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4話 幸運(?)は舞い込んでくる

 家に帰ってこまごまとした日常をこなすうちに、変なイケメンの事は記憶の彼方に流して忘れていた。

 けれど、夜中、お布団に入ったところで思い出してしまう。

 あの残念イケメン・・・私の願い事を、無理矢理叶えようと無茶な事とかしないわよね?

 例えば、お金を得ようと銀行強盗をするとか。

 例えば、そのお金でうちの祖母を老人ホーム(高級は必須)に入れようとするとか。

 例えば、・・・・・・・私のお肌と健康はさすがに他所から奪うとかできないよね?

 ・・・高級美容エステのエスティシャンを無理矢理連れてくるとか・・・。

 考えているうちに、あまりの荒唐無稽な考えに自分でも笑えてきた。

 そんな自分の首を絞めるような事、いくら厨二病でもしないだろう。

 変なイケメンだったけど、あの時は結構怖かったけど、まあ、話のネタにはなったかも?

 そう自分を納得させて、そのままいつのまにか眠りについていた。




 

 イケメンと出会って二日後。

 いきなりの訪問者に(今度は訪問販売?押し売り?)出てみると、なんと隣の県の老人ホームから来たという職員さん(ケアマネージャーさんという職種らしい)と弁護士さんとかいう男の人。 

 ここではなんですからと家に入ってもらった。

 お茶を出しながら、それでご用事は?と尋ねる。

「は?」

 一度では聞き取れない。

 聞きたくない私に、親切そうなケアマネーージャーさんと弁護士さんは、丁寧に繰り返してくれた。

 内容は、こういう事だった。

 祖母の古い友人で、大金持ちの高田さん(誰よ、高田さん。初めて聞いたよ、その名前)が、金にものを言わせて高級老人ホームに入居する権利を購入した。(全額一括で2憶だってさ。一度払ってしまえば、後の食事代とか維持費とか払わなくていいものらしい)

 だけど、金持ちの気まぐれから、突如世界一周の船旅に出たくなった。

 気に入った土地でゆっくり遊ぶことも考えたら、2,3年は帰ってこないだろう。

 もっと長いかもしれない。

 せっかく購入した老人ホームなので、昔お世話になったうちの祖母に無料で譲りたい、という話だった。

「うちの祖母が昔、金持ちの高田さんのお世話をしたとかいう話は聞いたことがないし、何かの間違いではないですか?」

「いえ、本人がこちらで間違いないと申しております。」

 祖母に聞くけど、少ーし認、ゲフンゲフン・・・過去の事は忘れている祖母に聞いても思い出せず。 

「そうだったかしら?」

 の一言で済ませられた。

 まあ、でも祖母は前から、自宅で家族と最期まで過ごしたいわ、と言っていたし。

 だから断るかと思っっていたら・・・  

「まあ、こんな設備もあるのね。」

 ケアマネージャーさんの話に出てくるホームの施設の充実した内容に、祖母は興味津々だった。

 パンフレットと紹介ビデオを見ると、テニスコートがあったり、無料のレストラン(美味しそう)がズラッと並んでたり、社交ダンスクラブがあったり乗馬クラブがあったり。

 どうやら祖母の好みにドンピシャだったらしい。

 それらの設備や食事の豪華さに目を奪われた祖母(8✕歳)は、

「こんなところで暮らすのもいいわねぇ。お友だちもたくさん出来そうだし。」

 と即決!

 あれよあれよという間に書類上の手続きを済ませて、3日後には簡単に着替えなんかの手荷物をまとめて、ホームへと旅立っていった。

 まじですか・・・

 

 娘と二人、タクシーに乗って嬉しそうに出ていく祖母を茫然と見送った。

「でもまあ、おばあちゃんは嬉しそうだし。いいんじゃない?」

 と娘。

「そう、よね?無料で高級老人ホームで第二(第三?)の人生送れるならいいわよね。」

 二人で、無理矢理納得することにした。

 でも、私はずっと心にひっかかっていた。もちろん、あの残念イケメン。

 どうしてあの時私が願った事が叶うような形で、祖母はホームに行ったのか・・・。

 偶然だよね?

 でも、こんな偶然あるかしら?

 いや、まさか、あの人が異世界の魔族で私の願いが叶ったとかありえないけど。

 でも、ものすごくひっかかる。

 え、まさか。いや、でも・・・と一人悶々と悩む私の元に、第二陣がやってきた。


 祖母が旅立って2日後。

「高崎さーん。速達でーす。」

「はーーい。」

 郵便配達のお兄さんから、速達を受け取る。

 見覚えの無い名前からの速達に首を傾げながら中を開けてみると、紙切れが1枚と宝くじが3枚入っていた。

 ???

 紙きれには

『東京のどこか忘れたけれど売り場で買いました、と言ってください』

 と一言書いてあった。

 宝くじの方は、よく見ると『第〇〇回 〇〇ジャンボ宝くじ』と書いてある。

 ・・・・・・・・・・・・・まさか!

 ネットで調べてみると、予感は的中!

 1等前後賞合わせて8億円が大当たりしていた。

 しかも、換金締め切りがあと3日!

 学校から帰ってきた娘に相談し、誰から送られてきたか分からないけど宝くじが当たってる、と言うと、娘は

「換金締め切りがあと3日なんでしょ?とりあえず換金して、それから送ってきた人のこと考えてもいいじゃない!?あと3日で8億が0円になるんだよ?」

 と興奮ぎみに言われた。

 うーーーーーん・・・そうなんだけど。

 これ、残念イケメンの顔がちらつくし、受け取ったらいけないやつじゃないかなぁ?

 でも、締め切りあと3日だし・・・

 うーーーーーーーーーーん・・・・・


 

 次の日、悩みに悩みながらも、み〇ほ銀行に持って行った。

 身分証明書と印鑑持って行くと、「おめでとうございます」とお祝いを言われ、普通に手続きをしてくれた。

 ふむふむ、手続き終了に1週間かかるのね。

 どこで購入されましたか?と聞かれ

「東京のどこかなんですけど、いつも思いついた場所で買うので、細かい場所は覚えてないんですよね、あはははは。」

 と誤魔化したら、そうですか、で終わってしまった。

 細かく聞かれたらどうしよう、とか、心配してたんだけど。

 とにかく手続きは終わり。

 半分放心状態で、ふらふらと家に戻った。

 ふらふらと家事をすませて、食卓で娘が、

「誰が送ってきたんだろうね、もしかしておばあちゃんの知り合いとかいう高田さんかしら?いやでも、いくら金持ちでも、当たりの宝くじは送れないよね」

 とか喋りかけてくるのに、うんうん、そうね、と生返事を返し、お風呂もそこそこに早めにお布団に入った。

 あの残念イケメンか?・・・・ここまで願い事が叶うとかいう偶然が重なるなんてあるかしら?

 魔族の世界のお手伝いに行くのに報酬とかって言ってたけど・・・

 もしかしなくても、ものすごくヤバイ状況に陥ってるんじゃないだろうか。

 いや・・・でも・・・まさか・・・・・

 

  

 

 

 

 


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