいから信じて撤退だが、金子を目の前にしてそれは出来ない。というか撤退を選択しても悪い予感しかしない。


「いや、今日でお前を殺せば俺の復讐は終わる。今まで罪も無い人達の命を奪ってきたんだ諦めてここで死ね」


 嫌な予感はするが、それを気にせず足を進めながら金子に話しかける。金子も俺に状態異常を仕掛け効かなかった事に気付いたのか首を傾げている。


「土屋、お前には出来ねえよ。逆に返り討ちにしてやるよ。っと、その前に獣女!まずはてめえからだ!お前には2回もやられたからな、ここで殺してやるよ」


 そう言って金子はようやく椅子から立ち上がる。その余裕そうな態度に不思議そうな顔をするガルラ。あれだけ力の差を見せつけられてここまで偉そうにできるのが理解できないようだ。俺も理解できねえ。また何か悪だくみでもしているから警戒を強めるが、マップでは伏兵や罠なんかの異常は見えない。


「主殿、私をご指名みたいだから行かせてもらうぞ」

「カハハハハ、別に全員でかかってきても構わねえぜ」


 だからこいつの余裕な態度は何なんだ。嫌な予感がどんどん膨れ上がってくるが、ガルラは構わず1人で前に出て愛用のこん棒を肩に担いで構える。普段は滅多に構える事が無いガルラが構えるって事は何かしら警戒をしているようだ。


「じゃあ、行くぜ」


 腰に付けた剣を鞘から抜いた金子はそう言って姿を消した。


・・・速!!

ガキン!!!


「ぬうう!」


 一瞬金子の姿を見失ったが金属音が響いたのでそちらに目をやると、ガルラと金子が切り結んでいた。しかも金子は余裕そうな表情をしているが、ガルラは少し苦しそうだ。


 マジかよ!ガルラが押し込まれているじゃねえか。金子の奴この短期間でどうやってここまで強くなったんだ!


「ククク、アーッハハハ!どうした獣女!弱くなったんじゃねえか!あの時みたいに俺を圧倒して見せろよ!」


 余裕そうな顔で金子がガルラを挑発するが、ガルラは何も言い返さず必死で押し返そうとしている。俺達は金子がこの短期間でここまで強くなっている事に戸惑っていた事でガルラの助けに入るタイミングが遅れた。


「あー。俺が強くなりすぎてつまんねえわ、これ」


 笑っていた金子だったが、すぐに飽きたのかそう言ってガルラのこん棒を簡単そうに弾く。俺でも弾き返す事は出来るが、それは『身体強化』使って全力を出してどうにかって所だ、あそこまで簡単そうには出来ない。


「なっ!!!」


 簡単に弾き返された事に驚くガルラだったが、次の瞬間には金子の剣がガルラの脇の下から上へと跳ね上げられ、こん棒を握った右腕が宙を舞った。


「ぐあああああああ!!!!」

「うるせえよ」


金子がいつもの調子で言うと今度はガルラの背中から剣が生えて来た。そしてそのまま横薙ぎに剣が振るわれ、ガルラの体は半分程切り裂かれた。


「・・・すまん・・・主・・ど・・の」


 誰も動けなかった。俺もレイ達もそして人一倍ガルラを慕うフィナでさえ、あそこまでガルラを圧倒した金子の強さに驚いて、金子がガルラを蹴り倒すまで誰も動けなかった。そして金子に蹴られて地面に倒れたガルラから血が広がるのを見た瞬間、何故かあの時のエレナを思い出し、俺は我に返った。


「金子!!!!!てめえええええええ!!!」

「ハッハッハ、次は土屋か!」


ガキン!!


 俺の力任せの攻撃も金子に片手で止められる。今ガルラ相手にしていたのを見たはずだが、やはりこの光景は夢なんじゃないかと思ってしまう。


「があああああああ!!!!」

「ハッハッハ、ほら頑張れ!獣女に負けてるぞ」


 俺は今『影』を纏っているので『身体強化』使っている時と変わらない強さのはずなのに、それでも金子はかなり余裕そうに俺を挑発してくる。


 これじゃあ、駄目だ。このままだとガルラのように俺も負ける。そうなると多分全滅だ、レイもヒトミも水谷もフィナも全員殺される。そう思った瞬間俺は『身体強化』も発動させた。フェイと戦った時以来で全く練習していなかったが、普通に出来た。


「おらああああああああ!」

「・・・チッ!!」


 これでようやく力が五分になったのか、金子が舌打ちして俺から距離をとる。


「全員!家の中に入れ!フィナ!ガルラを頼む!」

「土屋、あんたは?」

「水谷!俺の事はいいから早く家に入れ!」


 扉の前で家に入るのを躊躇う水谷に大声で命令する。流石にこっちも余裕がない。


(ガルラ、フィナ、家に入ったら中から誰も出すな。お前達も出てくるな!命令だ!)


 俺はガルラ達に初めて誰からも言われる事無く自分の意思で命令をした。自分からは絶対にしないと決めていたのに、すごい嫌な気分になる。


(くっ!主殿!恨むぞ!)

(後から苦情は聞いてやる。フィナ!『探索』で安全が確認出来たら出てこい)

(・・・分かりました)


 ガルラからは案の定苦情を言われたが、無事助かったみたいで良かった。フィナは少し距離を感じる言い方だったな。そんな態度をとらせた自分に嫌になる。


「よお、終わったか?」


 全員が家に入った所で、金子が相変わらずのニヤケ顔で馬鹿にしたように聞いてくる。


「待っててくれたのか?余裕だな?」

「ああ、ちょっと自分でもびっくりするぐらい強くなってたからな。今から土屋を殺すのも特に問題なさそうだしな。それに獣女に復讐もしたし、元々他の連中にはあんまり興味ねえしな」


 ニタニタしたムカつく顔でムカつく事を言ってくるが、まあいい、こうやってペラペラ自分から色々喋ってくれるみたいだから話を合わせてやろう。


「てめえ、いったい何人『吸収』した?」

「ククク、アハハハハ!何だよ、もうバレてんのかよ。数は覚えてねえな。この国の兵士と神官共は最低限残して『吸収』していいって言われたからな」


 俺の言葉に否定する事なく、金子はご機嫌でネタバラシしてくる。


やっぱり俺の思った通りだ。あの時藤原の死体を持っていったのがずっと頭に残っていた。その可能性も考えて一度フェイにも聞いてみたが黒川は人を『吸収』した事は無いし、そう言う事が出来ると聞いた事もないと言っていた。ただ最悪の可能性は考えていた。


「闇魔法はそう言う事が出来るなんて聞いた事ないけど、誰から教えて貰った?」

「ジジイ・・・って言っても分からねえか。この国のトップの教皇ってジジイだ」


 やっぱり教皇か。フェイでも知らない事を金子が知ってる訳ないもんな。教皇かそれに近い位の偉い奴だと思っていたけどどうやら正解みたいだ。余計な事ばっかりしやがって、よく考えれば教皇ってのが暗躍してなければノブ達も死ななくて良かったのかも・・・いや、今はそう言う事を考えている場合じゃねえな。


「何でそのジジイが知ってるんだ?お前の闇魔法って建国王妃以外使えた奴はいないって話だぞ?その建国王妃も『吸収』使えたなんて話は聞いた事ねえぞ」


 フェイからは『皇帝』と『教祖』も『闇魔法』使えたって聞いてるけど、それは一般的に広まっていないのでこっちから教えてやる事もないだろう。


「昔いた『教祖』ってのが使えたらしいぜ。まあ教祖とは当時、話をする事は出来なかったみたいだが教国が捕まえた教祖の側近が話したらしいけどな」


 フェイは教祖を殺してすぐに引き上げたって言ってたもんな、側近とかは人任せだからそこから情報が洩れて、フェイが知らないのも無理はないか。


「それで?お前は何でそのジジイの言い様に操られてるんだ?」

「まあそう見られても仕方ねえけどたまたまジジイと目的が同じだっただけだ。お前等に風の国で負けた後は、俺は結構真面目に訓練していたんだぜ。それが火の国でああも圧倒されるなんて思わなかった。正直ムカついたぜ、ジジイから闇魔法のこの能力については前から教えて貰ってたけど、あんまり使う気にはならなかった。だけどこうまで圧倒されたら俺もなりふり構ってられねえからな。我慢して喰いまくったぜ。まあ、その頑張りのおかげでここまで強くなった」

「そう言うのは頑張ったとは言わねえ!チートって言うんだよ」


 得意げに話す金子にムカついてくる。こいつは強くなる為だけに何人を犠牲にしたのか、正直聞きたくねえし、興味もない。


「ハハハハハ、影魔法なんてチートスキル持ってる奴に言われたくねえな。それにさっきの扉みたいなの何だよ?あれこそチートじゃねえのか?」

「どっちも最初からついてたからチートとか言われてもどうしようもねえよ」

「そうかよ、まあ、チートなんて言っても最後には勝てばいいだけだ。遠慮なくこの力使わせてもらうぜ」

「そんなのに頼らずに素直に俺に殺されてろ。お前の仲間は全員金子がくるのを待ってるぜ・・・そう言えば、何であいつらも洗脳してんたんだ?」


 俺の質問に金子は驚いた顔に変わる。あいつら全員が人を殺す事に躊躇いなかったし、仲間に向かって魔法ぶっ放すし、それを見てゲラゲラ笑っていたから少しおかしいとは思っていたけど確信を持っていた訳じゃなかった。だけど、こりゃあ、正解みたいだな。


「おいおい、土屋、お前どこまで分かってんだ?・・・まあお前の言う通りあいつ等は俺の闇魔法で少し洗脳していたぜ。戦いで逃げ出そうとするし、人殺すのに躊躇うし折角の楽しい異世界が台無しだったからな。洗脳って言っても少し欲望に素直になるようにしただけだぜ。いやあ、そしたらよ!俺も知らなかったけどみんなすげえ欲望持ってたんだな。大久保とかメッチャどSだし、石井は捕まえた奴をオークとかゴブリンに犯させるのを見るの好きだったし、藤原なんて死体を集め出したんだぜ!マジで意味分かんねえよな?」


 ムカついてくるからやっぱり聞かなきゃよかった。


「それでお前と教皇はここまできて何がやりてえんだよ」

「教皇については知らねえ。ただ待木を生かして連れてこいって言われてるだけだしな」


 やっぱり教皇は待木ってより女神を使って何か悪い事考えてんな。まあそっちはフェイに任せておけばいいだろう。それよりもこいつだ、仲間を洗脳したりして何がしてえんだ?


「俺は世界征服には興味は無かったが、占領した街で好き勝手やるのも、やる奴等を見るのも楽しかったから、今度は教皇と一緒にやるか、自分で仲間を集めてやるつもりだ」


 最悪だよ、こいつ。いつものようにふざけた感じで答えるが、多分本当にたったそれだけの理由でやるんだろうし、闇魔法があれば出来るんだろう。こいつはもう生きてるだけで世界中を混乱させる存在だな。なら今の内にここで殺しておこう。


 俺は手に持つ剣に影を纏わせ握り締める。


「ハハハハハ、お喋りは終わりか?冥途の土産にまだまだ疑問に答えてやってもいいんだぜ。そうそう、お前の親友の津村を刺したのは俺だぞ」


 金子のその言葉に頭に血が上る。そう言えば・・こいつが・・・ノブを・・・殺してやる。


「ククク、アーッハハハ。いいぞ、その顔だ。お前にはその顔が似合っているぜ」


藤原にも言われたけど、こいつらは俺を怒らせるのが楽しく仕方ないようだ。そう考えると、こいつらの言う通りなのも癪だし、冷静になれって師匠の教えも思い出し、俺は一度深呼吸して気持ちを落ち着かせてから、金子へ攻撃を仕掛けた。

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