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フラグマスター

作者: 筆龍
掲載日:2019/04/02

唐突に書きたくなりました。

 

「…何?フラグ建築士だと?」

「ああ、そうだ。フラグ建築士…いや、一級フラグ建築士について教えてくれ!」


 少年はまっすぐに俺を見つめてそう言い放った。

 俺は布で拭いていたグラスを一度カウンターに置いてから少年へ向き直る。


「ボウズ、確かにフラグ建築士の資格を持っていたら便利だ。だがなあ、一級フラグ建築士を目指すには命がいくつあっても足りねーよ。3級、いや4級ぐらいにしときな。そもそもボウズは…」

「ボウズじゃねぇ、シュトラだ」

「そうか。…まずそもそも、一級フラグ建築士のことをどれくらい知っている?」

「フラグ建築士の資格には、五級から一級までの5段階があり、一級フラグ建築士はフラグ建築士のトップだ。フラグ建築士は、上の階級にいけばいくほど空気を読めるようになっていくんだ」


 シュトラは一級フラグ建築士を目指しているだけあってある程度は理解をしているらしい。だが、それは一般的なことだけだ。フラグ鑑定士などのことは知らないと思える。


「フラグ鑑定士?」

「ああそうだ。二級フラグ建築士より上の資格では、フラグ鑑定士の資格も必要になってくる。二級フラグ建築士なら、三級フラグ鑑定士。一級なら二級、というふうにな」


 話を聞いていくうちに、シュトラは本気で一級フラグ建築士を目指していることがわかってきた。過去に何があったかを詮索するつもりはないが、かなり根深いものがあるようだ。

 こいつを見ていると、若い頃の自分、冒険者だった頃を思い出してきてしまう。


「いいだろう。お前のその根性を買って、フラグ建築士について俺が知ってることを全て教えてやる。」


 話を始める前に、グラスにオレンジジュースを入れ、奢りだと言いシュトラに差し出す。シュトラは礼を言うと、なんの遠慮もなく飲み干した。


「世の中には、死亡フラグや恋愛フラグ、友情フラグなどいろんなものがあるだろ。それらのフラグを意図的に立てていくのがフラグ建築士というものだ。

 このフラグ建築士という資格を持っているものは、場の空気を読み、フラグを立てたり立てなかったりすることができる。つまり、空気を読むことができるというだ。階級が上になればあらゆる場面で空気を読むことができる。

 と、ここまでがいわゆる一般的なフラグ建築士だ。しかし、一級フラグ建築士と二級フラグ建築士というのはそんなもんじゃない。それ以下とは完全に別次元のものだ。」

「どういうことだよ」

「そうだな。有名な死亡フラグに、

『時間稼ぎか、それ自体は構わぬのだが、別に倒してしまってもいいのだろう?』

 というものがあるだろ。これを言ったやつは、時間稼ぎには成功するが殺されてしまう。一見、このセリフを言った弓兵がフラグ建築士に見えるが、実は逆だ。この話の真のフラグ建築士は弓兵を殺した狂戦士の方だ。

 己の強さを見せ、弓兵に、主人を守るための時間稼ぎをさせることに専念させ、自らを殺そうという意識を薄れさせた。完全に場を支配したんだ。これにより弓兵は例の死亡フラグを立ててしまった。

 フラグについての理解が深くなれば、自分だけでなく他人のフラグを操作できるようになってくる。もちろん、自分自身でやるほど上手くはいかないがな。」


 真のフラグ建築士というのは、完全なる場の支配を可能とする。それは、賭け事やちょっとした勝負事だけでなく、戦場や冒険の時にも役に立つ。まさに、生と死を司る資格だ。


「フラグ建築協会というのはな、もともと1人のフラグ建築士によって作られたんだ。

 フラグ建築士と名乗るそいつがいろんな戦場で活躍するもんだからフラグ建築士になろうとする奴がどんどん増えていって、今ではお前も知ってる通りだ。そして、最初のフラグ建築士は今では特級フラグ建築士になって、フラグマスターだ。

 ん?そういえば特級フラグ建築士については話してなかったな。

 フラグ建築協会の名が知られてきたから3ヶ月経ったくらいだったかな。フラグマスターの他に、5人が一級フラグ建築士の資格を得た。

 しかし、一級フラグ建築士になった5人はフラグマスターと会って気づいたんだ。最初の建築士である特級フラグ建築士と自分たちには大きな差があると。

 そこで6人は話し合い、一級フラグ建築士の上の階級である、特級フラグ建築士を作り上げた。

 そして、フラグ建築士の能力を正確に見極められるようにフラグ鑑定協会という組織を立ち上げ、フラグ鑑定士なんてもんを作り出したんだ。

現在は一級フラグ建築士5人と、フラグマスターによって昇格審査が執り行われている。」

「なあ、なんでアンタはそんなに詳しいんだ?まさか…」

「残念だが、その予想は外れているぜ。まぁだが、お前が立派なフラグ建築士になることが出来たら教えてやってもいいぜ。

 せいぜい頑張ってきな」

「ああ!」


 少年は来た時と同じように、いや、それ以上の強い想いを抱え、店を出て行った。



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