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弾丸と気分の再装填

「なんとか銃は撃てた……。スキルのおかげっスかね。でもゲームとは勝手が違うなあ」


 ゲームで銃を撃つことはあっても、実弾を撃ったことなどなかった。

 当然、同じ感覚で撃てはしない。


 スキルの補佐のおかげで、初心者のトウコでも銃が扱える。


「とりあえず弾を装填して……えーと?」


 トウコは(ひろ)った弾丸を不慣れな手つきで再装填(リロード)していく。

 スキルが知識を与えてくれる。その通りに手を動かす。


 どうすればいいのか、なんとなくわかる。


 空薬莢(からやっきょう)を排出して、新しい弾丸を一発ずつ込めていく。



 乱れた服を整えて立ち上がる。

 一階から、ずりずりと足音とうめき声が聞こえてくる。


 三体のゾンビが、トウコのいる階段の踊り場へ向けて歩み寄る。


「う……いきなり三体も来るっスか……!? ちょっと待ってくれないっスかねえ」


「ウウ……ア」

「アアァ」


 ゾンビはトウコの言葉など理解せず、じわりじわりと距離を詰める。

 階段に足をかけ、ゆっくりと登ってくる。

 一体のゾンビはよろけて階段に倒れこむ。


「……やらなきゃやられるっス! そうだ、これはゲームだ! ……いつものゲームだと思うんス!」


 トウコは気分を切り替える。

 いつまでも怖がって震えているわけにはいかない。


 自ら動かなければ、死を待つのみだ。


 もう夢ではないとわかっている。

 現実だ。


 そうだとわかったうえで、ゲームだと思い込む。


「ゾンビなんて、ただのノロマな的っスよ!」


 しっかりと銃を構えて引き金を引く。

 先頭のゾンビの胴体に風穴が開く。

 だが、倒れない。さらに連続して弾丸を撃ち込む。


「ウゥ……」


 ゾンビが倒れ、動きを止める。


 別のゾンビが近づいている。


「胴体だと三発か……。敵は二匹で弾は二発! ってことは頭を狙う(ヘッドショット)しかないっス!」


 余分の弾丸はない。

 一発も外すことはできない!


 トウコは近づくゾンビに銃口を向ける。

 だが、引き金を引けずに躊躇(ちゅうちょ)する。


 よろよろと体を揺らすゾンビの動きは遅い。


 【照準】スキルが狙いをサポートしてくれる。

 【安定化】スキルがブレを押さえてくれる。


 ――それでも、残弾のないトウコには大きなプレッシャーがかかっている。


「やるしかないっス! くらえッ!」


 手が届かんばかりの距離までゾンビが迫っている。

 だが、それが狙いだ。

 充分に引きつけて、引き金を引く。


 至近距離(しきんきょり)で放たれた弾丸がゾンビの頭部を撃ち抜く。

 血煙(ちけむり)が上がり、ゾンビがどうと倒れる。


「よし! 一発ッス!」


 倒れて起き上がろうとしているゾンビの頭部へと弾丸を打ち込む。

 ゾンビの頭部が破壊される。流れ出た血が階段を伝って流れる。


「うええっ! えぐいっス」


 これで銃に込められた弾丸は撃ち切ってしまった。

 予備の弾丸もない。


「えーと、さっきみたいに頭をつぶせば弾丸が手に入るんスかね?」


 【弾薬調達】によって敵を倒せば弾薬が手に入るはずだ。

 だが、倒しただけでは手に入らない。


 先ほどは頭部を花台で叩き潰すことでゾンビの死体を塵に変えることができた。

 その時点で、倒した扱いになるのだ。


 トウコは倒したゾンビの頭部を花台(かだい)で叩き潰していく。


「うえー。気持ち悪いっス。でも、弾は手に入ったっスね!」


 一体のゾンビから三発の弾丸が手に入った。

 これで残弾は九発。


「よーし! いけそうな気がしてきたっス!」

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