思う途に栞を一葉 ~雨の織(おり)~
雨の音 雨の匂い
私たちのを内に隠す 空の着物
合羽を着てはしゃぐ子どもらより
不意にすれ違う舌打ちが
背中に届くため息の方が
よく聞こえるのはなぜだろう
あなたは答えないから
勝手に理由にするの
みんなきっと 雨のせい
栞「ハナちゃん知ってる? 雨のさぁ、あの匂いって、油とか菌なんだってぇ」
華「あぅ、ノスタルジックが台無シック」
栞「うぇ? なんか思い出あった?」
華「――あっ。ごめーん、意味間違えてた」
栞「あっはっは。あ、雨ちょっと弱くなったね。今なら折り畳みでも二人行けるかな。行こ」
華「あちょ、ちょっと待って」
栞「ほら早く! それと今日ハナちゃんち泊めてねぇ」
華「それも待って! ねぇ、ちょっと。シオリってばーっ」
辺りに誰もいないみたいで それでもやっぱり騒がしい
人を幽する雨の檻 星を装う雨の織
私たちは 着飾ってもみるの