第8話「楓の家で作戦会議」
ラファエルとの戦闘の後から数日。
二人はがっくり肩を落としていた。
作戦会議をしよう。
その結論か二人は楓の家に向かった。
この前はすももの家に行ったからだ。
玄関に先に入り。
すももを迎える。
「いらっしゃい、すごく助かるよ、すももちゃん」
「今日は呼んでもらってありがとう楓ちゃん」
何かぎこちない挨拶を済ませ。
すももを中に入れる。
二人とも笑いそうである。
でも仕方ない。
無断で上げてあとで問題になっても困るからだ。
楓の兄が反応したのを見計らって部屋に上げる。
二人ともカバンに詰めていたぬいぐるみを出す。
リリスとバフォメットは苦しかったと言わんばかりに。
体をバタバタさせた。
すももは何かを話そうとしてとりあえず言葉を出す。
「そうなの悪の組織から送られてくるのよ」
楓は面食らう、でも何とか話をつなげる
「悪の組織? あの敵はどんなところから来ているの?」
「どこからくるかはわからないの、でも一人で頑張るよりも、協力しましょう、世界平和のため」
「そうだね、世界平和のため」
そこまで話したときに。
リリスから突っ込みが入る。
「貴女たちいったい何の話をしてるの?」
そこで二人は要約、正気を取り戻す。
「だって、いきなりベリアルとか言い始めたらまずいかと思って」
すももが聞こえないように。
小声で話をする。
リリスは余裕の表情で。
「それなら任せておいて、わたしの声ならお兄さんには聞こえない」
二人は顔を見合わせて。
その手があったかという顔になる。
「いいかしら? 説明するわね」
リリスはそう言いながら二人に紙とペンを渡す。
メモを取りながら話を聞けということかと二人は察して。
机に向かう。
そしてそこからリリスの話が始まる。
「いい、七つの大罪というものがあるのは知ってる?」
「知らない」
楓がきちんと返事をする。
「では、そこからね七つの大罪とは憤怒、怠惰、強欲、色欲、暴食、嫉妬、傲慢、この七つ」
「シット? ゴウマン?」
意外に、すももも意味が分かっていない。
「どうやらみんなわかってないようね、憤怒とは激しい怒りを意味する今回我々が使う悪魔の中で対応しているのはイブリースね」
「イブリースは怒りっぽいってこと?」
「それは違うわ楓ちゃん、神に逆らった時の罪がそれぞれ対応している」
「イブリースは神様に怒ったの? なんで?」
「イブリースは火から生まれた、でも、土から作られた人間に従えと神に言われて、イブリースは怒り狂った、だから憤怒」
「すごい壮絶」
「わたしも土からできた人間、男女同権を神に訴え、楽園から追放された、イブリースの気持ちがよくわかる、たぶんわたしの罪は憤怒と傲慢」
「アダムとイブとかの話? それなら聞いたことがある」
「イブはアダムのアバラから作られた、わたしはアダムと同じ土から作られた女だった、だから同権を主張した、だから揉めたのよ」
「アダムまさかのバツイチだったんだね」
楓が少し気まずそうな顔をする。
「そして次の悪魔ルシファー、これに対応する罪は傲慢かなり利己的ってことね、分かり安く言うと勘違いしてるってこと」
「傲慢ってそんなに危険なの?」
「そう、ルシファーは神よりも自分が優れていると考えたの、だから悪魔とされた」
「なんか聞くだけで怖くなってきたよ」
「次の悪魔はアスモデウス、対応する罪は色欲つまりは性的にだらしないってこと、七大悪魔だからバフォメットよりひどいの」
「おいおい、あいつほど節操なしじゃねえぜ、うちは幼女専門なんでね」
「バフォメット、さらっとサイテーなこと言ってる」
すももがバフォメットをゴミで見るような目で見つめていた。
「話がこじれそうだから次行くわね次の悪魔はマモン、対応する罪は強欲、人に必要以上の富を与え人をダメにするの」
「なんか、悪魔らしくなってきたわね」
すももが少しメモを取る手が速くなる。
「そして次がアスタロト、対応する罪は怠惰、人間をなまけさせるののが得意なの」
「誰もが心に抱える闇ね」
「そして対応する罪は怠惰で一緒なんだけど、ベルフェゴールがいる、女性不信などの悪魔で、よくトイレに座りっぱなしのだらしない格好で描かれるわね」
「メモは取ってるけど、7人じゃないの? もう結構出てきてるけど」
「今まで6人出てきたけど、もう三人いるの、次の悪魔はレヴァイヤタン海に住む怪物よ対応する罪は、嫉妬、砂漠にすむベヒモスとともに神が造ったけれども、レヴァイヤタンは造られたその日に殺されている」
「殺されてしまったから、神様を恨んでるの? 嫉妬と何の関係が?」
「レヴァイヤタンとベヒモスは夫婦になる予定だったの、でも、神の身勝手な考えで結ばれることはなかったのよ」
「なんかこの話だけ聞いてると神様ひどいね」
「そんなものよ、次の悪魔はベルゼブブ対応する罪は暴食でもこれだけは不思議で、ベルゼブブは人を争わせたり、殺しあったりさせるのが得意」
「それはかなり危ないね、この前は聞かなかった名前だよね」
「こいつの力が強すぎて、うまく扱えないから排除してるの」
「やっぱりやばいのもいるんだね」
楓が渇いた笑いを浮かべながら話を聞いている。
「そしてようやく次が最後ベリアル、対応する罪は虚飾、つまりはうそつきってことね」
「ようやく聞いたことがある名前が出てきた、でもその罪の名前ってさっき言ってなかったような」
「そう、ベリアルは今の7つに編さんされる前、8つ罪があった、その時の悪魔よ昔までは口先で人をごまかすことも罪だったの」
「やっと終わった、長かったよ」
「そうね、でも最近はキリスト教の方で、この罪が変わったの、遺伝子改造、人体実験、環境汚染、社会的不公正、人を貧乏にさせる、鼻持ちならないほどお金持ちになること、麻薬中毒に切り替わったのよ」」
「それに対応する悪魔もいるの?」
楓が眉をひそめる。
リリスは首を横に振る。
「これかは最近になって決まったことだから、まだ、定義づけはされてないの」
「ふう、これ以上覚えることになったら覚えきれないわよ」
すももはそれまで書いたことをおさらいしながら、少しほっとした表情を浮かべる。
そうやって一息ついた瞬間。
隣の部屋から何か物音がした。
二人の背筋が少し凍り付く。
もしかして気が付かれているのかもしれない。
そんなことを思った二人は。
速やかに会話を始める。
「そうなの、悪の組織はまだ詳細は分かってないの」
「悪の組織、かなり手強い、世界平和のためにやっつけなきゃ」
「そのためにはまず団結しましょう、世界平和のために」
「そうね、悪の組織をやっつけるために団結しましょう」
「よろしく頼むわ、楓ちゃん、世界平和のために」
そこまで話したときだった。
楓の兄の部屋のドアが開いた。
二人は、何かを問い詰められる覚悟をした。
でも、これ以上話をするのも危険だと。
肌で察していた。
こちらのドアが開くのか。
ほかの場所にに行くのか。
二人はじっと兄の動きを見守る。
そして数十秒。
玄関のドアが開くのを確認すると。
二人はどっと疲れて。
一息をついた。
「どうやらお兄さんは、出かけるだけだったらしいわね」
リリスがほっとした表情でこちらを見た。
そして一同が全身から力が抜ける。
とても安心した様子だった。
「話を続けるわね、それで今まで使っていたのがベリアルの弾丸つまりは虚飾の弾丸だったわけ」
「それだけでは効かなくなってくるの?」
すももが疑問を口にする。
リリスはゆっくりと頷いてから話を続ける。
「そういうことになるわね、悪魔が持っているそれぞれの罪に対応して、天使に対する利き方が違うというわけ」
「じゃあ、ベリアルの弾丸はもう使い物にならない?」
「それは違うわ、今回のラファエルはかなり強い天使になるの、だから虚飾だけでは効果が薄いという話になる」
「たしかベルフェゴ-ル対応する罪は怠惰だから、アスタロトでいいんじゃ?」
「そこは悪魔によってかなり変わるの、アスタロトは弾丸のような小さなものに力封印するにはかなり大変なの」
「力が強いってこと」
「そういうわけでもないんだけど、悪魔によって、その適正が違うって行ったところかしら」
「なるほど、そこをうまく使い分けることによって、うまく、切り抜けるってわけね」
全員がうなづいたことによりひと段落つく。
楓が席を立つ。
「みんなお疲れ様、ちょっとお茶でも持ってくるね」
「あ、楓ちゃん、手伝うよぉ」
すももも、後に続く。
それから数分後。
ポットのお湯を使い。
人数分のお茶と、お菓子がそろった。
そして全員が思い思いに、お菓子を楽しんでいると。
バフォメットがボソッとつぶやく。
「ほんと、今回は不利だよな、今回は二人しかいない、昔みたいに、剣をメインにしてた頃とは違う闘い方だよな」
「そのとおりね、バフォメットはその時代から、この闘いに参加してなかったの?」
リリスがバフォメットに確認を取る。
「そうだね、かなり久しぶりだよ、しかしいろんなものが変わりすぎて、訳が分からね」
「そうなのね、わたしは、近いところでなかなか今回は複雑ね」
そんな会話を聴きながら、すももと楓は。
お茶を楽しんでいた。
「ねえ、楓ちゃん、次の弾丸ってすごく効くのかな?」
「実際に、ラファエルに撃ち込んでみないことには、わかんないね」
「それなら心配いらないわ、ラファエルに効かなかったら次の武器がある」
「そういえば、前回は聞いてなかったけど次に造るとすれば、どの悪魔の武器になるの?」
「アスデモウスじゃないかしらね、対応する罪は色欲」
「それはラファエルには効果的なの?」
楓が首をかしげる。
「色欲自体、ラファエルはかなり嫌うはず」
「出来ればその剣を使わずに済むなら一番いいかもね」
「でも、ラファエルは、それほど弱くもないの、覚悟してちょうだい」
リリスのその一言に全員がうなづく。
そして、少し冷めてきたお茶を全員が飲み干し。
その場が解散となった。
かなりピリピリした空気の中にも、そのなかで、少しの余裕が生まれていくのが全員感じた。
今まで訳も分からず。
銃を振り回していただけの闘いだけではない。
少し敵のことが分かれば。
作戦も少し変わってくるからだ。
全員が少し安心しつつ、明日への闘いに備えるのであった。