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並行世界防衛戦線  作者: 柵を飛び越える羊
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1-てんぷれからは、にげられない!

あらすじに書いたとおり、初投稿です。

見る専が勢い余って書いちゃった、てへ☆って感じです。

来年見たら黒歴史になりそうなのが恐ろしいところ。

そんな駄作でもいいよッ!って方は読んでください。責任は負いかねます。




突然だけど質問をしたい。



今、私の視界には左にはおそらく地球であろう天体。

ヨーロッパあたりは今の時間帯は夜なのか、人口の光が見て取れる。


右には地球とそう変わらない大きさの緑と青の天体。

こちらはなぜかどこも大体明るいが、人口の光が一切見えない。この二つが映っている。


科学的に考えれば惑星同士がこんな近い距離にいることはとてもおかしいことなのだけど。


現に今、私の目の前でそれが起こっている。



さて、ここはどこでしょう?



「確かに地球は丸いし、青いね」


そうやって現実逃避をしてみる。いや、ここが現実と決まったわけではない。

この場合は何逃避というのだろうか、夢逃避?どう考えても現実ではありえない。



うん、これは夢ということでよろしいか。


それとも私はもう死んでしまっていて。これはあの世、というやつなのか。


随分大衆に伝わっているものとは違うみたいだけれども、本当にあの世なのかなぁ?


私は桜月 やしろ。18歳。性別たぶん男。大学生。幸い自分が思い出せないことはないようだ。


死ぬようなことをした記憶はない。いつものように過ごしていただけで、

変わったことは特になかった、はず。



手持無沙汰に自分の長めの髪をいじる。癖を直すのには本当に苦労するから直毛がうらやましい。


私はこの不思議な空間に浮いているだけで、こうやって声を出したり思考したりはできるものの、


現状が変わるわけでもなし、さて、どうしたものか。



すると不意に2惑星間で光が一筋走る。


その途中、ちょうど惑星の間の空間、その真ん中あたりで何かに当たったように、


空間自体に波紋が生じた。水面に水滴を落とした時のような、そんな感じのものが。


なんだろ、と考える間もなく強烈に体が引っ張られるような感覚。いや、実際引っ張られてるのか。


地球の方向に向かってすごい速度で引き寄せられる。このまま大気圏に突入したら、


私は流れ星となって誰かの願いをかなえなくてはいけなくなる。それは面倒だ――――――――――



自分の体にすごい慣性が働くのを感じながら、意識はそこで途切れた。






「おーい、起きろー。講義もう終わったぞー」



・・・・んぁ、あぁ、寝てたのか私。


寝ぼけ眼で視界のぼやける目をこする。


机に突っ伏して寝ていたために凝った体を伸ばすと、ぽきぽきと小気味いい音がした。


周りの生徒はみんな思い思いの行動をし始めている。確かに講義は終わっているようだ。



にしても不思議な夢だったなぁ。



「ふわぁ~~~」



「相変わらず寝てんのな、お前」




呆れ顔で話しかけてきたのはラフな私服を着た茶髪、


小平 悠馬。一応親しいと言える間柄だ。


身長180ちょい。ガタイもよく、全然小さくないじゃん、と何度かいじったものだ。



「君は逆に睡眠時間足りてないんじゃない?」



「俺はショートスリーパーだから大丈夫だ」



まぁ、本人が不自由してないならそれでいいのかな。


彼はしょっちゅう夜更かししている。夜遅くまで起きているのは自由だけど、


深夜に連絡をよこすのはどうにかしてほしい。私もいつも起きているわけじゃないんだから。



「この後どうするよ、俺はもう帰るけど」



うーん、この後どうしよっかなぁ~。この後はもう講義は入ってないし、研究室に行く用事も特にないし。



「私も帰ろうかな」



帰りに本屋にでも寄って帰ろう。





大学のキャンパスを出ると涼しい風が私の頬を撫でる。


排ガスが混じって少し臭うのは仕方ない。電気自動車が普及し始めているが、


まだ一般以下の家庭には手が出せるものではないし。その一般以下の家庭が


多い日本ならなおさら。自動車はガソリン車の方がまだ多い。


今は5月。街路樹は青々とした葉をつけている。


大学入学から一月経ち、大学にも慣れてきたところだ。


面倒な大学受験は適当にAOでパスし、それなりのところに入ったわけだけど、


もう少し高いレベルのところにするべきだったかもしれない。少し退屈なのが否めない。


まぁ、それも今更だ。



私の住むアパートまでは最寄駅から4駅。彼は逆側に3駅だ。


駅までの道を歩いていると、高いビルに大きなディスプレイ。


その中でファンタジーな衣装を着た一人の女性が話している。



『世界初の没入型VRゲーム、《  》は今年12月頃発売予定!


 数量には限りがありますので予約していただいた皆様から


 抽選で五千名を第一期のプレイヤーとさせていただきます!


 予約は6月末まで!皆様お忘れなきよう!


 新しい世界で二度目の人生を楽しみましょう!』




最近話題になっているゲームのCMらしい。


発売が決まるまで何度も討論やら言い争いやらあったけれど、


ようやく発売までこぎつけたのか。



「君はアレやるの?」



「一応予約はしておいたが当たるかどうかわからないからなぁ。


 倍率聞いたか?推定100倍以上だそうだ。


 俺に1パーセント以下を引き寄せる運なんてあんのかな~」



それは神のみぞ知る、といったところかな。


かく言う私はゲーム自体やらないわけではないけど、


それよりは小説を読んでいる時間の方が相当多い。


ゲーム始めると全クリまでは意欲が湧くんだけど、そのあとがどうも、ね。


まぁ、予約くらいはしておこうかな。もし当たったら彼に渡すということで。


彼にはお世話になってるしね、目覚まし時計として。



「なんか今失礼なこと考えなかったか?」



「いや、何も。それは君自身、なにか心当たりがあるからそう思うだけさ」





駅は午後4時ぐらいでも結構人がいた。制服を着た中学生やら、


制服を着崩した高校生やら老人やらサラリーマンやら。


・・・最近はサラリーマンとは言わないとどこかで聞いたけど、本当かな。



たくさんの人がわちゃわちゃしているのはあまり目に優しくない。


この人の波はひと月経ってもまだ慣れてはいない。さすがにもう駅構内で迷うことはなくなったけれど、


都会の駅にはどうして迷宮が多いのか。ゲームのマップとして採用するゲームがあってもおかしくない。


定期券をかざし改札をパスする。


田舎駅と違ってここから電車までも長い。本当、都会の駅は迷宮だよ。


都会駅に対する不満のようなものを抱きながら電車を待っていると、



『〇〇駅で人身事故が発生したため、数分ほど電車の到着が遅れております―――』



人身事故か、最近なんだかこういうの多い気がする。自殺か、他殺かは知らないけれど。


すると放送を聞いた小平が私の方を振り返って、



「人一人の命で数分しか電車が止まらないのか・・・。人の命も軽いもんだ。


 これが首相ならどれくらい止まるんだろうな?」



微妙な表情をして言う。それは命の不平等さを言った言葉か。



「大して変わらないんじゃない?」



なんて言ってみる。実際あまり変わらないだろう。


強いて言えば警察が出てくるくらいか。


人の命が平等であるべきなんて大層な考えは私には無い。


特に資本主義社会では命に優劣が付きやすい。


仮に自分の友人と全く知らない誰かのうち片方を殺さなければならないとしよう。


その友人に並々ならぬ殺意を抱いたりしていない限りは知らない誰かを殺すだろう。もしくは自分を。


ここに命の価値の差が生まれる。命が平等なんてことはありえない。


50万人の時間と一人の命では天秤が左に傾くのも仕方ないことだ。


命は平等であるべき、とか、人の命に一人一人価値があるんだ、とか。


そういう考えを持つ人ほど、この世界では生きにくい。





上りの電車が着いた。彼は下りだから、ここで彼とは別れる。いつものことだ。



「じゃあな、明日も大学の講義あるからな、寝坊すんなよ」



「努力はするよ」



そう言って彼に手を振る。



「なんか信用できねぇな」



失礼な。私も起きなきゃいけないときは起きる。


講義中に私が寝るのは退屈だからだ。メリハリはある、はず。



結局電車は5分遅れだった。




隣の高校生が爆音鳴らして聞いているアニソンらしき曲を聞き流していたら、


電車はあっという間に目的地に着いていた。


アパートまでの帰路の途中で本屋に寄って小説コーナーを見ると、


数か月振りに新作が出ていたものがあった。


タイトルはもはや長すぎて字が小さくて読めない。読む気が湧かない。


最近の小説家たちはタイトルの長さでも競い合ってるのかと考えてしまうほどの長さだ。


どんな長いタイトルでも略できる日本人はすごい。


新刊をもってレジに行くとレジ打ちさんが笑顔を浮かべていたが、その笑顔はなぜか少しぎこちなかった。



「あの小説を読むって、なかなかのもの好きだね・・・」





10分ほど歩くとアパートについた。


私の部屋は4階だ。エレベーターはないから階段を上がるしかない。


今はまだ涼しいからそこまで苦痛じゃないけど、夏は地獄なんだろうなぁ・・・と、


そんなことを考えながらせっせと上がる。404号室。そこが私の部屋だ。



部屋に入るのに挨拶はない。私はこのアパートに一人暮らしだ。


部屋にいるものといえば昔100均で買って育てている観葉植物くらい。


コンビニで買ってきたおにぎりと缶コーヒーを冷蔵庫に入れて、電気をつける。


部屋は賃金の割には広く、私一人が住むには苦にならない広さだ。


二人以上で済むには少し狭いかもしれないけど、別にこれから増える予定もないし。


―――姉さんはどうしているだろうか。どうせどっかをふらふらしているんだろうけど―――



特に意味もなくテレビをつけるとニュースが流れてきた。



『本日未明、--県・・市在住の――――さんが居眠り運転をしていた


 トラック運転手の〇〇さんに轢かれ、頭を強く打つ重傷を負い、病院へ搬送されましたが


 死亡が確認されました。警察は〇〇さんを自動車運転死傷処罰法違反の疑いで逮捕しました。


 なお〇〇さんは「あちらが先に飛び出してきた」と容疑を否認しており―――』




今日は結構人が死んでるなぁ、縁起の悪い。いや、偶々遭遇しているだけか。


今日も今日とて世界中ではたくさんの人が死んでいるわけだし、一人二人は誤差でしょ。


そう考えながら缶コーヒーを飲む。うん、苦い。ブラックだしね、これ。


さぁて、買ってきた小説でも読もうかな・・・





「あれ、もうこんな時間かぁ」


小説を読み終わって時計を見ると午後11時。結構読み込んでしまったな・・・


内容は数か月開いただけあってよく練られていて面白かった。また数か月後に期待。


思い出したようにやってきた空腹感を満たすのに、


冷蔵庫からおにぎりとコーヒーを持ってくる。具はいくら。


ずっと買い続けるのもバランスが偏りそうだからそのうち自炊しよう。そのうち。


洗面所に向かって歯を磨く。鏡を見るとどこからどう見ても女性に見える人物がこちらの真似をする。


歯を磨いて口を漱いでシャワーを浴びる。終わったら体をふいて肩ほどの長さのある髪を乾かす。


さすがに何年も同じ作業を繰り返していると退屈に思えてくるのは仕方ない。


やらないわけにもいかないし。


すべてやることを終えるとちょうど日付が変わった。今日は夜更かししてやるようなゲームも、


暇つぶし用の小説もないからもう寝るしかない。寝よう。


そう思ってベッドに横になる。寝る前にメールの確認だけして、私は眠りについた。


明日は何をしようかな――――――




『昨日未明、--県〇〇市在住の――――さんが行方不明であるとの通報を受けた警察が


 自宅へ伺ったところ、そこには何もなく、争った形跡もなかったとのことです。


 警察は周囲の住民に一応の注意を呼びかけました。なお―――――――――――』






読んでくださりありがとうございました。

批評はどうぞお手柔らかにお願いします。

作者はカバーガラスのような貧弱メンタルなのです・・・

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