10、はじまり
キーンコーンカーンコーン
「東雲は休み...と」
毎朝の恒例で、先生は東雲くんに休みをつける。今日もやっぱり、東雲くんは学校に来ない。
どうして、私を撃ったあの日だけ学校に来たのだろうーーーー
「レザリア・クリスティアーノ」
「え、ははい!」
ぼうっとしてたら名前呼ばれた。出欠中だった!
「レザリアちゃん、大丈夫...?」
愛ちゃんが隣から私の顔を覗き込んできた。
「あ、うん! 大丈夫だよ、愛ちゃん」
「なんか最近ぼうっとしてない? やっぱり、あの暴力野郎に打たれたから...?」
「いやいや、そんなことないって!」
そもそも打たれたの頭じゃないし!
「なんでレザリアを打っといて、あいつ退学にならないのかなぁ? 謹慎にさえなってないなんて」
「あー、それは確かに...」
人を打っておいて、何のpenaltyもないままなのは、確かに私も不思議に思っていた。しかも確か、この国は銃を持ち運ぶのは禁止じゃ...?
「あーえー静かに! みなさんに大切な連絡があります」
先生の大声で、私の意識は引き戻される。
「えー、残念なことですが今日、私たちのクラスの君月あかりさんが転校することになりました」
「えぇー!!」
お決まり(?)のみんなの悲鳴に、私はポカンとしていた。君月さん...? そんな子いたっけ?
「レザリアちゃんはまだ転校して間もないから知らなかったと思うけど、あかりちゃんはうちの学校のアイドル! とってもかわいいんだよ」
「へ、へぇ...?」
アイドル...?
そんなに目立つ人を、私はまだ覚えていなかったのかな...?
先生によると、君月さんは今日、お引越しの都合で学校には来れなかったらしい。
「みんなにさよならを言えなくて、君月さんも可哀想だけど、みんな、心で送ってあげてね?」
はぁーい、と教室に響き渡るみんなの声。
そう。ここから。
ここから、始まったんだ。
私たちの戦いが。