5話 イケメン再び
第4話、少し書き直しました。指摘されて確かに分かりにくいかなぁと思ったので。教えて下さってありがとうございます<m(__)m>もっと読み直しもしないとなぁと反省^^;
そして、イケメンと出会って1週間目。
朝、寝ぼけた娘を学校に送り出し、ゆっくりと朝ごはんを食べる。
パートの仕事は、とりあえず理由をつけて、しばらく休むようにした。
8憶・・・。
当たったんだよね~。
いや、でも、あのイケメンの事が頭にこびりついて、まだ怖い。
イケメンのせいじゃないかもしれないけど。
老人ホームもおかしいし、当たりの宝くじなんて誰が送ってくるんだ、って事だよね。
でも、誰も「それは自分のです」って言いに来ないし。
念のため、当分の間は今までどおりに暮らすことにしようね、と娘と話し合った。
やっぱりあれは間違いでした、とか誰かが言ってきたら怖いし。(貧乏性です。はい。)
仕事も休んでるけど、とりあえず落ち着いたらまた働くつもりだ。
何年かして、本当に8憶が自分たちのものになったって思えてから、使い道を考えることにした。
うーーん、庶民だなぁ(笑)。
とりあえず、今日は休むぞ。
たまには一人で映画にでも行こうかな。
そういえば、まだ顔も洗ってないやと気づいて洗面所に向かう。
顔を洗って、ふっと鏡を覗き込んで違和感に気が付いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「え?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ぐぇっ!まさか本当に?うそでしょ?」
ひとしきり鏡の前で、ジタバタして「まずい」とか「やばい」とか叫んだ。
ちょっと落ち着いてから、改めてじーーーっと自分の顔を見る。
私の顔は、若返っていた。
しわとかくすみとかシミとか弛みとかが全部消えて、肌の色も白いけどうっすらピンクで、どうみても17、8の少女の様な肌になっている。
お肌がつやっつやのプルップル。
髪だって、少しこしが無くなってきてたのが、太さも量も申し分ない感じで輝いている。
え、さっきまで娘といたのに、娘には何にも言われなかったよね?
娘、気付かなかった?
それとも、これは娘が出かけた後からの変化?
「あのーー・・・・・」
「!!!きゃ~~~~~~~~~~~~~!!」
家に一人だと思ってたのに、いきなり声をかけられて大声で叫んだ。
振り向くと、あのイケメン!
「あ、あ、」
あなた、なんでここにいるのよ!
って言ってやりたいが、心臓が大変なことになっていて、うまく声が出ない。
一言でも何か言ってやろうと指さしてぷるぷる震えてると、イケメンは穏やかな声で話し出した。
「勝手に入ってきてすみません。何度も呼び鈴鳴らしたりドアをノックしたりしたんですけど返事がなくて、ドアが開いていたので入って来てしまいました。」
ドアが開いていたって・・・・
娘!
あの子、またドアの鍵かけないで出かけたわね!
「それでですね、報酬の願い事、3つとも叶ったかどうかの確認に来たんですが・・・どうやらちゃんと叶ったようですね?」
「え・・・まさかやっぱり・・・?」
「はい。おばあ様を高級老人ホームに入れる、働かなくても不自由なく生活できるお金、健康な体と若い肌、三つとも達成してますよね?」
イケメンは説明してくれた。
高級老人ホームは、人に譲ろうとしてたのは本当で、その相手をうちの祖母にすり替えたとの事。混乱と軽い暗示なので、たいして魔力を使わずに出来たらしい。
「・・・・・・・・・・・。」
説明を聞けば、ああ、やっぱりという感想が強く出てくる。腑に落ちると言うか何というか。
けれどあまりの事に、声の出ない口をパクパク動かすばかり。
イケメンの説明は続く。
宝くじは、金目のものを探していたけどなかなか見つからず。
いっそ自販機の下に落ちてる小銭を世界中から全部集めようかと思ってるところに、交換されずにタンスの奥に放置されていた宝くじを発見。
持ち主も完全に忘れていたのでこっそり貰ってきたとの事。
「・・・・・・・・・・。」
混乱中の私を置き去りに、イケメンは少し得意そうだ。
「そして、健康と若いお肌なんですけどね。これがなかなか見つからなくて。女王様も早く連れてこいと催促するし、」
(女王様?それがボス?)
「色々考えて、私の若さを分けてあげることにしました。」
「・・・・・・・・・は?」
なに言ってんだ?こいつ・・・の目でイケメンを見る。
「こちらの世界の方の若さとか美容とかに平均100という数値をつけるとするとですね、私たちの世界の平均値は大体1000なんです。ちなみに、私の数値は2000程で。それなら少し分けてあげても大丈夫じゃないかと思いつきまして、これもたいした魔力を使わずに出来ました。」
ほっとしたように言う。
普通、若さとか美しさとか数値で言わないよね?
えっと・・・
私は自分の今の状況の、どこからツッコんだらいいの?
それに、洗面所に追い詰められたような立ち位置になってるけど、私の希望としては、廊下に出て、そのまま家の外まで逃げ出したい。
イケメンを避けようと、左に動けばイケメンも左に動き、右に動けばイケメンも右に動き・・・
分かってやってるよね?
「と言うことで。」
イケメンはにっこり笑うと私の両手をとって、ちょっときつめに握りしめた。
「???」
いきなり握られて振り解こうとしても、がっつり握られて振り解けない。
と、イケメンと私の足元に、1メートルくらいの大きさの光の輪が現れた。
光の輪には、小さく模様のように見慣れない文字がびっしりと書かれていて・・・
魔法陣だ!これ!
魔法陣は上に向かって光の粒子をまき散らしながら、どんどん光量を上げていく。
「いや~~~~~~~~~~~っ!なんなのこれ、なんなのこれ~~~~!」
あまりの眩しさに、ギュッと目を瞑る。
「大丈夫。私たちの世界に移動してるだけですよ。」
イケメンのすごく嬉しそうな声が聞こえてきた。
「そんなの、嫌に決まってるじゃない~~~~~~~~~!」
視界が光で真っ白になって、声も意識も光の中に飲み込まれた。
切羽詰まった私は、久しぶりにお腹の底から声を振り絞った。
「離して〜〜〜〜〜〜!!亅
主人公が叫ぶところ。私なら「ぎゃーーー!」だけど、せっかく少女の外見になったので、「きゃーーー!」にしてみました。どっちにすべきかすごく悩みました^^;