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第4話「ザドキエル三戦目」

楓は覚悟を決めていた。

たとえ今回一人でも闘い続けると。


そしてぬいぐるみになっているリリスを抱きしめて。

また結界を張ろうとすると。


後ろから声が聞こえた。


「あなたが楓ちゃん? わたくしはすももよろしくね」


「はい、すももさん? その腕に抱えてるのは?」


「バフォメット、使い魔よ、待たせちゃってごめんね」


「あ、うんわたしは楓、よろしくね」


「詳しい自己紹介はあとにしましょう、やつが逃げるわ」


「うん」


楓は少し戸惑いつつもすももと結界の中に入る。


中に入ってから。

二人でそろって魔法少女に変身する。


楓とおそろいのブレスレットをしていた。


すももは早速銃を取り出す。

自分のによく形は似ているが。

どこか形が違う。


そんな事を思いながらも。

眺めていると。


「楓ちゃん伏せて」


そう言われながら頭をおさえられる。


途切れなく15回発砲音がした。


そんなに指で速く撃てるはずはない。

だとすればそれは。

マシンガンなのかなと驚く。


「楓ちゃんの後ろにいたの、何発かはあたったわ」


「すもも、そんないきなり撃ったら弾足りなくなるよ」


聞き慣れない声。

楓が首を横にかしげる。


「そんな事いったってバフォメット、あの速さだったら一発一発撃ってたら当たらないもの」



「それならそこのお嬢ちゃんによくきいてな? 二回とも追い込んでるしなぁ? お嬢ちゃん?」


「わたし?」


「そうよ、楓ちゃん、どうやってあの速いのに当てるのか知りたい」


そう言ってくるすももちゃん。

まえにリリスに習ったとおりに未来位置予測をすももに教える。


「わたくしはそんなまどろっこしい事してられないわ」


「すもも、そこは聞いとかんと」


「でもバフォメット、弾丸はたくさんあるんでしょ?」


「二人で6個、そんなばかすか使ったらいかんよ、すももは一個使い切ってる」


すももはそう言われて少しいやそうな顔をした


「じゃあ、その位置を絞りながら撃てば良いんでしょう?」


「撃ちすぎたら分け合えば良いけど、一人で全部撃たないようにね」


「そんなばらまかないわよ、やつを探すわよ」


その言葉に促されて。

ザドキエルを探し始める。


すももとまとまって探しに行く。

一人きりで出会って対応できない。

そんなことにならないための対策だったりした。


そして探し回ること数分。


そこにはザドキエルが3体いた。

一瞬パニックになる二人。


「楓ちゃん分からない?」


すももがヘルプする。


楓はしばらく考えてから。

ザドキエルを、じっくりと見た。


そして何かに気が付いた楓は。

左側の一体に撃ち込んだ。


弾丸は羽根をとらえ。

ザドキエルがふらつく。


そこを見逃さず。

すももが3発弾丸を撃ち込んだ。


3発中2発がザドキエルに直撃する。


今まで味わったことのない衝撃に。


ザドキエルが倒れ込む。


「こうなれば逃がさない、いくわよ、楓ちゃん」


楓も倒れているザドキエルに銃口を向けていく。


しかしザドキエルも立て直し。

すぐに飛び立っていった。


「あーんもう、こんなんだったら全然倒せないじゃない」


すももが音を上げる。


「すももちゃん、そうなの、いつも探すのが大変でね、苦労してたの」


「一発撃ち込めば終わりだと思ってたのに」


「そう簡単じゃないの、本当は封印ってこともやるってリリスに聞いたことあるけど、やったことないし」


「ああ、それね、バフォメットに説明は受けてる、わたくしができます」


「そうなんだ、それじゃあ封印はよろしくね」


「わかったわ、しかし今度は遠くに飛ばれちゃったから、よく探さないとね」


「だいぶ疲れるけど、頑張って探しましょう、すももちゃん」


「そうね、時間はリリスとバフォメットの結界だから長く張っているし、逃すこともないと思うの」


二人はそう話しながら。


ザドキエルを探し始める。


そしてどこにもいなくて。

路頭に迷っていると。


すももが何かを発見する。


「あの建物の中、ちがうかしら?」


「そうかもしれない、このまま撃っちゃう?」


「バフォメットから聞いたんだけど、今はこの空間の中では動きが止まっているから、ガラスが割れないの」


「え? そんなことがあるの?」


「そう、だから、中に入るしかない」


すももと二人で建物の中に入る。


タイミングを見ながら一気にドアを開ける。

開けた途端。

ザドキエルが家の建物の奥に逃げていくのが分かった。


「やばい、また逃げられる」


すももが走り出す。

楓も後に続く。


大きな窓から飛び立とうとした瞬間。

楓が逃すまいと足に一発撃ち込む。


倒れかけているところに、すももが追いつき。


倒れているザドキエルにマウントを取り。


その上からマガジンの半分。

8発を一気にゼロ距離で撃ち込んだ。


かなりすごい衝撃に。

ザドキエルが悶え苦しむ。


苦しんでいるのを見ながら。

楓はかわいそうになり。


その光景を直視できない。


すももはポケットから鏡を出す。

鏡には逆の星マークがついている。


その鏡にザドキエルが映るように調整してから。

すももが詠唱を始める。


「我、地獄の王の遣いなり、王の名において命じる……」


そこまで詠唱したときに。

紫の強い光が邪魔する。


あまりのまぶしさに、すももが詠唱を中断する。


「おっしい、もう少しだったのに」


すももが苛立ちながら声を上げる。


「すももちゃん、今は仕方ない、まだ弱りきってなかったんだよ」


「次こそは、仕留めてみせる」


そんなことを言いながら、またザドキエルを探していく。


「あれってどうやって封印するの? すももちゃん?」


「あれは簡単で、鏡に映して呪文を唱えるだけで、封印できるわ」


「なるほど、封印する呪文は決まっているのね」


「呪文はあとで教えるから、今は戦いに集中しましょう」


そういいながら、ザドキエルを探す。


楓が見つけた瞬間。


一発撃ち込む。

しかしそれは偽物で。

砂にかわっていく。


「ごめん、すももちゃん」


「ドンマイ、しかしすごい隠れ方してるのね」


「今は木の陰にいた、かなり手が込んでる逃げかたしてる」


「まぁ、いいわ、今日はいくら追い込まれても逃げられない」


「そうね、今日こそは、確実に封印していきましょう」


二人そろってあたりを警戒していく。


上下左右。

どの位置から天使が出てきても。

いつでも対応ができるように。


警戒しながら散策していく。

探し始めて十分程度。


ほとんど見つけられずに二人は焦っていた。


そして大きな広場に出たとき。


ザドキエルが4体に分裂して。

そこにいたのだった。


「増えてる」


「こんなに遠くに立たれると、見分けがつかないよ」


「仕方ないわね、あと残りのマガジンはいくつ?」


「わたしが4つ、すももちゃんが2つじゃない?」


「わかった。楓ちゃん、2つちょうだい」


「う、うん」


すももにマガジンを手渡す。

すももはセレクターを操作しセミオートに切り替える。


「行くわよ、楓ちゃんが左、わたくしが右!」


その合図で一斉に発砲する。

合計8発。


一斉に撃ち込んでいくと。

すもものほう方に当たりがいた。


すももは当たったのを確認してセレクターをフルオートに切り替えて。

3発ずつ撃ち込みながら、ザドキエルが飛ばないように距離を詰めていく。


楓もすももの後に続く。

ザドキエルが飛んで逃げないようにするためだ。


立ち上がろうとするザドキエルに楓が撃ち込み動きを止めてみたり。

すももも、そこにさらに撃ち込み。


ザドキエルが動けなくなるまで、徹底的に追い詰めている。


ザドキエルは多くの弾丸を受けて、体の色が、穢れにより。

だんだん肌の色が、汚れていく。


出血はなく。

穢れは確実に体に入っていくので。


どんどん力を失っていくのが目で見て分かった。


楓はじりじりと距離を詰めて。

もう逃さないという勢いで。

ザドキエルに銃口を向けていく。


すももはマガジンを入れ替え。


次に備えながらザドキエルに走っていく。


何とかザドキエルが立ち上がろうとした次の瞬間。


すももは上に覆いかぶさり。

ゼロ距離でワンマガジンを撃ち切った。


フルオートで撃ち込まれる。

15発の弾丸がザドキエルに撃ち込まれ。

ザドキエルは苦しさのあまり。

身をよじらせるが、すももは脚でがっちりとそれをホールドし。


はなさない。

そしてさっきの鏡を取り出して詠唱を始める。


「我、地獄の王の遣いなり、王の名において命じるザドキエル、天の国へ還れ!」


そう詠唱し終わると。

ザドキエルの上に一筋の光が差し始める。


そしてその光がだんだん大きくなり。

大きな光がザドキエルを包む。


ザドキエルは残りわずかな力を振り絞って。

すももを払いのけようとするが。

すももはびくともしない。


そしてその光はザドキエルを吸い込み始める。

ザドキエルは光に照らされながら。

暴れている。


しかし、その抵抗もむなしく。


まずは光が穢れを吸い込む。


そして全てが吸い込まれて終わった次の瞬間。


ザドキエルが光の力のもとに。

拘束される。


ふわりと浮いたかと思うと。

ザドキエルから瞳の輝きは消え。

まっすぐに体を伸ばし。

宙に浮き始めた。



そして、ある程度浮いたところで。

すももがザドキエルから離れる。


そして次に、胎児にような形に丸まった。


ザドキエルは光に吸い込まれ。

その場から姿を消した。


「ふう、楓ちゃん、お疲れ様」


「終わったの? 封印したの? すももちゃんすごい力じゃなかった?」


「そんな驚かなくても、楓ちゃんも使えるわ」


「そうなの? でもわたしは男子には腕相撲勝てないよ?」


「この結界の中でだったら、どんな超人にでも勝てるわよ、そのくらい魔法の力がある」


「そうなんだ、リリスは教えてくれなかったから」


「無理もないわ、今までザドキエルを見つけるだけでも大変だったって聞くしね」


「うん、確かに」


「これから二人で見つけるから見つけやすくなるし、きっと神父がたくさんの弾丸を作ってくれるから、戦いやすくなるわよ」


「そうかよかった」


そんな話をしていると。

目の前に二つのぬいぐるみが現れた。


リリスとバフォメットである。


楓はリリスを。

すももはバフォメットを。


それぞれ抱える。


「それじゃあね、楓ちゃん、来週の日曜日空いてる?」


「えっと、天使が来なければ」


「そっか、来ないといいわね、きたらわたくしも忙しいんだけど、もし暇ならお茶会しない?」


「お茶会? なんか持ってく?」


「あまり気を使わないで、お菓子もお茶もこっちでこだわったの用意するから」


「なんか手ぶらで行くのは申し訳ないなぁ」


「気にしないで、我が家で作戦会議しましょう」


「わかった、場所がわからないんだけど」


「それならリリスが知ってるから、待ってるわね」


「うん、ありがとう」


すももはそう言い残すと。

バフォメットを抱えてその場を後にした。


楓はしばらく呆然と見送った。


「リリスどうしよう? お茶会だって?」


「そんなに心配しなくていいわ、すももは戦い方は荒いけど、とてもやさしい人よ」


「そっか、今日はじっくり挨拶できなかったし、それもかねて行った方がいいよね」


「そんなに硬くならず楽しみなさい、すももはお茶入れるの上手だから」


「うん、楽しみにしてるよ」


リリスとそんな会話をしながら楓は帰っていった。

初めて天使を封印したうれしさと。


もっと強引でなければ。

ダメだなという反省。

両方を感じながら帰っていった。


そして楓には少し悩みがあった。


何を着ていこうか?


そんな悩みだった。

それは来週の日曜まで考えるとして。


今日は久しぶりにゆっくり寝れると。

楓は胸をなでおろした。

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