六話
Eternal League of Nefia、通称Elona。あの名作フリーゲームを舞台に書かれた小説です。
※二次創作はフリーということで書かせていただいております。
elona作者様のサイト
http://ylvania.org/jp/elona
「さて、古書物集めと言いたいところだが」
「だが?」
「俺らはあまりにも弱すぎるだろ、また盗賊団に絡まれたら、集めても集めてもきりがない」
「……確かに」
「それに、魔術師ギルドに入会しても技量がなければランクが上がらない」
「そうだね」
「勉強しよう、魔法書を買うんだ」
「なるほど」
「まずは資金集めだな……」
ちらり、とリシェを見ると、まさか、と反応する。
「ネフィアに潜ろう」
「やーっぱり……」
ネフィアもレベル設定がされており、駆け出しの冒険者はレベルの低いネフィアを攻略してお金を稼ぐのが一般的だ。
しかし、レベルが低いほど需要も高いので、中々最奥部まで到達されていない低レベルネフィアを見つけるのは難しい。
「よし、問題なのは食料だな」
ひとまず、今まで通り依頼をこなして、ある程度の持ち物を揃えることにしよう。
* * *
一通りの荷物が揃った。
軽傷治癒のポーションいくつかとパンを鞄に詰め、目をつけていたネフィアへ足を踏み入れる。
「やっぱりな」
予想通り、第一階層は冒険者で溢れていた。
モンスターなんてものは駆逐されており、死骸を拾う冒険者や、いくつかの墓標が立っていたりする。
順調に階層を降りていくと、第四階層に入った途端、冒険者が目につかなくなった。
急に空気が凍ったような緊張感を覚える。
「常に詠唱の準備をしておくぞ」
「うん」
少しずつ、そして確実に歩みを進める。
かさっとなにかが動く音がした。
細く硬い爪楊枝で石を引っ掻くような音が、かしゃかしゃと重なって聞こえる。
「リシェ、上だ!!」
「わぁ! わ、わわわ」
頭上の石を這うように動く大きな蜘蛛。
こいつこそが音の主だ。
詠唱をはじめるが、先手をとったのは蜘蛛だった。
粘りけのある白く細い、それでいてある程度の硬さを持つ糸状の膜が足と地面をつないでくっつき、動きを封じる。
だが、逃げるわけでも斬りかかるわけでもない。
こちらは遠距離攻撃……!
「魔法の矢!!」
俺は蜘蛛が飛びかかってきたタイミングで魔法の矢を放つ。
矢は見事蜘蛛の腹部を貫いた。
緑がかった濁った体液が辺りに飛び散る。
そして蜘蛛の死骸むけて、へにゃへにゃなリシェの魔法の矢が飛ぶ。
「詠唱、いつも同じところ間違えてんぞ」
「ケイブが倒してくれるからいいの!」
「二手に分断されたらおしまいだな……」
「そ、そのときはなんとかする」
「なんとかってなんだよ」
「なんとかはなんとかだよ」
「とりあえず、この邪魔な糸を切ろう」
腰に引っ提げたナイフで糸を切り、また行動の自由を取り戻す。
一休み、とはいかないようで、奥からなにかが迫ってくるのを感じた。
「まだいる、構えろ」
二番目に姿を現したのは、小さなプチだった。
うっすら灰色がかった丸々した可愛いフォルム。
産まれて間もないようだ。
肩に乗る程度の大きさだが、奴もまたモンスターの端くれ。
油断はできない。
「あー、可愛い~」
いつのにか、リシェは小さなプチを抱え、手のひらでなでなでしていた。
嘘だろ、警戒心ゼロえもんか?
「おい、リシェ危な……」
「そんなことないよ! プチは小さい頃は人懐っこいんだよー」
「何から得た情報だ」
「わたしの経験! 小さい頃は拾ってきたプチと暮らしてたんだから!」
まぁ噛まれても俺じゃないしいいか。
これくらいなら拳でも倒せるだろうしな。
「君の名前はポチだ!」
「プチとポチなんの関係が?」
「なんとなく語感が似てるから」
「……はぁ」
ともかく、俺らに新たな仲間が増えた。
俺からしたら戦闘も解読もできない足手まといだが、まぁいいだろう。
リシェは腰に引っ提げた袋にポチをいれる。
すると、ポチはひょっこり顔をだし、嬉しそうに体をふにふにさせた。
「幸い、他のモンスターの気配はないな」
「そうみたいだね」
「今日はここで休息をとろう、俺が見張る」
「わーい、ケイブが見張りなら気兼ねなく寝れるよ」
「いつもごいごいいびきかいてるからな、知ってる」
「ご、ごいごい……なんか恥ずかしい」
「今さらなことだ 」




