126話 黒都
コン!コン!
俺達は案内された部屋の前でノックをする。待木達は王様達とまだ話をしていると言ってもフェイが質問攻めにされているだけだが、待木に頼んでいるから大丈夫だ。それで俺達は待たせていた3人に会いに来た。
「みんな!いつ戻って来たの?」
扉が開かれると中からクーミが顔を覗かせ、すぐに俺達を中に入れてくれた。
「今日よ、クーミもだけど二人も元気そうでなによりね」
水谷が答えながらミルとルルに声を掛ける。水谷の言う通り3人とも元気そうだ。
「いやいや、元気にもなるって、私達お付のメイドが二人はついてるし貴族並みの待遇ですよ。ギンは王様にどんなお願いしていったんですか?」
ミルからそう言われても、別に普通にお願いしていっただけなんだけどな。
「そうそう、クーミなんてハロルドさんから求婚されてるんだよ!」
「ルル!!」
ルルが言った瞬間クーミから怒鳴り声が飛んでくる。一体どういう事なのか分からないけどレイ達の目が怪しく光ったので後は3人に任せておこう。
「へえ~、クーミって意外に強かったのね」
「でもそれで求婚ってどうなのかな?」
「まあ、いいんじゃない。それよりもクーミもガードが固いわね。ハロルドさんなんて超優良物件じゃない。何で拒んでるのよ?」
3人が聞き出した所、ミルとルルの護衛をしていると言っても訓練はしないと腕が鈍るので、たまに城の訓練場で訓練をしていたのだが、たまたまハロルドさんと手合わせをする事になりかなりいい勝負になったらしい。結局その勝負はハロルドさんが勝ち、それ以降頻繁に勝負を挑まれ相手をしていたのだが、いつの間にかクーミの強さと性格に惚れたハロルドさんがある日突然やってきてミルとルルがいる目の前で求婚してきたそうだ。あまりに非常識な為、断ったのだけど、それ以来会う度に求婚されているらしい。ちなみにハロルドさんは結婚してくれるなら今の身分は捨ててもいいとまで言っているそうだ。
「ミルとルルの事をノブタダ様からお願いされていますから、今はそういう事を考えるつもりはありません」
きっぱりと答える真面目なクーミにレイ達もそれで引き下がりこの話はお終いとなった。逆に言えばミルとルルの出産が無事終わったら可能性はあるって事だな。
翌日
「気を付けて下さいね、動きがあればこちらもすぐに兵を向かわせますから出来れば一緒に行動してください」
あまり目立ちたくないから城の裏口から俺達は出発したのだったが、何故か王様やクーミ、待木達まで見送りに来たので少し目立ってしまう・・・訳もなく城で寝ているミラで朝から城や街は大騒ぎになっている。ミラが目立っている間に俺達はサイの国を出て闇の国へ向かった。
「ふう、ここが闇の国か」
サイの国の国境は王様の持たせてくれた紙を門番に見せると待たされる事もなく通過できたけど、闇の国の国境は一般の人達と同じ列に並び通過した。まあ相変わらずガルラ達が目立っていたが、もうそれは諦めている。・・・いや変化の腕輪を手に入れるまで我慢していると言ったほうがいいか。
「何言ってるの?こんな何もない所で闇の国を思わせる物なんて何もないじゃない。街までここから1日はかかるんでしょ?」
俺が闇の国入りに感激していると、隣のレイが不思議そうに聞いてくる。まあレイの言う通り目の前にはまだ道しかなくここが闇の国だと分かる物は何もない。それでも俺は遂に師匠達の生まれ故郷の国に辿り着いた事に感激している。思えば水の国と隣接している闇の国を反対に大回りしてから辿り着いたのだ、これで水都まで戻れば俺は世界を一周した事になる。
「この国は師匠達の生まれ育った国だからな。ここに来るのは目的の一つだったんだけど、まあレイの言う通り感激するのはまだ早いか。取り合えず闇の国の『黒都』ダークを目指すか」
この後は『黒都』でこの国を治める女王陛下に会うようにお願いされているので、そこまで移動する予定だけど、火の国がいつ動き出すか分からないので、俺達はそれが終わればすぐにグランツェに向かうつもりだ。そして道中特に大きな問題もなく『黒都』までたどり着いた。
「ふうん。ここは『風都』とあんまり大きさは変らないわね」
「サイの国以外はどこも都は同じぐらいの大きさって読んだよ」
丘の上から眼下に『黒都』を眺めながら水谷の感想にヒトミが知識を披露する。サイの国以外は都の大きさは変わらなくても戦力差はかなり違う。今や火の国がサイの国に次いでいるので闇の国だけだと戦争になると確実に負けるだろう。
「でも全体的に黒いのは何でだろう?」
レイが不思議そうに呟く。
「えっと。『建国王妃』が黒が好きだったからお城を真っ黒にしたんだって、それに倣って貴族や平民が家を黒に塗ったりしている内にこうなったんだって」
ヒトミがまたまた知識を披露してくれるが、その『建国王妃』って黒川の事だろ?黒が好きって言っても城を黒に塗るなんてやり過ぎだろ。東達は何で止めなかったんだという疑問はいつかフェイに聞けばいいか。そんな事を話しながら都に入る長い列に並ぶとすぐに兵士がこちらに慌てた様子で走って向かってきた。
「あ、あの皆様はもしかして『カークスの底』ではないでしょうか?」
俺達の所に来た兵士は礼儀正しく尋ねて来た。普通は城の兵士が冒険者に対してこんな態度で来ないので疑問が浮かぶが取り合えず頷いておく。
「や、やっぱり!あなた達『カークスの底』が来たら、城まで丁重に案内するように指示が来ておりますので私と城まで来て頂けませんか?」
元々尋ねるつもりだったので、ついて行くのは問題ないが、何でこんな態度なのかってのと俺達が来る事を事前に知ってるのは何でだ?俺達は初めてこの国に来たんだけど?
(多分私達が大森林に行ってる間にサイの国が連絡とったんじゃない?この状況だもん連絡は頻繁に取り合ってるでしょ)
レイの予想が合っているか正解はこの国のトップに聞けばいいか。そう考え俺達は長蛇の列の横をスタスタ歩いて住人専用の入口で軽く身分を確認されると、そのまま城まで案内された。
「ようこそお越しくださいました。私がこの国を統べる女王ペトロニーナ・ブラッドソードです。サイ国の王より皆様の事は聞いております」
城に案内されるとサイの国と同じような部屋に通され、これまた同じようにこの国の最高権力者がお待ちしていたからびっくりだ。そしてレイの予想通り闇の国はサイの国と既に連絡を取り合っている事が分かった。
「こちらが私の娘たちです、姉のアデリナと妹のアメリアです」
40代ぐらいで黒髪黒目の日本人っぽい見た目をしている女王が紹介してくれたのは、俺達と同じ年ぐらいの美女2人。軽く頭を下げてきたので、こちらも自己紹介をする。っていうかまたしてもこの国の超VIPの3人が迎えてくれるなんて、サイの国の王様はどんな報告したんだろ。そしてこの娘二人は何故どちらも眼帯をして腕に包帯を巻いているんだろう?女王の娘って事は王女様だと思うんだが、回復魔法使える奴はこの国にいないのかな?
「ああ、これはケガをしている訳ではないので気になさらないで下さい。これは初代様がこのぐらいの年の頃にしていたと伝わっている格好です。恐らくこのように怪我人と同じ不憫な格好をする事で、人の気持ちが分かるような立派な女王になる為の訓練だと伝えられています」
俺達が眼帯と包帯に目を奪われている事が分かったんだろう女王が答えてくれたが、
・・・・・・
・・・ち、違うよな?
記憶にある黒川を思い出しながらレイ達を見ると、少し困った顔をしていたから俺と同じ事を思いついたのかもしれない。
黒色が好き、魅了を使う妖艶な魔女を希望、そして伝わっているこの格好。そこから導き出される答え!
恐らく黒川の奴『厨二病』だったんだ!・・・いや・・・そこも後でフェイに聞けばいいか。それにしても黒川の奴、子孫にそんな格好させるなよ。
「えっと、ブラッドソードって家名は初代様が名乗られたんですか?」
ヒトミもその可能性に気付いて女王にカッコいい家名について質問する。だってブラッドソードだよ直訳すると『血剣』厨二心をくすぐりそうな名前だ。ターニャと黒川は絶対気が合った!
「そうです。初代様が使われていた真っ赤な剣『ブラッディソード』が由来と聞いています。初代様は片手に黒い鉄扇を持ちそれで敵の攻撃を受け流し、態勢を崩した所を『ブラッディソード』で攻撃していたと伝わっています」
そう言えば建国王妃に憧れて『鉄扇』名乗るパーティ多いってウィート達に聞いたな。しかし黒川の奴武器まで厨二じゃねえか。あいつ本当に真面目に『皇帝』と戦ってたのか?
「それで、サイの国の王様からどこまで話を聞いていますか?」
黒川の厨二病は置いておいて水谷が話を進める。
「皆さまが勇者だと言う事、そして火の国に因縁があり我々の味方で一緒に戦って頂けると伺いました」
「そうですね。ただ俺達の狙いは『火の国』ではなくて『火の国の悪魔達』ですから、別の場所にいるって分かったら戦争は無視してそっちに向かう可能性がある事だけは覚えておいて下さい」
女王の認識の違いを今の内に修正しておく。まあ師匠の生まれた国に敵を踏み込ませる訳にはいかないから、その時は色々考えて最善を尽くすつもりだ。最悪フェイ・・・は無理かもだけどミラならお願いすれば何とか手伝ってくれるだろう。
「な、何故一緒に戦って頂けないのですか!」
「アデリア!口を挟むな!・・・失礼しました勇者様。サイの国の王より勇者様のお考えは絶対に否定はしないように手紙に書かれていましたので、我々はそれに従います」
第1王女が口を挟んできた瞬間、女王様の叱責が飛ぶ。その迫力はすさまじく、さすが一国のトップと思えるぐらいの迫力で第1王女も口を閉ざしてしまった。
「まあ、あいつらはこの国へは一歩も立ち入らせる事はしないと約束しますよ。何と言っても師匠達の生まれ育った国ですからね、あいつらに荒らされたら俺が師匠に怒られてしまいますよ」
「・・・カークスの底ですか・・・済みませんが色々調べさせてもらいましたが、ギン様がそこまで言ってくれる理由が分からないです・・・ただの冒険者の指導員で先輩だったというだけですよね?」
調べただけならそういう結論になるんだろうな。
「そうですね、調べただけならそういう結論になると思いますけど、俺はあの人達に返しきれない恩があるんですよ。それこそ師匠がいなかったら俺達はここにいません。俺は死んでいたか各地を荒らし回る賞金首にでもなっていたでしょう。レイ、ヒトミ、水谷は死んでいたし、ガルラとフィナも奴隷として酷い扱いを受けていたでしょう」
師匠が俺の指導員を引き受けてくれたから、一度も俺を騙したりしなかったから、俺が『影魔法』使いと知っても変わらず接してくれたから、いなくなった後の事まで俺の事を考えてくれていたから。本当に、本当に師匠には頭があがらない。それを考えるとこの国を守るぐらい大した事じゃないと本当にそう思っている。
「そ、そんなにですか?あの3人がいたパーティが、まさかこの国に多大な恩を返してくるとは」
俺の考えをしっかりと答えると女王はブツブツと何か言っている。そして丁度師匠達の話が出たので、良い事を思いついた。ずっと情報屋を雇って調べていたけど、未だに見つかっていないので、女王に聞いてみたらすぐに分かるかもしれない。
「女王様、それで報酬の話なんですが」
俺がそう口にすると、途端に女王様の顔が変わった。何を報酬として求められるのか色々考えているんだろうけど、それを表情に出さずに俺の言葉を待っている。
「欲しいのは『ターニャリカ・サンダーロッド』の情報です」
「・・・はい?」
全く予想もしていない要求に女王の顔から威厳が消えた。隣で何を要求されるのか緊張した顔で座っていた王女二人も困惑した様子で顔を見合わせている。
「『サンダーロッド』ですか・・・ロッドと言う事は土地無しだと思うが・・・アデリア!アメリア!聞いた事は?」
女王の質問に首を振る二人。この国の貴族と言ってもターニャの家は下級貴族で、更にかなり前に行方不明なっている家なので、これは無理そうだ。
「勇者様、もう少し詳しい話を聞いても宜しいですか?」
諦めかけていた所に聞かれたので、俺が知っているターニャの情報を全て話した。
両親は『黒都』に勤めていた法衣貴族の家でグランツェに転属になった際に、野盗に襲われ両親は殺されターニャと弟は捕まった事。ターニャはどこかのデブ子爵と結婚する予定だった事。
「ふむ、ここまで詳しく教えて頂ければ明日にでも詳細は報告出来ると思います」
「私は子爵の方から調べてみます」
「私はグランツェの記録を見てきます」
王女様達はそう言って慌ただしく部屋を出て行った。ま、まさか自分達で調べたりしないよな?王女様をパシらせるとか流石にないよな?
「それでは夕食までお時間がまだありますが、どうなされますか?」
今はだいたい夕方少し前ぐらいか、どうしようかと思っていたらガルラから念話で呼び出された。
(主殿。少し体を動かしたい)
言われてみればガルラは火竜以降体を動かしていなかったな。レイ達も少しは体を動かした方がいいかと思い女王に訓練場の使用許可を貰うとすぐに案内してくれた。案内してもらった先では兵士が訓練をしていたが、女王に気付くと全員一列に並び敬礼をする。
!?
女王の後ろを歩きながら、敬礼する一団の前を歩いて通り過ぎようとした所に見知った顔に気付いた。
「オール?お前オールだろ!!」
女王に向かって兜を脇に抱えて敬礼する一団に『大狼の牙』の一人オールの存在を見つけた。困った顔をするだけで何も答えてくれないがその表情だけで知り合いだと確信している。
「ギン様、どうしました?」
先を歩いていた女王がこちらに戻ってきたので、オール達兵士の顔が幾分か緊張した顔に変わる。
「いや、こいつ俺の知り合いなんですよ。こいつのいた『大狼の牙』ってパーティには師匠達の次ぐらいには世話になったから、会ってお礼を言いたいって思ってたんですが、まさかこんな所で会うなんて思ってなかったです」
「うむ、お主名前は?」
「第3騎士団所属のオールです」
緊張でガチガチだったが、女王の質問にようやく口を開いてくれた。やっぱりオールで合ってたじゃねえか。
「ギン様と知り合いか。・・・よし、お前もこっちに来い」
闇の国の騎士団がまさか女王の言葉に逆らえるはずもなく、緊張しながらもオールは俺達の後をついてくる。
「へえ~。ドアールにいたギンジを助けてくれてありがとうございます。私はレイって言います」
「私はヒトミです。ギンジ君がお世話になってます」
「アユムです。よろしくお願いします」
「レイとヒトミって有名な二つ名持ちがまさかこんな華奢な女だとは思ってなくてな」
軽い自己紹介をした後は、驚いた顔でレイ達の顔を見るオールに尋ねると、俺にだけ聞こえるように教えてくれた。更にオールはレイとヒトミが二つ名を嫌っている事が冒険者連中に広まっているって事も教えてくれた。3人に軽くオールを紹介をした後はこいつの近況を聞く事にする。そもそも何でこいつは城の兵士になっているのか?とか大狼の牙はどうなった?とか聞きたい事が結構ある。
「しかしお前どんだけ出世してんだよ。陛下が直々に案内してくれるなんて、いくら有名パーティだからって、少しおかしいぞ」
「ハハハ。まあそれは色々あってな。それよりもカイル達はどうしたんだよ・・・まさか誰か死んだのか?」
「いや違うって。『水都』でお前と別れてからグランツェに向かっただろ?その間にガウルとマリーナがいい関係になってよ、ガウルとはグランツェで別れたんだよ。それでカークスでお前の依頼を終わらせてから、しばらく滞在していたんだけどよ、ピエラとクリスタが妊娠したからパーティは解散。カイルはそこの領主に気に入られて雇われたんだよ。俺はソロで冒険者続けていたんだけど、さすがに厳しくなってきたから国が兵士募集してるって聞いたからここにいるんだ」
「そうか、それならグランツェに行く途中でカイル達の顔でも見てやろうかな」
「ああ、そうしろっていうかお前は一度カークスに行った方がいい。ガフの子供がいるぞ」
!!
オールのとんでもない一言に驚いて固まってしまう。
「な!な!ま!マジかよ!オール!!嘘だろ!!!いくらお前だからと言っても師匠の事に関して噓ついたら怒るぞ!」
「マジだって、まあカークスにはカイルがいるからそこで詳しい話を聞け」
「ほ、本当かよ・・・・またあいつらに負けられない理由が出来たな・・・」
オールの話が本当ならまた金子達に負けられない理由が増えた。師匠の子供・・・理由はそれだけで十分だ。
「おお、決着か。全く見えなかった。獣人とはこうも恐ろしいものなのか」
女王は訓練場の隅で椅子に座って何故か俺達の訓練を見ている。今はガルラとフィナが訓練をしていて丁度ガルラがフィナの首元に棒を添えた所で勝負は決まったようだ。
「よし、オール。久しぶりにやろうぜ。お前等には負けっぱなしだったからな、今日こそリベンジしてやるよ」
「ガハハハッ。いいぜ。まだまだお前には負けねえよ」
いつの間にか冒険者だった頃のように大笑いしながら木剣を片手に訓練場の中央に二人で歩いていく。訓練をしていた他の兵士たちは、ガルラとフィナの訓練を目にすると動きを止めて端に寄っていたから、動き出した俺達が目立ってしまうが仕方ない。
「くっ!参った。降参だ」
オールの背後から首に木剣を当てると素直に降参してくれた。降参してくれたが勝った俺は少し納得がいかない。
「くっそ。『生活魔法』まで使わされた。これでもBランクだからスキル無しでも元Cランクのお前に勝てると思ってたんだけどな。やっぱり手の内がバレてると駄目だな」
「勝ったお前が悔しがるな。俺がみじめになるじゃねえか。それにしてもギン、大分腕をあげたな、まさかここまで強くなっているとは思ってなかったぞ」
オールの手を引いて立ち上がらせてから、さっきの訓練の反省会を軽くしていると、女王が歩みよってきた。その事に気付いたオールは慌てて膝をついて頭を下げるが、一応俺は客扱いなので普通に立ったままで迎える。
「ギン様、先程の勝負お見事です。オール、お前もギン様相手によくやった。顔と名前は覚えておくぞ。それでギン様。先程の魔法についてですが、あれが噂の『合成魔法』という奴でしょうか?」
「そうですよ。一人で出来る奴は少ないですけど二人なら余裕で出来ますよ。ちょっと『火』を出して下さい」
そう言って女王の出した『火』に俺が『闇』を重ねると『闇火』が完成した。
「おお!な、なんだこれは、か、格好いい」
『闇火』を見つめる女王の目がキラキラしている。やっぱり黒川の子孫だけあってこういうのに興味があるようだ。周囲の兵士達も俺達の様子を見ていたので各々『生活魔法』を組み合わせて色々試していた。