砂鳥のうた

拒まれた善意

　どうして世界にはくだらない人間が繁栄してしまったのか。

　どうして善良な人間というものはいないのか。

　それは人間という生き物が、善良からほど遠いから。

　それは人間たちが歯向かう者を皆殺しにしてきたから。

　歌う自分も善良からはほど遠い。なにせ善良を目指してみたことすらない。

「それは、いい人間に会ったことがないだけさ」

　唐突に声をかけられて身構えると、声の主も驚いた。

「あんた、ひどい顔だよ。うちでスープでも飲んでいきな」

　俺に構うな