131話 決戦前
「いやあ壮観ですな。この場に獣人とエルフの長がいるとは、『建国王』様がいた時代以来じゃないですか」
サイの国の王様が笑いながらテーブルに座る面子を見て感想を口にする。王様が言うように今この場には火と光以外の各国の代表が座っている。水と風も一応代表として顔も知らない誰かが席についていてそれと各国の勇者・・・俺達からすればクラスメイトが座っている。そして獣人の族長のフィナが不安そうな顔をして、エルフ代表のフェイがしかめっ面で座り、その隣ではミラが楽しそうに待木と話をしているから凄い事なんだろう。各国の代表はこの3人に注目しているがクラスメイトは他の国のクラスメイトや俺達が気になるようで、さっきからキョロキョロして落ち着きがない。結局待木がお願いして無理やりついてきたので、当然護衛のフェイとミラもここグランツェに来ている。
「会議を始める前に言っておく事があります。獣人の里の勇者『吉永保』は今ダイエット中で役に立たないので今回連れてきていません」
俺の発言に全員から注目されるが、既にサイの国の王様には話はしてあるから問題ないだろう。砂と闇の代表以外は何で俺が獣人の里の事について発言したか不思議がっているようだが、フィナに獣人族の事は、お願いされてるんだから仕方がない。
「それでは、会議を始める。・・・と言っても事前に通告してある通り、『カークスの底』が最初に攻め込むと言う事で異論はないな」
◇◇◇
王様の言う通り、最初は俺、ガルラ、フィナの3人で攻め込み残り3人は後ろでフォローし、更にその後ろに味方の軍が配置される事になっている。それというのも全てフェイのせいだ。前日の打ち合わせで、フェイの奴最初俺一人で火の国の軍を相手にしてこいって言いやがった。
「そんなの出来る訳ないだろ。向こうは何人いると思ってんだよ」
「お前なら何人いようが関係ない。儂が保証してやる。大体小僧1人でも勝てるのにわざわざ無駄に兵を出して犠牲を出す必要もないじゃろ。それに小僧1人で相手すれば片付けも早くすむし、テツもアンナを目覚めさせたら我儘も言わんだろうから、儂も早く森に帰れる」
このババア、結局さっさと森に帰りたいだけじゃねえか。そんな理由で俺を危険な目に遭わそうとするな。
「ふう~。小僧が嫌なら族長の小娘がやれ。お前でも余裕じゃろ」
「わ、私ですか?!や、やります!」
フェイの奴いきなりフィナに話を振りやがった。しかも当然フィナはやる気満々で引き受けるし。
「いや、待てって。フィナも無理だって。危ないだろ」
「主殿、フィナなら大丈夫だ」
ガルラまで珍しく口を挟んできた。
「ガルラも何言ってんだ。駄目だ!危なすぎるから絶対駄目だ」
・・・あれ?何でガルラとフィナ、フェイとミラは呆れた感じで俺の事見てるの?
「お兄ちゃん、前から言おうと思っていたけど、自分もだけど私達の力を過小評価する癖があるよ」
「そうだな。更に言えば主殿は火の国や悪魔達を過大評価し過ぎている所もある。それで私達と主殿の認識が大きく違っているな。多分風の国で火の国の悪魔は全員討ち取る事が出来たぞ」
・・・・え?マジ?
「お兄ちゃん、忘れているかもだけど、私、ダリアスの手下100人相手にして勝ったからね」
「いや、あれはガルラが弱そうとか言って戦う事もしなかったから安心してたんだよ」
「あれでも族長の側近だよ。獣人の中でもかなり強い人達だよ?」
言われてみればそうだけど、でも・・・いや・・・もしかしたらがあるからなあ。
「私も出るのに主殿はまだ何が心配なんだ?」
「な、何で!お姉ちゃんが出る事になってるの!私1人でムグッ・・・・」
文句を言ってきたフィナを抱きしめていつものように強引に黙らせてるから、ガルラの奴このまま参加するつもりだ。いや、その顔フェイが話振った時から自分も出る気満々だったな。もうこれガルラもフィナも止まってくれないな。本当に二人の言う事を信じていいんだろうか。
・・・・・
「分かった。二人の言う事を信じて俺達3人で出る。但し危ないと思ったらすぐに撤退するからな。フェイ!ミラ!その時はお前等も手を貸してくれ!それが条件だ!」
「面倒だけど、今回は特別じゃ。まあ儂の出番は無いだろうがな」
「それでママが早く起きるなら喜んでやるのじゃ」
「私達は後ろでフォローすればいいんだね」
レイ達はそれでいい、逃げに徹したレイ達を捕まえる事が出来る奴はほとんどいないだろうし、何かあればフェイとミラが助けてくれるだろう。
「あと、金子達をどうするか・・・あいつらの謎スキル対策しないと不意を突かれるぞ」
「それは『阻害』じゃろう。『探索』に反応しないのはどうしようもないが、姿がぼやける方は多数を相手にするな、1対1になり相手に集中していれば特に問題はない」
俺の説明を聞いたフェイがスキルについて教えてくれた。やっぱりあいつら可笑しなスキル使ってやがったか。でもまあこれで対策が分かった。あと他にもおかしなスキルがあるかもしれないけど、今の段階で心配していても仕方ない、後は当日臨機応変に対応・・・・ガルラが出来るか心配だなとか思いながら事前打ち合わせは終わった。
◇◇◇
「あるに決まってます!何でこいつらだけ先に戦わせるんですか!危険じゃないですか!」
いきなり反対してきたのは闇の国に召喚された山内大河だ。東達と仲が良かったやつだけど、今回の件は詳しく説明を受けてないんだろうか。
「タイガ!前もって説明しただろう。口を挟むな」
サイの国の王様から非難するような視線を向けられ慌てて闇の国の女王が山内を止める。視線だけで闇の国の女王を慌てさせるって、サイの国の王様ってやっぱりとんでもなく偉い人じゃん。そんな人が俺達にはかなり低姿勢なんだよな。
「俺も山内の意見に賛成です。大野さん達だけって危険すぎます」
「シンタ!お前まで何をいっている!黙ってろ!」
今度はドワーフの国の勇者『木ノ下慎太』が山内の意見に賛成してきたのでドワーフの国王が慌てて止める。そう言えばドワーフの国の王様から変化の腕輪貰うんだったから後でお願いしておこう。ドワーフの国の王様はサイの国ってよりも、さっきからフェイをチラチラ見てるからそっちが怖いみたいだ。
「あの~、反対ではないのですが、もし『カークスの底』が負けた場合はどうするつもりなのでしょうか?」
恐る恐る水の国の代表が手を挙げて聞いてくる。多分この人も元々身分の高い人だと思うが、この面子だと萎縮してしまっているようだ。
「その時は全軍で攻める。出し惜しみはせずに残った勇者様達も出て貰う」
「テツは出さんぞ」
「はい!フェイ様!分かっております!」
フェイの言葉に椅子から立ち上がり直立不動で答えるサイの国の王様。この中でも一番上の立場の王様がここまでするってフェイはやっぱり凄い人物なんだな。殺し合いした事は黙っておこう。
「水と風は自国の戦後復興についてだけ考えておけばよい」
不安そうな水と風の国の代表だったが、サイの国の王様の言葉にこれ以上何も言えず黙ってしまった。そして相変わらず山内と木ノ下は自分の国の王様に反論している。
「そもそも何で女王様達は土屋如きにそんなに低姿勢で言いなりなんですか!こいつらも俺達のクラスメイトですよ!多分そんなに俺達と強さも変わらないはずです!」
「試してみる?」
あっ!山内の言葉にフィナがキレた。やっぱり族長になってから仲間意識が今まで以上に強くなって仲間の事になるとキレやすくなっているな。取り合えず一瞬で山内の後ろに回り首に短剣を当てているフィナの手を抑える。
「フィナ、落ち着けって、こんなんでも闇の国の勇者だぞ。族長のお前が手を出せば色々ややこしい問題になる」
「ぶ~。分かったよ。」
俺が止めるとフィナは不満そうな顔をしながらも渋々短剣を収める。その間山内は汗を大量に流しながら無言だったからフィナの強さを理解してくれたんだろう。
「み、見えなかった・・・木ノ下君、見えた?」
砂の国の勇者狭山が近くに座る木ノ下に尋ねるが、首を振って否定する。今のフィナの動きについて来れないようだと二人も戦力にならないだろう。そしていきなり勇者に刃物を突き付けたフィナに各国の代表もドン引きだ。
「も、申し訳ありません。ギン様、ガルフィナ様。タイガが失礼しました」
慌てて立ち上がり俺達に頭を下げてくる闇の国の女王様。大森林と関係が修繕しそうな大事な時に、族長のフィナを怒らせたらまた森が閉ざされてしまうと思ったのか、闇と砂の国の女王の顔は青ざめている。
「ああ、気にしてませんよ。こっちもいきなりフィナが失礼しました」
「・・・・ごめんなさい」
俺が促すと、フィナがすごい不貞腐れた顔で謝罪する。それを見て安堵した表情を浮かべる女王様。
「そこの小僧の強さは儂が保証してやるから心配無用じゃ」
「おお、フェイから助けて貰えるなんて思ってなかった。どうした?心変わりでもしたのか?」
「阿呆!さっさとこの下らん会議を終わらせたいんじゃ。ホントは儂は人族の事なんかに関わりたくないのだ」
そう言って顔を背けて目を瞑るフェイ。これ以上は話しかけてくるなオーラが凄い。
「そうじゃ。儂等はその男に殺されかけたぐらい強いんじゃ。酷い奴じゃ。ママが起きたら言いつけてやるのじゃ」
ミラもフェイの言葉に乗っかるが、それは言っちゃ駄目な奴!事前に待木にお願いして口止めしておけば良かった。
「「「「・・・・・・・」」」」
ミラの言葉に各国の代表は口を開けて固まってしまった。
「ぎ、ギン様!あなた何てことしようとしたんですか!!フェイ様に黒龍様ですよ!建国王様の仲間!生きる伝説の二人を殺そうなんて何考えてるんですか!!」
固まったと思ったらすぐにサイの国の王様がすごい剣幕で怒りだした。やっぱり王様だけあって威圧感が半端ないな。
「そ、それはこいつらがいきなり襲い掛かって来たからなんですよ。このババア影魔法使うといきなり襲い掛かってくる危ないババアなんですよ。この事実は世界中に広めておいて下さい」
これで無条件にババアに襲われる可哀そうな影魔法使いは俺で最後になるだろう。
「誰が危ないババアじゃ。失礼な」
「そうですよ、フェイ様に失礼過ぎますよ。」
あかん、サイの国の王様は無条件でフェイの味方だ。俺の話聞いてくれない、誰か助けてと思って周りを見るとレイ達は砂の国の女王・・フランの髪を触っていて全く話を聞いていない。フィナは相変わらず山内を睨んで威嚇しているからこれも話聞いてないな。ガルラは腕を組んで険しい顔しているけど、こいつは寝てるな。俺のパーティフリーダム過ぎるだろ。
「まあまあ過ぎた事ですし、フェイもミラも元気ですからあんまり気にしないで下さい。それよりも今後の事を話さなくていいんですか?」
「ちょっといいですか?土屋君が強いのは分かったけど大野さん達も一緒なの?土屋君はそれで本当にいいの?大野さんと委員長と付き合ってるんでしょ?恋人が危ない目に遭うかもしれないけど本当にいいの?やっぱり私も反対だな」
話が脱線していたので戻すと狭山が作戦に反対してきた。
「ギンジからは反対されたけど無理言って参加したのは私達の方なの。少し復讐したい奴がいるからね」
フランと話をしていたようだがこちらの話を聞いていたみたいでレイが狭山に答える。
「狭山。あんたには手紙で金子達が風の国で何したか伝えたはずよ。私もみんなの仇を討つ為に自発的に参加するのよ」
「水谷さん、手紙の内容は本当なの?」
「本当よ。みんなは・・・真澄は・・・あいつらに殺されたのよ!それに陛下や城のみんなも・・・狭山は安心してここで待ってて。私達があいつらを殺すわ」
「それ本当に出来るの。いくら酷い事したって言ってもクラスメイトだよ。日本人だよ。殺せるの?」
「・・・ッ!!」
狭山の問いかけに水谷は口を閉じる。その覚悟はあるか何度も確認したし、試しにその辺の野盗で試したりしたんだけど、未だにレイ達3人は人を手に掛けた事はない。俺も出来ればレイ達3人には手を汚して欲しくないとは思っている。
「レイ達が出来なくても俺が責任持つから心配するな。3人には捕縛だけをお願いしてるからな」
「土屋君にそれが出来るの?相手は金子君達・・・クラスメイトだよ?」
「出来るさ。俺はもう和田、杉山、浅野の3人を殺している。あいつらを殺す事に躊躇う事は無いから心配すんな」
「「「え?」」」
俺の言葉に勇者たちの動きが止まる。この程度で動揺するって事はやっぱりどの国も情報を黙っていたのかな。
「ギン様は既に3人の火の国悪魔達を討ち取っている事は我が国が保証します」
「ほ、保証しますじゃねえよ!そんな事保証されたくねえよ。土屋お前本気で言っているのか、クラスメイトだぞ」
サイの国の王様に山内が反論するが、その口の聞き方は大丈夫なんだろうか。隣の闇の国の女王がすごい目つきに睨んでいるけど気付いているのかな。
「本気で言ってるさ。クラスメイトだからって俺が躊躇う理由にはならねえな」
「・・・ッ!!!」
何か言いたそうな感じだが俺の気迫に山内は黙って席に座った。
「それで小僧どもが先に出て、悪魔共を倒せばそのまま進軍。負ければ全軍で突撃って事でいいんじゃな?」
「は、はい!その通りですフェイ様!」
「なら会議は終わりじゃ」
「はっ!お疲れ様でした」
話をまとめるとフェイはさっさと部屋から出ていってしまった。本当に人族嫌いだなあいつ。そしてサイの国の王様はフェイにどれだけ気を使うんだろう。
「私は今日お姉様の所に泊まる。またお土産貰ってくるから文句は言うなよ」
「・・・はい。了解致しました」
何故かフランが泊る事が決まっているようで、部下に指示をしている。今回も大量にシャンプー類を持ち帰るつもりみたいだ。
「女王陛下。あの私もご一緒していいですか?」
「それは私じゃなくてお姉様達に聞け」
「大野さん、私も一緒していいかな?陛下から話を聞いて楽しみにしてたんだ」
「ギンジ、別に狭山さん泊めても大丈夫よね?」
狭山も多分シャンプーとか使いたいんだろう。レイに手を挙げてOKを出す。そして俺の目の前にはドワーフの国の王様がいる。遠くからでも分かっていたが近づくとガタイがやべえ。身長は待木並だが、横幅は倍ぐらいと言っても脂肪じゃなくて全て筋肉だからかなり強そうだ。
「ギン様。先程は肝を冷やしました。フェイ様にあの口の聞き方、いつフェイ様が怒り出すかと冷や冷やしました」
「それはすみませんでした。でもまあ、フェイの奴あれで結構気は長そうだから大丈夫でしょう」
口は悪いし、愛想もないけど、今となってはフェイはツンデレババアって認識だな。・・・よく考えればデレはないか・・・ツンババアって需要ないよな。
「いえいえ、私も初めてフェイ様とお会いした時に無礼な態度をとってしまい、フェイ様の怒りを買って両手両足切り落とされたんですよ」
笑いながらドワーフの国の王様は言ってるけどフェイの奴何てことしてんだ。あいつやっぱり危ないババアで間違ってねえじゃねえか。
「そ、それは災難でしたね」
「本当ですよ。私も少しは腕に自信があったんですが、身の程を知りました。しかしギン様はフェイ様の使う見えない風魔法をどう攻略したんですか?あの魔法は『建国王妃』様と考えたフェイ様の得意魔法で初見だと確実に食らうと思ったのですけど?」
あの時使ってたのは風魔法なのか、殺気がしたから影で防いでいたって言っても信じて貰えるかな。そして黒川と考えたって事は見えないと格好いいとかいうくだらない理由なんだろうな。
「あの時はフェイから嫌な感じがしたんで影で防ぎました」
そう言って影であの時と同じように壁を作る。ドワーフの国の王様は一瞬だけ恐怖で顔が引き攣ったが恐る恐る手を伸ばして俺の影に触れる。
「おお、こ、これが伝説の影魔法ですか。固いですね」
「まあ、歴代の影魔法使いみたいに悪い事に使うつもりは無いんで安心して下さい。それよりフェイの持ってる変化の腕輪を二つ欲しいんですが」
「ああ、アレですか。アレはちょっと広まると悪用される恐れがあるので勘弁してください」
「あれ?フェイから話いってないですか?おかしいな~ちょっと付いてきて貰っていいですか?」
フェイの奴ドワーフの国の王様から貰えって言ってたけどまだ話してないのかな?丁度いいから今の内にあいつから言ってもらおう。
コン!コン!
「フェイいるか?入るぞ」
フェイのいる部屋をノックして声を掛けると中からガタガタ音がする。
「ま、待って・・・待つのじゃ」
??
「フェイの声変じゃなかったですか?」
「そうですね。風邪でもひいたんでしょうか?」
中から聞こえてきたフェイの声がおかしいと思ったのは俺だけじゃないようだ。ただ、中から許可があるまではドアを開けない。下手にババアが着替えてたりするアンラッキースケベが発動するかもしれないからな。
「いいぞ。入れ」
「失礼致します」
俺は何も言わずに部屋に入るがドワーフの国の王様は緊張でガチガチのまま部屋に入ってくる。声が変だと思ったけど気のせいだったみたいでいつも通りのババア声だ。
「何の用じゃ小僧ども」
すごい不機嫌そうな顔で聞いてくるので隣の王様は更に緊張してしまった。
「フェイ、変化の腕輪の話王様にしてくれてないだろ?丁度いいから今してくれ」
「忘れておった。そう言えばそんな約束しておったな」
「何だボケたのか?」
「まだまだ頭はハッキリしておるわい。ただ人族との約束だから大して重要に考えておらんかっただけだ。まあいい、ドワーフの小僧、この小僧に変化の腕輪を二つ用立てろ。この小僧なら悪用せんから心配するな」
「は、はい。フェイ様がそう仰られるのならその通りにします」
約束守って貰って嬉しいが、フェイの奴王様に命令できるとかどれだけ偉いんだよ。
「ほら、用は済んだだろ。儂は疲れたんじゃ、用が済んだらとっとと出て行け」
「はっ!失礼致します」
「そう言えばフェイの見えない風魔法ってどうやるんだ?」
フェイの言葉にすぐに従って下がろうとする王様は放っておいて俺はふと気になった事を聞いてみた。
「風魔法に精霊魔法で少し細工するんじゃ。小僧の仲間も変な色の魔法使っていただろう。あれと似たようなもんじゃろう」
精霊魔法って何だよ?誰もそんなの使えないぞ?
「それって黒川と考えたんだろ?」
「ああそうじゃ。ヨミコは『見えざる風』とか勝手に呼んでおったがな」
やっぱり黒川の厨二病が原因か。フェイは当時を思い出したのか乾いた笑いをしている。
「ギン様は凄いですね。あのフェイ様と対等に話を出来るとは、それにフェイ様があのように笑うとは初めて見ました」
部屋から出るとドワーフの国の王様から褒められた。そう言えば王様達はフェイに萎縮してるからまともに会話出来て無かったな。そして言われて気付いたがフェイが笑うのって昔話の時ぐらいでいつも不機嫌そうな顔しているな。