1、転校生②
Japanという国にも、学校というものはあるのだ。いや、別にそんなことくらい当然であるが、私にとってはゆゆしき自体である。なんどだって言うが、ここはJapanである。イギリスではない。この私の見た目がどんなリアクションを受けるかなんて、想像に値しないのだ。
「ねぇねぇ、レザリアちゃんのレザリアってどんな意味なの?」
「イギリスってどんな国?」
「綺麗な金髪〜!お母さんもと同じ色?」
「顔は日本人なんだね。とってもかわいい!」
あああぁ...汗 やっぱこうなる...。
教室に入り、自己紹介(introduction)というものを私がするや否や、私の貴重な休み時間は目を爛々と輝かせた女子生徒たちによって毎日毎時間占領されてしまっていた。
ちなみに、私の名前のレザリアとは、両親が信仰しているキリスト教のロザリオからとっているらしい。そして、この学校はキリスト教。聖キリスト峰ヶ崎学園...狙っているとしか思えない。
そんな私の心中を察したかのごとく、タイミングよくチャイムが鳴る。
先生の指示によってしぶしぶ席につく女子生徒たちの文句に表面上ニコニコしながら、私はこっそり安堵していた。
授業中はいい。先生の声さえ聞けば、あとは一人になれる。Japanの授業は基本受け身のようで、少し退屈ではあるが先生方の雑談やしょうもない小ネタにくすくす笑いながらもくもくノートをとるのも悪くはないものだ。
そんなこんなで、転校初日から1週間くらいは、何事もなく過ぎていった。
ここで私も気づくべきだったのかもしれない。教室の廊下側の一番後ろの席に、私が転校してから未だ1日も、座っている人がいないことに...。