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悪魔と少女  作者: 愛夢
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人間の少女に惚れた悪魔

 安岡成敏(やすおか・なるとしはこの世のすべてがいやになっていた、周りの人を憎み世界を滅ぼして自分も死にたいと本気で考えていた。学校では不良達のいじめの対象となり、なまじっか金を持っているために常にかつあげされていた。先生に相談してもそんなことないという。親に至っては頭が悪いからだと逆に叱られる。今の彼は人間という人間が信じられていなかった。

 だから本気で行動を起こした。特別な力も頭の良さもない彼は、彼一人で人類を滅ぼす方法を知るためにいろいろな本を調べていった。街の図書館から、東京神田の古本屋なども片っ端から調べた。そして横浜の図書館で明治時代に西洋から入った本があり、その中に悪魔の召喚のページを見つけた。デンマーク語で書かれた本を電子辞書を手に一字一字調べ解読した。


 そしてある夜、彼は実行に移した。公園の一角に魔方陣を作り上げ、彼が持っている本に書いてある呪文を唱えた。半信半疑だったかがそこ光あふれ安岡は自分の希望が叶うのではないかという期待感に包まれていた。そして一匹の悪魔が現れてきた。安岡は胸を躍らせながら言った。

「僕の命に従え」


「私はナルヴィ。いいだろう!ただし、契約をすればおまえの魂をもらうことになる。構わないだろうな!!」


「元よりそのつもりだ!」


「では、望みをいうが良い。」

 世界は圧倒的な力の悪魔によって最大の危機に立ったのである。


 少女は公園をジョギングしていた。少女の名前は佐久間さくら、いつもこの辺を走ることを日課としていた。陽明高校2年生で剣道部、全国大会でも常に優勝候補である。それに加えて高校の半数以上の男子が恋人にしたいと思っている容姿の持ち主である。

 森の茂みのコースを走っていると強い風で木々が揺れたかと思うと同時に彼女の前に悪魔が現れた。その目の前に人間の男が立っている。


「悪魔よ。世界を滅ぼせ、まず最初にその目の前にいる人間を殺せ!」


 その悪魔とジョギング少女が鉢合わせになったのだ。少女は悪魔の姿にも動じない。悪魔が剣を振り落とそうとしたとき、少女は叫んだ。


「どうして、私を殺そうとするのですか。」


「おまえ、その身のこなし多少は剣に心得があるな。面白い、この剣を持て私と勝負しよう。」ナルヴィの渡した剣はとても軽く竹刀と同じくらいだった。これなら、さくらも普段の剣道の試合のように使うことができる。


「いいでしょう。でも、勝負をするなら名乗りなさい。私は陽明高校剣道部女子佐久間さくら。剣道では男にだって負けない。あなたは、」


「おもしろいやつめ、俺はナルヴィ。そこらの魔族とはひと味違うぞ」

 ナルヴィの剣はとても素早くさくらは紙一重でかわすのが精一杯だった。

 さらにナルヴィがさくらめがけて剣を突いてきた瞬間、それを読んでいたさくらはぎりぎりでよけ小手を打った。ナルヴィは剣を落とした。しかし返す手で大きな左手をさくらめがけて振り落とす。

 しかし、ぎりぎりのところで手を止めた。


「その顔は」


 ナルヴィは手を下ろす。


「どうしたの、悪魔も騎士道でもあるの!」


「おまえ、佐久間さくらと言ったな。私はおまえに心の底から惚れた。おまえの心を私に振り向かせたくなった。何があってもだ。」


「ふざけないで、じゃあ私が悪魔を裏切れと言ったら裏切れる。人間社会で生きていける。そんなことできないでしょう。」


「それでおまえの心が私のものになるならそうしよう。」


「力尽くで私を手に入れればいいでしょ。私が剣で勝てたのもまぐれみたいのもの、次は勝てないわ。」


「俺はその辺の魔族とは違う、惚れたのであればおまえも私に惚れないと気が済まないのだ。そのためには本当になんだってする。悪魔を捨てても構わない。しかし、言いなりにはならない。惚れられた女に尽くすだけだ。」


 このやりとりを見ていた安岡は怒りに燃えていた。


「悪魔よ、何をしている。私との契約を破るな。」


「おまえこそ何を言っている。まだ契約の儀式は行われていないだろう。気が変わった、おまえとは契約しない。」


「約束したではないか。約束を破るな!」


「お前は悪魔に何を期待している。悪魔が約束を守るわけないだろう。悪魔は自分の好きなように動くに決まっている。契約の儀式がすんでしまえばひどい苦痛が起こるから、必ず契約は履行するけどな!残念だったな。まあ、お前の魂は欲しいがもっと欲しいものができた!」

 さくらが口をはさむ。


「じゃあ、まず私のジョギングに付き合って。」

 ナルヴィは思わずため息をつく。


「はあ~」


「私の気を引きたいのでしょ!だったら、ついてきてね。」


「私、こうみえてもモテるのよ。簡単に落とせないわよ。それに私は剣ではあなたに勝ったんだからね。暴力では勝てないけど。」


「わかった。しょうがないついて行ってやる。」


 少し走ったところで、さくらは安岡が付いていることに気がつく。


「ナルヴィ、彼はどうするの!!」


「ほっとけばいい。俺たちには関係ないだろう??」


「ほんと!!悪魔だね。でも、ちょっと待って!もしも彼がまた悪魔を召喚したらどうなるの?」


「それは、俺様を呼びよせたぐらいしっかりしたものだから、もう一度やったらきっと別の悪魔も呼べるだろうな。下等で頭の悪いやつなら、やつの魂ほしさに地球人類を滅ぼすだろうな。」


「それは困る。私は人類が滅びた世界なんて生きていけないわ。どうしよう?」


「そうだ、ナルヴィ彼にのり移れる?」


「彼の姿で私を見事に惚れさせなさい。あなたはイケメンかもしれないが、悪魔の姿なんてまっぴらよ。人間の姿で彼ぐらいのところから努力しないとつまらないわ。」


「あんな、オタクのような風貌でデブで運動神経もなさそうなやつだぞ。他の男にしてくれ。」


「だめよ、彼でないと私はあなたとは二度と口をきかない。彼よ、彼。」


「しょうがない。言う通りにしよう。」


 ナルヴィは安岡に近づく


「悪魔よ、頼むおれのはなしをきいてくれ!」


「悪いな人間、お前の体を借りことにするぞ!!」


「何を言っている。うわぁ!!!!!!」

 ナルヴィは安岡の体の中に入り込んだ。


「本当にこの体は重たいし、陰鬱なオーラに覆われている。この体をモテる男に変えるのは並大抵ではないぞ。」


「がんばって、確かこの人、不登校でほとんどきてないけど私の高校のクラスメイトよ。あなたも明日から学校に来てね。この人の家とかわかるわね。」


「ああ、金持ちのぼんぼんで親が買ったマンションで一人暮らししているぜ。」


「もう別れるのか、さみしいぜ!」


「しょうがないじゃん、あなたはまだぜんぜん男として魅力ないんだから。」


「あ、それから安岡の下の名前、読み方変えるとナルビンだからあだ名はナルヴィにするね。」


「ナルヴィはあだ名でなく私の名前なのだが、悪魔にすら動じない女だな。本当にあのお方みたいだ。」


「あのお方??」


「何でもない。気にしないでくれ!」


「わかったわ!じゃあ、ナルヴィくんまた明日学校でね。」


 

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