二発の弾丸と三匹のゾンビ……残弾数管理は大切です!
三体のゾンビがすぐ近くに迫っている。
対して弾丸は二発。
数が足りていないのは計算しなくてもわかる。
トウコは冷や汗を浮かべる。
「調子に乗って撃ちすぎちゃったっス! 一発で二匹倒すしか……!?」
階段の上から、登ってくるゾンビを狙う。
体を揺らしながら迫るゾンビの頭部に狙いをつけ、貫通弾でその後ろのゾンビを狙う。
そういうつもりで狙いを定めても、都合よく並んではくれない。
そもそも拳銃弾にはそれほどの貫通力も運動エネルギーもない。
仮に貫通できたとしても、真後ろに弾が飛ぶ保証はない。
トウコはそこまで考えてはいない。
二体のゾンビが直線に並ぶ瞬間に射撃すること自体、無理がある。
「ムリムリ! こんなんムリっス!」
ゾンビたちは階段を登りきって二階へとやってくる。
「ウウアア……」
「アアッ」
階段では遅かった歩みも、平らな床の上では無視できない。
トウコはゆっくりと後ずさる。
そして、なにかに躓いて転ぶ。
「あいたっ! ……な、なに!?」
床に尻もちをついて倒れる。
涙目で、トウコはそれを確認する。
先ほど倒したゾンビの死体を踏んでしまったようだ。
「ウアッ!」
そこへ、先頭のゾンビが倒れこむようにのしかかってくる。
「ひえっ!」
体にのしかかるゾンビに、必死にあらがう。
下敷きにされて、うまく身動きが取れない。
銃を持った手が、床とゾンビに挟まれてしまった。
「アアアァッ!」
ゾンビが伸びあがるように、トウコの首を噛みちぎらんと動く。
その動きで自由になった腕を持ち上げる。
「うわあああっ!」
トウコの首筋に黄ばんだ歯が突き立つ直前――ゾンビの頭部が銃撃で吹き飛ぶ。
血と脳漿が、下敷きになったトウコに降り注ぐ。
ぐったりと力を失った死体は、なおも覆いかぶさったままだ。
「ちょっ! ど、どいて!」
二匹のゾンビが、死体の下敷きになって動けないトウコに迫る。
――弾丸はあと一発。
銃を二匹のゾンビに向けてさまよわせる。
このままでは、どちらを撃っても次はない。
「ああっ! 邪魔っス! ――ああ……邪魔なら消えてもらえばいいんスね!」
トウコは銃を自分にかぶさる死体のこめかみに押しあてる。
引き金を引き、頭部を粉砕する。
死体が塵となって消え、弾丸がトウコの上に転がる。
死体は頭部を破壊すると塵となって消える。
塵となるときに【弾薬調達】が三発の弾丸を生み出す。
「ははっ! これで三発っス! 数えなくても足りてるっスね!」
身を起こして距離を取る。
すばやく弾丸を装填する。
じっくりと狙いをつけて、一匹ずつ脳天をぶち抜いていく。
「残った一発で死体の頭を吹っ飛ばせば、次の弾丸が手に入るっスね!」
先ほど倒したゾンビの死体を撃ち抜いていく。
「ははっ! もうけたっ! 今度こそ、何匹でもかかって来いっス!」
トウコは手に入れた銃弾を手の中でチャラチャラと遊ばせ、にんまりと笑った。




