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物語の焦燥  作者: 彼方
4/5


 飽きた…。


 ありふれている。何も頭に入ってこない文庫本を閉じて、足を投げ出し空を見る。ありふれている。物語の終わりが気にもならない。ありふれている。

 ありふれた展開も、ありふれた感動も。ありふれた友情、愛、勇気、悲劇、喜劇、ミステリーにファンタジーにも。ありふれている物語に飽きた。ありふれている日常にも、飽きた。


 中年かよ。自分で自分を笑ってみる。

 どんな物語にも終わりがあって、誰かを感動させようとする。感情を動かそうとする。どんな希望も絶望も物語の中では生きていて、面白い何かを展開させる。現実には生きていない。おもしろい展開もない。終わりもわからない。


 空を見ていた、目を横にそらす。



 子どもを叱る大人が言っている。ダメ。やめなさい。

 あの子は何をしたんだろうか。申し訳ないような、拗ねたような、面白くないような、おもしろい顔をしているあの子は。

 何かおもしろい事でもしたのだろうか。物語の中のような奇想天外を?…そんな事はない。きっとありふれている。


 目を瞑り上を向く。ねむい。

 このまま寝てやろうか。


 ふわっと香った匂いに息が詰まる。上を向いたまま寝たふりをする。


 首が、痛い。


 目を開ける。前を向く。微笑みが見える。たぶん、「夢だな」。おっと、声が出た。

 それでも微笑みが見えている、気がする。耳を指差している。たぶん、イヤフォンを外せとか、そんな感じだろうけど、イヤフォンからは何の音も流れていないので、別にこのままでも問題はない。ので、外さない。

 怪訝そうな顔をして見てみる。微笑みが消えた。呆れたような、拗ねたような。実際、どんな風に思ってるかなんて、わからないんだけど。手に顎を乗せて眺めてみる。ねむい。目を瞑り、ゆっくり息をする。焦燥が和らぐ。

 だめだ。ねむい。テーブルに片手を伸ばして突っ伏す。手を突かれた。手探りでその手を掴む。堕ちた。


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